世界に類を見ない、独創のLMWテクノロジーが生んだ新機軸スポーツ・ナイケンに新たに加わったのがこのGT。快適装備を追加して、ツアラーとしての適性に磨きをかけた豪華グレードだ。
スタンダートに比べ、その魅力はどう変わったのか、早速試乗チェックしていこう。
「本来の姿」である最強のツーリングスポーツ
前2輪・後1輪のリバーストライク構造による安定性と、通常のオートバイと同じく車体をバンクさせて旋回するハンドリングを融合させたLMW(リーニング・マルチ・ホイール)テクノロジーで世界中に衝撃を与えたナイケン。
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発売以来スポーツ性能を秘めたツーリングモデルとして高い評価を得ているが、新たに「ナイケンGT」が加わった。
スタンダードのナイケンとの違いは、専用のハイスクリーンとシート、グラブバーのほか、センタースタンド、グリップヒーター、追加の12V電源ソケットといった装備が与えられていること。
要はツーリング適性を高めるオプションパーツを標準装着した仕様で、カラーも専用となる2色が用意されている。
267kgという車重だけに取り回しは重い。
さらにGTのシートはスタンダードより15mm肉厚で足着き性も厳しくなっているが、前2輪が踏ん張るので安定性が高く、低速で段差を横断したときなどにバランスを崩しても倒れ込みにくい。
とはいえ、重さと併せて身長160cm台のライダーだと停車時に緊張を強いられることは否めない。
いったん走り出せば車重は気にならないが、極低速域ではフロントまわりが重く、寝かし始めと直進状態に戻るときに少し粘る感触がある。
しかしこれに慣れるとUターンのような小旋回や滑りやすいダート路面での不安感が消える。これも前2輪のメリットだ。
ナイケンGTが最も輝くのは高速道路クルージング。
クルーズコントロールをセットしておけばハンドルには手を添えているだけでいいし、スタンダードより175mmも高いスクリーンのウインドプロテクション効果、座り心地抜群のシート、前2輪の安定性が相乗効果を生み、「クルージング」と呼ぶに相応しい快適な移動空間、移動時間を過ごせる。
その車格と車重からワインディングでの運動性能に不安を覚える人もいるだろうが、アベレージはスポーツモデルと変わらず、凹凸のある路面、滑りやすい路面では前2輪が生む圧倒的な安定性、強力なブレーキ能力と旋回力にものを言わせ、恐る恐る走るしかないスポーツモデルを置き去りにするほどだ。
試乗車はオプションのトップケースを装着していたが、高速道路走行レベルでは重量や空気抵抗によるハンドリングへの悪影響は感じられない。
さらにサイドケースを追加すれば最強のツーリングモデルになるはず。これこそがナイケン本来の姿だと思う。
SPECIFICATION
全長×全幅×全高2150×885×1425mm
ホイールベース1510mm
最低地上高150mm
シート高835mm
車両重量267kg
エンジン形式水冷4ストDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量845cc
ボア×ストローク78×59mm
圧縮比11.5
最高出力116PS/10000rpm
最大トルク8.9kg-m/8500rpm
燃料供給方式FI
燃料タンク容量18L
キャスター角/トレール量20°/74mm
変速機形式6速リターン
ブレーキ形式 前ディスク
後ディスク
タイヤサイズ 前120/70R15
後190/55R17
RIDING POSITION
身長:176cm・体重:62kg
複雑なステアリング機構に干渉しないようハンドルをライダー側にオフセット。
これによって上体はほぼ直立となり、15mmアップのシートで下半身のリラックス度も高いが、引き換えに足着き性は犠牲になっている。
ステラの「タンデムCHECK!」
タンデムしていても、やはりナイケンは特別。
タイヤが地面をとらえている感覚が、通常の2輪よりも明確に伝わってきます。
これはスタンダードのナイケンも同様なのですが、車体を大きくバンクさせて曲がるようなコーナーが連続した区間でも、まるで滑るようななめらかさで抜けていくので、後ろに座っていてもワクワクします。
今回の試乗車はトップボックス付きで、背もたれに心置きなく体を預けられ、非常に快適でした。
DETAILS
MT-09用の「CP3」エンジンは116PSを発揮。
ナイケンの263kgという車体に見合ったファインチューニングが施されている。
反転表示液晶を使った大型デジタルメーターを採用。
3段階のグリップヒーター、3種類のD-MODE、2種類のTCSなども表示される。
ロングラン時の疲労度を軽減する、肉厚の専用シートを採用。
ホワイトのステッチが個性と高級感をアピールしている。
試乗車は純正アクセサリーのトップケース(39リットル)を装着。
パニアケースともども、ツアラーなら欲しくなるアイテムだ。
[ アルバムはオリジナルサイトでご覧ください ]
PHOTO:南 孝幸、赤松 孝 TEXT:太田安治、木川田ステラ、本誌編集部
公式サイト
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