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スバル WRX STIがニュル24時間で波乱のレースを制しクラス連覇

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スバル WRX STIがニュル24時間で波乱のレースを制しクラス連覇

2016年5月28日から29日にドイツで開催された第44回ニュルブルクリンク24時間レースで、スバルとSTI(スバルテクニカインターナショナル)が、SP3Tクラス(排気量2.0L以下のターボ車クラス)で2年連続のクラス優勝に輝いた。

今年のマシンは市販車をベースにした「スバルWRX STI NBRチャレンジ2016」で、ドライバーラインアップはクラス優勝を飾った2015年同様、カルロ・ヴァン・ダム選手、マルセル・ラッセー選手、ティム・シュリック選手、山内英輝選手の4名。決勝レースは予選2位の好位置からスタートした。

5月28日15時30分に長丁場のレースがスタートを切った。開始時こそドライだったが、スタート直後に雷雨や雹(ひょう)により、コース上は大混乱。多くのマシンがコースアウトやクラッシュを喫する中、ヴァン・ダム選手がステアリングを握るスバルWRX STIもコースアウトするが、グラベルにスタックした車両の脇を間一髪ですり抜け、無事コース復帰を果たした。

その後、悪天候により約3時間にわたってレースは赤旗中断。夕暮れの19時過ぎからセーフティカー先導のもとフォーメーションラップを開始し、20時過ぎにレースは再開された。ドライバーは山内選手に交代している。このときもまだ路面はウエットコンディションだが、AWDのスバルWRX STIは抜群の安定感を見せ、8周目にクラストップを走る最大ライバルのアウディTT RSをとらえ、トップ奪取に成功する。

スタートから8時間が経過して完全なナイトセクションに突入するころには雨は上がり、コースのレコードラインはドライ。ウエット時に築き上げたアウディTT RSとのマージンはドライになり1分台にまで接近するが、スバルWRX STIは順調に周回を重ねていく。折り返しの12時間経過時のアウディとのギャップは約1分。しかし、夜が明ける午前5時30分ころにはその差は約10分(約1周分)にまで広がっていた。

レースの残りが4分の1となっても、スバルWRX STIの安定したドライブが続くが、19時間が経過した10時過ぎに緊急ピットイン。ピットに緊張が走る。アンダーパネルが外れかかっていたことが原因で、メカニックの懸命な作業によりスピーディに応急処置を施してコースに送り出した。このピットストップによりアウディとの差は大幅に縮まったが、天はスバルに味方する。20時間を迎える前から少量ながら雨が落ち始め、スバルWRX STIのAWDが絶大な効果を発揮し、差を広げることに成功した。

残り2時間を切ったレース終盤、なんとライバルのアウディがリタイヤ。これでスバルWRX STIのクラス優勝は決定的となった。チェッカーまでのラストランは地元マルセル・ラッセー選手が担当。じつはアンカーは山内選手の予定だったが、ラッセー選手の強い希望で山内選手が譲ったという。チーム内の良好な関係を物語るエピソードだ。

そして、ついに24時間の過酷で波乱に満ちたレースもチェッカーを迎え、スバルWRX STIはSP3Tクラスでクラス優勝。総合でも上位クラスのマシンを抑えて20位に食い込む活躍を見せた。24時間で重ねた周回数は121周で、約3070kmを走破したことになる。

チーム総監督を務めたSTIの辰己英治氏は「スバルグループのチーム力、そしてスバルファンの皆さんのお陰でここまで来れました。しかしニュル24時間は簡単には行かないと実感しました。トップでゴールでき、ファンの皆さんにも喜んでいただけたと思います。応援ありがとうございました」と語った。

今回のクラス優勝は、WRX STIのAWDスポーツパフォーマンスが「究極の一般公道」とも言われるニュルブルクリンク・サーキットでも高次元で発揮されることを実証することにもなった。スバルとSTIは、このレースで培った技術を市販車にフィードバックしていくだろう。


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