2021年6月10日、トヨタ自動車はランドクルーザー200をフルモデルチェンジし、最新型となるランドクルーザー300の中東仕様をオンラインで世界初披露した。新型は劇的な進化を遂げたというが、ここではランドクルーザー300を従来のランドクルーザー200と徹底比較してみよう。
自動車社会の電動化がついにランドクルーザーにも及ぶかもしれない
1951年にトヨタ ジープBJ型として誕生したランドクルーザーは、2021年に70周年を迎えたトヨタブランド最古参クラスの自動車だ。ランドクルーザーシリーズが現在のステーションワゴン系とライトデューティー系の2シリーズ構成後の世代を数えると、最新のランドクルーザー300シリーズ(以下、ランクル300)は80シリーズから数えて4代目のステーションワゴン系モデルとなる。
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従来のランドクルーザー200(以下、ランクル200)が発売されたのが2007年で、14年間製造された。他の自動車なら2、3世代分の進化が、ランクル300には凝縮されている。
まず注目したのはプラットフォームだ。実はランクル200が登場した際にもプラットフォームは全面刷新されていた。それが今回のランクル300でも全面刷新され、TNGA思想に基づくGA-Fを新開発した。もちろんラダーフレームで、これはTNGA初となる。
TNGAらしくランクル300はランクル200よりも28mm低重心となった。後述するエンジンのダウンサイジングによりエンジン全長が短くなったため、エンジンとトランスアクスルをホイールベースの内方向に70mm移動させた配置が可能となり、前後重量配分は前53.5:後46.5になり、ランクル200に見られたフロントヘビーな挙動が大きく改善されているはずである。
GA-Fフレームは従来型より軽量化を図りつつねじり剛性が20%アップされており、SUVボディながら低重心・前後重量バランスの最適化・軽量ボディで、スポーツカーのように狙ったラインをトレースする走りが楽しめるという。この点はランクル200と比較して、新型で劇的に進化した点だ。
GA-Fフレームの軽量化に大きく寄与したのが、世界初の溶接技術だ。従来の技法では溶接部の重ね合わせが必要だったが、これを極力最小化した。必要な鉄板が少なくなったため軽量となり、ねじり剛性も向上したという夢のような技術だ。この溶接技術を開発できたのは、ランクルのフレーム製造に長年携わってきた匠の力が大きいとのこと。
トヨタのものづくりの極意は「カイゼン」だが、新ランクル300開発主査の横尾貴己氏によれば、GA-Fフレームはまさにトヨタ流ものづくりの象徴だという。
まだ明らかにされていない部分も多い、新型のランドクルーザー300
ランクル300のボディスペックの詳細は公開されていないが、ボディサイズはランクル200とほぼ同一とのことで、全長4950×全幅1980x全高1900mm程度と予想される。ホイールベースは80シリーズ以来不変の2850mmとのこと。ステーションワゴン型のランドクルーザーには、ベストなバランスだという。アプローチアングルとデパーチャーアングルもランクル200から大きな変化なく、アプローチアングル32度、デパーチャーアングル25度が確保されている。
車両重量は200kgの軽量化に成功し、ランクル200で2500kg前後であったことから、新型は2300kg程度と考えられる。200kgの軽量化はパフォーマンスの向上だけでなく、自動車重量税の負担減も意味する。
フレーム同様大きく進化したのがパワートレーンだ。新ランクル300ではエンジンを従来のガソリン仕様4.6L V型8気筒から、ガソリン仕様が3.5L/ディーゼルが3.3Lで、ともV型6気筒ツインターボへとダウンサイジングした。2気筒分エンジン全長を短縮し、小排気量になった。
ガソリン仕様の最高出力は305kW(415ps)/5000rpm、最大トルクが650Nm/1600-3200rpmをハ発生(発生回転数は発表会動画のグラフから読んだため、おおよその数値)。ディーゼル仕様は227kW(309ps)/4600rpm、最大トルク700Nm/1500-3000rpm(同)だ。組合せられるトランスミッションは10速ATで、従来の6速ATより多段化し、二酸化炭素排出量を10%削減することを目指すとのことだ。
現段階で正式に公表されていないが、ハイブリッドパワートレーンも追加で発表される可能性も考えられる。もしこれが存在するならエコカーに認定され、現在の自動車重量税制下では、購入時と初回の継続車検時は自動車重量税免除。2度目の継続車検時に減免されるなど、燃料代も含めてランニングコストの大幅な低減につながるはずだ。
サスペンションについて、詳細はまだ明らかにされていないが、現時点で公表されているのはリアサスペンションのジオメトリーの最適化だ。従来のランクル200では、ショックアブソーバーがタイヤのストローク方向とズレた「ハの字型」に配置され、リアの挙動の不安定さに繋がっていた。新型ではショックアブソーバーをタイヤストロークの方向と同一に配置し、リアの挙動の乱れを抑え、乗りやすく、そして疲れにくいクルマに仕上げたという。
ランクル200で採用されていたKDSS(キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)も大きく進化した。従来は油圧制御されいたのだが、ランクル300では電子制御のE-KDSS(エレクトロニック・キネティック・ダイナミック・サスペンション・システム)となった。
先進安全機能はランクル200時代から「トヨタ・セーフティー・センス」を採用していたが、ランクル300ではプリクラッシュセーフティに歩行者(昼夜)とサイクリスト(昼)の検出機能、交差点での対向車と対向歩行者の検知機能、緊急ステアリング機能が追加された最新版にアップデートされる。またパーキングサポートもアップデートされ、駐車場内の車両前後の障害物や、後退時の車両への接近、歩行者の認識によるブレーキ機能付きとなった。
ランクル200は標準的なグレードのみの展開だったが、新型ランクル300のグレードにはついに待望のGR SPORTが追加される。中東仕様での話だが、日本市場での導入も期待できる。
なおトヨタ系ディーラーからの情報によれば、日本仕様の詳細情報は2021年7月中に販売店へ届き、8月中に販売(予約?)も開始される見込みだという。詳細なスケジュールは不明だが、新型ランドクルーザー300の日本登場まで、そう遠くはなさそうだ。(文:猪俣義久)
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みんなのコメント
たとえTNGAの思想を反映しても
ホイールベースは変えなかったというのが
ランクルとしての厚い信頼なのでしょう。
だからメディアに媚びず電動化を一蹴した上に
ツインターボなんて素晴らしい答えじゃないか。