2019年9月初旬、ボクはアルファロメオの魅力を深く知るべく、FCAジャパン(アルファロメオの輸入元)の誘いでイタリアに行った。
ローマ近郊のフィウミチーノ空港を出ると、路上に新世代アルファロメオの「ジュリア」や、「ステルヴィオ」をちらほら見かけた。が、おなじイタリア車でも圧倒的に多いのはフィアットである。
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2017年に日本への導入がはじまった「ジュリア」。従来の「159」と異なり、駆動方式はFR(後輪駆動)に変わった。H.Mochizukiアルファロメオ初のSUV「ステルヴィオ」。日本へは2018年より導入されている。ガソリンターボ・エンジンとディーゼル・エンジンが選べる。駆動方式は4WDのみ。それも当然で、アルファロメオは高級車ブランド。主力モデルであるジュリアやステルヴィオは4万~5万ユーロ以上するのだから、そんなにたくさん走っているはずもない。
ローマ市内に入ると、新世代アルファロメオをより多く見るようになった。ちなみに、2019年1月~8月のイタリア国内におけるブランド別累計販売台数は、フィアットが20万3828台だったのに対し、アルファロメオは1万7711台だった。
5ドアハッチバックの「ジュリエッタ」。ジュリアやステルヴィオと異なり、駆動方式はFWD(前輪駆動)。Paolo Tangari photographerそれでも、コンパクトハッチの「ミト」、「ジュリエッタ」、そしてスポーツ・カーの「4C」のみだった頃に比べれば、セールスは好調という。日本でも、2018年のアルファロメオの販売台数は、前年実績を39.9%もうわまわった(2458台)。
現在、アルファロメオのラインナップは写真の3モデルのみ。近い将来、コンパクトSUV「トナーレ」が追加される。ALDO_FERRERO筆者はつい最近までアルファロメオ・オウナーだった。ほんの半年前まで現行の「ジュリア スーパー」に乗っていた。「人生で1度は真っ赤なアルファロメオに乗ってみたい!」という夢があり、購入したのだ。
過ごした期間はわずか半年だったものの、気持ちいのエンジン、スポーティな走り、そしてクオリティの高いインテリアは大いに魅力だった。
筆者が購入した「ジュリア スーパー」は、ジュリアの売れ筋グレード。搭載する2.0リッター直列4気筒ターボエンジンは、最高出力200ps/4500rpm、最大トルク330Nm/1750rpmを発揮する。今回は、ジュリアのつくられた工場やブランドの歴史博物館、そしてアルファロメオも参戦するF1を取材し、アルファロメオの魅力とはなにか? を、じっくり考えることができた。
ハイ・クオリティ・ファクトリーまず、ジュリア、ステルヴィオ、そしてジュリエッタを生産するカッシーノ工場(ラツィオ州フロジノーネ県)を見学した。1972年に創業したこの工場では、フィアットの「126」、「リトモ」、「ウーノ」などが生産された。
ラツィオ州フロジノーネ県にあるカッシーノ工場は、192万9417平方メートルの敷地内に、5つの工場を持つ。カッシーノ工場ではかつて、フィアット「127」(写真)や「リトモ」などが生産されていた。工場に入ると、1972年に操業したとは思えぬほどきれいだ。訊くと、アルファロメオのプレミアム・ブランド戦略に基づき、改装されたという。3747人がはたらき、最新の工作機械がずらりと並ぶ。壁には「PREMIUM PLANT FOR PRMIUM PRODUCT」(プレミアムな製品をつくるプレミアムな工場)という標語が掲げられている。
工場内は、アルファロメオの最新モデルであふれていた。同一ラインで、あらゆるモデル・グレードを組み立てられるという。
よく観察すると、右ハンドル仕様も流れている(工場内で生産される約15%のジュリアはAPAC向け)。ボクのジュリアもここで作られていたわけだ。
ホワイトボディの工程では、1255基のロボットが稼働する。ちなみに、ロボットのほとんどはイタリアの産業機械メーカー製。ALDO_FERREROラインには、ジュリアやステルヴィオ、そしてジュリエッタがランダムに流れている。同一ラインで、あらゆるモデルを組み立てられる。3747人の従業員が働いている(男性87.9%、女性12.1%)。平均勤続年は20.5年。取材中、約40年勤務するスタッフにも遭遇した。キャリアのはじめには「リトモ」の生産に従事していたという。ALDO_FERRERO高精度コンピューターを使い、ボディの組み付けなどをチェックする。クオリティについて、あるスタッフは「ドイツ車と変わらないよ」と、自信たっぷりに話していた。ALDO FERRERO最終検査では、塗装面の細かな傷をくまなくチェックする。ALDO_FERRERO工場見学の最後、外に出ると、2台のアルファロメオがあった。日本向けの「ジュリア クアドリフォリオ」と「ステルヴィオ クアドリフォリオ」であるという。工場のスタッフは、この2台は「おなじエンジンを搭載するが、エンジン・サウンドが微妙に異なるから聞いてほしい」といって、エンジンを掛けた。聞くと、ジュリアよりステルヴィオの方がエンジン・サウンドは豪快な気がする。
