マニアック評価 vol.666
試乗インプレッション
走り出すとエンジンは滑らかで、低回転から十分なトルク感がある。外から見ても、乗って走り出しても、これが1.4Lエンジンとは思えない。また7速DCTでの発進、変速も滑らかで、スペックを知らなければ通常のトルコンATと信じる人もいるのではないだろうか。
加速時のエンジンレスポンス、変速のレスポンスも先代のAクラスより遥かに向上していて、市街地でも高速でも気持ちよく走ることができる。ただ、パドルシフトでエンジンを引っ張り、4500rpmより上ではエンジンのサウンドがややノイジーになって、室内に響いてくる。だから、このクルマのキャラクターはエンジンの回転を上げたりせず、下の回転で滑らかに走るのがクルマに合っているのだ。
ステアリングのフィーリングも剛性感と滑らかさが感じられ、切れ具合もリニアで安心感がある。
市街地、郊外路を走ってみると、舗装路面の荒れた場所ではフロア面の微振動が気になる。基本的に走行中の室内は静かなのだが、唯一路面からの振動感はちょっと興ざめだ。
サスペンションのフィーリングは、締まったフィーリングで硬め。若い世代を意識したスポーティ方向の味付けともいえるが、クルマのキャラクターとしてはアンマッチで、もっとコンフォートよりのほうが相応しい。16インチと18インチを比べると低速域では16インチが乗り心地的に少し有利だ。
ボディ全体は重厚感ではなく軽快感を感じるが、ステアリングの操舵感や加速、変速のフィーリングは、個々の要素ではよくできている。しかし、クルマのコンセプトの一貫性、全体の一体感という点でのまとまりは今後の課題だろう。また、メルセデスに1.4Lという小排気量を採用する背景には、もちろんダウンサイジングの流れがあることも事実だが、ライバルはこのセグメントで軒並み小排気量化を行なっており、量販クラスのユーザーも取り込みたい狙いがあると想像できる。
新型Aクラスは「ハイ メルセデス」だけじゃない
新型Aクラス=「ハイ メルセデス」のMBUXというイメージが、今までにない新しいクルマとイメージ付けられ、パブリシティ戦略は大成功といってよいだろう。
しかし、新型AクラスのハイライトはMBUXだけではない。搭載するエンジンは最新のダウンサイジング・エンジンのM282型1331cc(カタログでの表記は1.4L)の直噴ターボで、このエンジンはルノーとの共同開発。組み合わされる7速DCT(7G-DCT)もルノーと共同開発したユニットで、これらの仕上がり具合いも興味深い。
現在、日本に導入されているのはA180のみで、エントリーグレードのA180と、より装備充実のA180スタイルの2車種だ。この2グレードはエンジンやトランスミッションは共通で、装備だけが違うというグレードだ。A180が322万円、A180スタイルが362万円で、プレミアムCセグメントとしては挑戦的な価格だ。
ただしこの価格は素の状態で、MBUX付きのナビ・パッケージ、ACCなどを含むレーダーセーフティ・パッケージ、さらにAMGライン・パッケージなどをオプションパッケージを装備すると500万円台だ。つまり最新のSクラス同等のドライバー支援システムやナビを装備するとベース価格+55万円、AMGルックの装備を加えると+100万円となり、プレミアムCセグメント相応の価格となるのだ。
新時代のインテリアコックピット
試乗したのはオプション付きのA180スタイルとAMGラインのフル装備モデルで、タイヤはA189スタイルが16インチで、AMGラインは18インチ・サイズだ。
新型Aクラスはインテリアも革新され、大きなフル液晶のメーターパネルとインスツルメントパネル中央にある10.25インチの横長ディスプレイに一体化された。かつてないほど広い面積のフルカラー・高精細なディスプレイが横たわり、タブレットを配置したようなデジタルライクなデザインが印象的だ。
その一方でジェットエンジンのタービンのような形状のクロームメッキ処理の4個のエアアウトレットが存在感を主張する独特の雰囲気がある。
そして、MBUXを採用したこともあって、スイッチ類がかなり少なくなっており、新しい時代のコックピットだという実感を味わうことができる。
2018年10月に国内発表されたメルセデス・ベンツ Aクラス(W177型)は何といっても「ハイ!メルセデス」で代表される会話型インターフェイスが注目された。そちらの情報はここを見て欲しい。<レポート:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
メルセデス・ベンツ A180 諸元表
【価格】
マニアック評価
メルセデス・ベンツ Aクラス 関連情報
メルセデス・ベンツ 関連情報
メルセデス・ベンツ日本 公式サイト
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