ナンバープレートの分類番号(地名のとなりに記載)が2桁のクルマを探しては、そのオーナーを訪ね歩くシリーズ。20年以上もおなじクルマに乗り続ける理由とは? 第13話“大宮33”の日産「スカイラインGT-R」の巻の後編。
いつでもオリジナルに戻せます
2桁ナンバー物語 Vol.13 大宮33の日産スカイラインGT-R(前編)
1992年末にスカイラインGT-Rを新車で購入した中村さん。前編でも書いたように、とある寺院で住職を務めていらっしゃる。
「購入から2年間でマフラーやエアクリーナー、シートなどは社外品に換装しました。ロムチューンもしました。ただ、いつでもオリジナルに戻せるよう純正パーツはすべて保管しています」
走行距離は6万km弱、屋根付きガレージでの保管だから、中村さんのR32型GT-Rは美しい。塗装もオリジナルのままだ。仕様頻度の少なかったリアシートやラゲッジルームは、まるで新車のようである。
「オプションは、CDチェンジャーぐらいですかね。あとは購入後に少しずつカスタマイズしていきました」
ちなみにこのCDチェンジャー、今は配線の都合で動いていないけれど、それを直せば問題なく聴けるという。
「故障ですか? エアコンが効かなくなったり、クラッチが切れなくなったりしたことはありますが、重篤なトラブルはありませんでした。こまめに整備に出しているからでしょうね」
購入後、約2年間は頻繁に乗っていたが、そのあと20年以上も車庫で眠っていた。ただ、いつでも乗れるよう、整備や点検は定期的に出していた。
「乗らなくなってからは年間の走行距離は100km程度。東京オートサロンへ行くときぐらいだったかもしれません。なにか特別な目的がないと乗らなくなってしまったんです」
整備や点検は、GT-Rに詳しいショップへ依頼している。「ディーラーでは(整備士の)世代が変わってしまい、細かい作業が出来ないといった話を聞いたんです。30年以上前のクルマですから無理もないですよね」と、中村さん。
復刻パーツに感謝
「日産がGT-R用のパーツを復刻、販売してくれたのは助かりましたね」
日産は2017年から、R32型GT-Rのハーネス、ホース/チューブ、エンブレム、外装部品などを「NISMOヘリテージパーツ」として復刻、販売している。
「ハーネス類などを購入し、取り替えました。やはりメーカー純正部品はクオリティが高いのでありがたい。社外品の場合、品質がイマイチなものもありますので……」
コンディションをしっかり保ってきた中村さんのGT-Rは、エンジンも一発始動だし、アイドリングも安定している。撮影時に少し動かしていただいたが、問題はまったくなさそうだ。
インテリアも美しい。プラスチック類のひび割れは一切なし。エアコンは修理が1回必要になった。現在は問題ない。シートは、レカロ社製に換装されている。「ダッシュボードに取り付けたブーストメーターもそのままにしております。いかにもアナログ時代っぽいデザインですよね」と、中村さん。
GT-Rの魅力を訊くと「まずはデザインですかね。今、ブリスターフェンダーのクルマってないじゃないですか? GT-Rもさることながら、三菱『スタリオン』とかBMWの初代『M3』などのデザインが好きなんです。あとは、運転していておもしろい。決して乗りにくいクルマではないという点も魅力です。普通に運転出来ますから」
息子に受け継ぎたい
20年近く車庫で眠っていたGT-Rに、ふたたび乗るようになったのには、あるきっかけがあった。
「クルマ好きの息子が、『GT-Rに乗りたい』といったんです」
実は息子さん、実家にGT-Rがあることを小学生のときまで知らなかった。ある日、GT-Rのことを話したら「我が家にもあるよ」と、父親が見せてくれたのが初対面。さぞや衝撃だったはずだ。GT-R、かなり深い眠りについていた。
「自分の影響か、息子もかなりのクルマ好きになったとはいえ、GT-Rにまた乗るようになるとは思いもしませんでした。もともと、走るために買ったクルマなので、距離が伸びることは気になりません」
近年、人気が急激に高まったR32型GT-Rだけに、知り合いからは会うたびに“盗まれないようにね”と、忠告を受けているそうだ。「盗難の話ばかりになってしまったのが残念です……」と、中村さんは肩を落とす。
「私が乗れる限りは所有し続けますが、もし乗れなくなってしまったときは息子に引き継ぐつもりです」
この話をとなりで聴いていた息子さんは「言われなくても引き継ぐよ! いつでも準備は出来ているから」。
“大宮33”のスカイラインGT-Rが紡ぐストーリーに終わりはなさそうだ。
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Vol.13 大宮33の日産スカイラインGT-R 前編
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.)
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