「子持ち様」論争の行方
SNS上では日々新しい言葉が生まれ、ときには激しい議論の対象となる。最近、その争いに加わり、メディアでも取り上げられるようになった言葉が「子持ち様」だ。
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この言葉は「様」という敬語を付けて皮肉な意味で使われるもので、独身であることとは対照的に、子どもがいることで得られるさまざまな優遇や配慮を指している。
例えば、共働き世帯では、子どもの急な体調不良で仕事を休んだり、早退したりすることも珍しくない。このような社員のために他の社員が割を食っていることへの批判がSNSに投稿され、賛否両論を巻き起こしている。
一昔前とは異なり、結婚適齢期の男女にとって、結婚に対する社会的プレッシャーは小さくなっている。特に大都市では、
・結婚するかしないか
・子どもを産むか産まないか
についても、個人の意思を尊重する雰囲気が徐々に醸成されつつある。
しかし、子育て世帯には就労制度だけでなく税制上の優遇措置もあるため、「子持ち様」をめぐる議論はしばらく続きそうだ。
議論は白熱しているが、サービス業や飲食業などあらゆる分野で「子持ち様」の存在は無視できない。商品開発において、子連れの消費者をまったく考慮せずに商品開発を進められる業界は限られている。
特に自動車業界では「子持ち様」が大きな力を持っており、ミニバンの購入ターゲットとして重要視されている。もはや子育て家庭を無視したクルマ作りは不可能なのである。
「子持ち様」の購買力
若者や都市生活者のクルマ離れが指摘されて久しいが、子育て世帯にとってはクルマは生活に欠かせない。
内閣府の「令和6年3月の主要耐久消費財等の普及・保有状況」調査によると、乗用車全普及率は、ふたり以上の世帯、単身世帯ともに、全体では次のようになっている。
・二人以上の世帯:80.6%
・単身世帯:51.6%
このように、「二人以上の世帯」の自動車保有率は、単身世帯より約30ポイントも高い。つまり、「子持ち様」の購入意欲が高いということだ。少子化とはいえ、自動車会社のCMにファミリー向けのものがあるのは当然である。
クルマの購入を検討する際には、家族構成やクルマの使用頻度、燃費などから車種を絞り込む。子育て世帯にとって、ミニバンは日常生活で最も実用的なクルマのひとつだ。将来子どもが増えても対応できる。週末の買い物や家族でのお出かけだけでなく、友人や祖父母とのお出かけなど、あらゆるニーズに応えられる。
ミニバンの上位モデルは各社とも高価格帯だ。自動車会社にとっては“顔”のひとつとしてアピールする車種でもあり、ミニバンの新型車の登場やマイナーチェンジ、フルモデルチェンジも注目度が高い。
ライフステージに応じたクルマ選び
ミニバンのターゲットである子育て世帯は、企業にとっては優良顧客だ。家族の人数が変わったときに、「今のクルマからミニバンへの乗り換え」に対応できるようなサービスが充実すれば、満足度は高まる。
子どもが生まれたり、第2子を妊娠・出産したりして家族構成が変われば、「今、自分たちに合うクルマ」も変わる。そんな節目にクルマの買い替えを検討する人は多い。
しかし、クルマは大きな買い物のひとつであり、そう簡単に買い替えられるものではない。自動車会社は「残価設定型クレジット」など、対象となる顧客のライフステージの変化に柔軟に対応できる支払い方法を用意している。
また、子どもを乗せて運転する場合、人は安全に対して敏感になる。走行中の衝突事故防止はもちろん、駐車場で子どもを誤ってひいてしまう痛ましい事故を未然に防ぐため、周囲に人がいないか確認しながら駐車できるシステムの需要も高い。
こうした顧客のニーズと期待に応えるために、自動車各社が主力のミニバンの安全性を高める改良と新技術の開発を続けるのは当然のことだ。
衝突軽減ブレーキや周囲の人を検知するセンサーなど、先進運転支援システム(ADAS)は、追加料金が発生するオプションではなく、新型ミニバンに搭載されるのが当たり前になった。
未来の自動車産業を担う子どもたち
「子持ち様」はクルマを買ってくれる可能性のある潜在顧客であるだけでなく、
「こんなシステムがあったらうれしい」
「ユーザーが求める安全性とは何か」
といったアイデアを与えてくれる、なくてはならない存在である。それだけでなく、「子持ち様」の子どもたちは、自動車会社の未来にも関係している。
世界各国で自動運転技術の開発が進んでいるが、こうした技術開発を担うのは若い世代だ。小学5年生の社会科の授業では、学校の授業や校外学習を通して、自動車がどのように作られているのかを学ぶ。
また、私たちが毎日乗っている自動車を身近に感じる機会にもなる。こうした学習を通じて自動車産業に興味を持った子どもたちは、次世代のクルマ作りに携わり、技術の進歩に貢献することになる。
「子持ち様」の子どもたちは、新たな購入者になるだけでなく、エンジニアなどとして自動車産業に携わるかもしれないのだ。
「子持ち様」が促す技術革新
どのようなジャンルであれ、モノを作り、世に送り出す場合、ターゲットとなるユーザーを意識せずに開発されることはない。「こういうニーズに応える商品」というコンセプトを設定し、ターゲットの年齢層や家族構成を考えることでプロジェクトは進んでいく。
自動車業界では、「子持ち様」がクルマを買う確率が高いので、自動車会社はファミリー層をまったく考えずにクルマを作ることはできない。
現実の世界では「子持ち様」は批判の対象になることが多いが、自動車業界にとっては好影響も与えている。子育て世代が求める安全性や市場価値を向上させることで、技術の進歩につながる。
また、運転支援システムや安全性の向上は、結果としてファミリー層に人気のあるクルマだけに搭載されているわけではない。
少子化社会では「子持ち様」と独身者の対立が深まることは否定できないが、先進技術は独身者に人気の車種にも浸透していく。
自動車産業の現状は、あらゆるライフスタイルや背景を持つ人々が恩恵を受ける形で共有されているのである。
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みんなのコメント
スポーツカーだって乗ってるの老害だろ
それからガキ連れが偉いわけじゃない
交通ルールはもちろん、店内で騒がせない
当たり前のしつけはやれ