そしてかれは、“クアドリフォリオ”の魅力を熱く語り始めた。元ジュリア・オウナーとして、これほど熱い思いをもった人たちが生産していたのか、と知って、「(あのとき)購入してよかったなぁ」と、思うのだった。
日本向けのジュリア クアドリフォリオとステルヴィオ クアドリフォリオ。ともに右ハンドル。完成したクルマは、カッシーノ工場内の専用コースを試走する。なお、テストドライバーには女性もいた。ステルヴィオ クアドリフォリオが搭載するエンジンは、2891ccV型6気筒DOHCツインターボ(510ps/6500rpm、600Nm/2500rpm)。日本仕様のステルヴィオ クアドリフォリオの価格は1167万円。H.Mochizukiジュリアの魅力をあらためて知る翌日、ローマから高速鉄道に乗ってトリノに向かった。駅に着くと、最新の「ジュリア」と「ステルヴィオ」があった。トリノと、このあと行くミラノでの取材のさいの移動は、この2台を運転しておこなうという。ボクは迷わずかつての愛車、ジュリアに乗り込んだ。
所有していた後輪駆動の「ジュリア スーパー」と異なり、移動車は4WDの「ジュリア Q4ヴェローチェ」だった。しかも、ハイパフォーマンスグレードの「クアドリフォリオ」のようなエアロ・パーツがエクステリアに装着されている。インテリアも、カーボン調パーツが多く、見るからにスポーティだ。木目パネルを使うスーパーとは、雰囲気が明確に異なる。
運転したジュリアとステルヴィオ。ジュリアはガソリンターボ・エンジン搭載モデル、ステルヴィオはディーゼル・エンジン搭載モデルだった。Alberto Cervettiブラックで統一されたヴェローチェのインテリア。エンジンのスタート/ストップスウィッチは、ステアリング・スポークにある。シート表皮はレザー。ヒーター機能付きのフロントシートは電動調整式。実際、運転しても、ジュリア スーパーよりスポーティで、キャラクターの違いは明確だった。
搭載する2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンがスーパー(200ps/4500rpm、330Nm/1750rpm)よりハイパワー(280ps/5250rpm、400Nm/2250rpm)で、アクセルを踏み込んだときの加速は、スーパーをらくらく凌駕する。
車両重量はスーパーより80kg重い(スーパー1590kg、Q4ヴェローチェ1670kg)が、プラス80psの威力は大きく、加速の力強さは一枚上手だ。
搭載するエンジンは、2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジン(280ps/5250rpm、400Nm/2250rpm)。Q4 ヴェローチェの駆動方式は「Q4」。電子制御式の4WDで、路面状況に応じ、トルク配分フロント:リア、0~50:100~50に変える。Q4 ヴェローチェ(日本名は2.0 ターボ Q4ヴェローチェ)の日本仕様価格は597万円。乗り心地は少々硬い。ボクが所有していたスーパーのタイヤサイズ(18インチ)に対し、Q4ヴェローチェは1インチアップ(19インチ)しているせいもあるだろうが、性能に見合う硬い足になっている。
といっても、不快になるほどのレベルではないし、ハイウェイを120km/h前後で走っているときは、十分にしなやかだった
ホイールサイズはスーパーの18インチに対し、ヴェローチェは19インチになる。試乗車には、日本仕様には設定のない純正カーナビゲーションも装着されていたので、知らないイタリアの土地も、問題なく快適に走れた。
ハーマン/カードンのプレミアム・サウンド・システムからはイタリアの明るい曲が流れている。慣れないイタリアでの運転でも緊張がほぐれてくる。上質なレザーをたっぷり使ったシートは座り心地がよく、いくら運転しても疲れない。
本国のジュリアには、純正ナビゲーション・システムも用意されている。日本仕様には設定がない。ただし、日本仕様もApple CarPlayとAndroid Autoには対応している。ジュリアで向かったのは、ミラノ郊外アレーゼのアルファロメオ歴史博物館(Museo Storico Alfa Romeo)である。ここでは、滅多に乗れないヒストリック・カーを試乗する機会に恵まれた。その印象は後編で報告する。
文・稲垣邦康(GQ)
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