エクリプス クロスに待望のディーゼルエンジン仕様が加わった。すでに2017年のジュネーブショーでのアンベール時にディーゼル仕様も展示されていたのだが、その後、ディーゼルへの風当たりが強く投入が遅れていた感もあったが、ここに来てようやく発売となった。
待望のクリーンディーゼルターボはジェントルで力強く
エクリプス クロス搭載されるのは、デリカD:5と同じ4N14型2.2Lコモンレール式DI-Dクリーンディーゼルターボエンジン。2013年からデリカD:5に搭載されていたものだが、ディーゼルエンジンに厳しい時代ということも反映して、今年2月にビッグマイナーチェンジをしたデリカD:5と同じく尿素SCRシステムを採用した。
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それまではNOxトラップ触媒で還元のためにエンジンの燃焼が必要だったのだが、余計な燃焼を行うことなく、後処理でNOxを低減できるようにしたのが大きなポイントとなっている。
試乗のメインとなったのは静岡県の富士ヶ嶺オフロードコース。エクリプスクロスは本格的オフローダーとは言えないのだろうが、あえてここを選んだのは三菱の自信の現れか? 早速試乗してみよう。
オフロードへとエクリプスクロスを進める。アップダウンの比較的少ない林道コースでは、軽快さが光る。この辺は中低速トルクが厚いディーゼルエンジンと、同じエンジンを搭載するデリカD:5比べると250kg以上軽い車重、そして三菱得意のS-AWCが効いているところだ。
いわゆるクロカン4WDのような頑丈なラダーフレームとリジッドサスペンションでガンガンと乗り越えて行くようなイメージではなく、エンジンはアクセル開度に応じてしっかりと加減速し、サスペンションはしなやかに路面を乗り越えていく感じ。ボディのきしみもステアリングへのキックバックも少なく安心感は高い。
ただ、2.2Lターボというスペックから、かつてのディーゼルターボのような強力なトルクを期待すると、やや肩すかしの感もある。このエクリプス クロスのエンジンは尿素SCRシステムに加え、NOx削減のためにEGR領域を拡大している。
排出ガスがシリンダー内を再循環しているため、燃焼に使用できる空気はシリンダー容積そのままとはいかない。フィーリングはあくまでもジェントルなもので、その辺は闇雲に動力性能を求めるのではない現代的なクリーンディーゼルを感じさせるところだ。
また、一般的にそうしたシチュエーションはあまりないだろうが、すり鉢状の路面を斜めに乗り越えて平坦路に上がるというようなところでは弱点も見せた。エクリプス クロスを試乗する前にデリカD:5にも乗ることができたのだが、そちらは4WDロックモードを選んでクリアできたが、エクリプス クロスのS-AWCにはロックモードはない。
グラベルモードからスノーモードを選んでみてもクリアできない。結局、すり鉢からの脱出を諦めて、勢いをつけて直線的に乗り越えた。その辺はクルマの性格付けということになるだろう。
今回、オンロードは移動程度にしか走ることはできなかったが、ワインディングなどではガソリン仕様車と同じようにS-AWCの良さが光ってくるはず。ディーゼルエンジン仕様は長距離を走るユーザーにはガソリンエンジンにくらべてトルクフルで、走りに余裕があるディーゼルが魅力的なのは間違いなく、選択肢が広がるのは購入を考えている人には嬉しい悩みとなるに違いない。
■三菱 エクリプス クロス クリーンディーゼル BLACK Edition 主要諸元
●全長×全幅×全高:4400×1805×1685mm
●ホイールベース:2670mm
●重量:1680kg
●エンジン種類:直4 DOHC ディーゼルターボ
●排気量:2267cc
●最高出力:145ps/3500rpm
●最大トルク:380Nm/2000rpm
●WLTCモード燃費:14.2km/L
●トランスミッション:8速AT
●タイヤ:225/55R18
●車両価格:342万4680円(BLACK Edition)
■写真:原田淳
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