各社がラインアップする車種の選択と集中が進む
日産は2019年度決算発表の前日、ルノー日産三菱アライアンスは3社による新たなる取り組みについて公表した。言い方を変えると、アライアンスが全体の方向性を示し、それに従って日産の将来構想がある、ということだ。
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そのアライアンスについて、3社のトップが記者会見のなかでもっとも強調したのが「リーダーとフォロワー」という考え方である。一般的な表現でいえば、選択と集中だ。つまり、餅屋は餅屋、役割分担、ということである。
とはいえ、そもそもアライアンスとは、協業する各社の強みを生かすことであり、選択と集中について「何をいまさら」という感じもある。それでも、あえて今回「リーダーとフォロワー」と銘打ったということは、「切るものは、思い切って切る」「変えるものは、思い切って変える」という経営サイドからの強い意志表示だと受け取るべきだと思う。
では今後、どんなモデルが登場するのだろうか? 端的に、兄弟車が増える。「標準化を従来のプラットフォームからアッパーボディまでの適用に拡大」と明記しているからだ。その上で、仕向け地(販売する国や地域)を明確に分けることになる。例としては、日産の北米向け「ローグ」と日本向け「エクストレイル」。さらに、欧州向けを強く意識してPHEV機能搭載の三菱「アウトランダー」という展開がある。
話題のキックスは次期型からさらに重要な戦略車になる
また、「キックス」については、これまで南米、中国、中近東、北米で採用した商品性とは異なり、日本仕様(タイ仕様含む)にe-POWER搭載と新色外装色、上質な内装で加飾した。
2025年以降については、「コンパクトSUVの刷新は日産がリードする」としており、これは次期キックスを意味するのだろう。またBセグメントSUVはルノーがリード。それまでは、日産の「マグナイト」が中継ぎ登板となる可能性がある。
また、気になるのは「東南アジアと日本において、アライアンスのメンバー各社は、日産と三菱で協業した軽自動車のような本枠組みをさらに活用する機会を検討」という表現を使っているところだ。商品企画の統合や生産工場を再編し、本格的な兄弟車が軽以外でも登場することを視野に入れているのだろう。
このほか、スポーツカー分野は、「Z」、「スカイライン」、「GT-R」はブランディングの観点から継続の方向だが、「スカイライン」についてはインフィニティブランドとのすみ分けが進むだろう。
EVについては、中型以上では「アリア」がリーダーとなるが、重要なことは新車を売るだけではなく、仕向け地それぞれの社会事情にあったコネクティビティ技術を活用したサービス事業の構築となると見るのが妥当だ。
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