amsジャパンは14日、自動車用および産業用の高速電気モーターに向けた初のインダクティブポジションセンサを、一般市場向け標準製品として発表した。
AS5715に基づく新型のローターポジションセンシングソリューションは、高速のモーターアプリケーションで広く用いられているレゾルバと同等の精度と応答性を実現しつつ、部品のコスト、サイズ、重量を大幅に低減できる。また重要な点として、ISO 26262機能安全性規格への準拠が挙げられる。これはICがASIL-C実装に基づいていることと、冗長性を持たせた実装がASIL-Dに対応していることにより、実現した。
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amsによるインダクティブポジションセンサの半導体技術の市販化は、パワーステアリングなどの自動車システム、また電気自動車やハイブリッド自動車のトラクションシステムなどにおける、重要な進歩を表している。AS5715インダクティブセンサは詳細な設定が可能であり、軸上(シャフトエンド)と軸外(貫通シャフトまたはシャフト側面)両方のトポロジーで使用でき、さらに多数の多極対モーターとの使用が可能。
amsのオートモーティブソリューション部門担当エグゼクティブバイスプレジデント、Chris Feige氏は次のように述べている。「今回AS5715を発表したことで、amsはより環境に優しく、安全、スマート、快適な未来の自動車へ技術を提供するという使命において、新たな一歩を大きく踏み出しました。AS5715を使用して組み立てられたモーターはより軽量化され、より滑らかで強力な出力をもたらします。これに加えてコストも低減されており、自動車メーカーは高価でかさばるレゾルバをAS5715誘導式センサに置き換えることができます」
モーター市場をけん引
AS5715が性能、サイズ、コスト面でブレークスルーを実現したことで、成長の著しい自動車市場は大きく影響を受けることが予想できる。電気モーター(トラクションモーターを含む)の市場全体は、金額ベースで8.3%の年平均成長率(CAGR)が予想され、2021年には346億ドルに達すると推定されている[*1]。 一方、自動車向け電気モーターの市場も変化を遂げており、多くの高速アプリケーションで永久磁石型同期モーター(PMSM)がブラシレスDCモーターにとって代わっている。
同時に、環境危機に対処するため自動車業界はすべての自動車の平均燃費を向上させるよう、世界中で最新の政府規制により要求されている。旧来の電気機械式および油圧式自動車システムを高効率の電子制御モーターで置き換えることにより、自動車メーカーはより迅速に燃費目標を達成できるようになる。
AS5715が実現する高精度かつ低遅延の位置検出は、電気モーター制御システムの動作を支え、高速モーターのトルクを最大化し、トルクリップルを低減し、高効率の達成を可能にする。AS5715 ICと、それに関連するシンプルで低コストなPCBに印刷されたコイルを実装した位置センサシステムは、4極対のPMSMなどの様々な種類のモーターで、最大100,000rpmの回転速度で最高±0.3°の精度を実現する。
[*1] IHS Electric motors in automotive applications - 2017(自動車用途における電気モーター - 2017年)
手軽に利用可能な測定出力
これまでレゾルバを扱ってきた開発者であれば、AS5715の操作モードにも慣れ親しむことができる。2組の差動アナログ出力がサイン波とコサイン波として出力される。ホストコントローラーでアークタンジェント関数を適用することで、これらを角度測定へ変換することができる。
amsは、スタティックなセンサPCBでのTxとRxコイル、およびローターへ取り付けられた回転ターゲットアセンブリの設計法を示した包括的なドキュメントガイドおよびアプリケーションガイドを揃えている。
さらにAS5715は、自動車メーカーのISO 26262機能安全性規格への適合プログラムをもサポート。2個のAS5715 ICをセンサ基板に実装することで、完全な冗長性を持った測定システムを構築できる。
AS5715は既にサンプル注文に応じており、要望に応じてAS5715誘導式位置センサの評価キットを提供している。
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