衝撃発表 まさかの3日連続4連発!
2月になるといよいよGPのテストも始まるな、初日は7日だっけ、その前にテストライダーオンリーのテストがあるんだっけ……なんて悠長に構えていたら、それ以前にあるはずの「今シーズンチーム体制発表会」もそこそこに始まってしまいました! もう、衝撃発表、発表、発表の連続です!
通常、シーズンイン直前のこの時期っていうのは、チーム体制発表会→プレシーズンテスト突入、って順序だったんですが、まずはドゥカティが今シーズンの体制発表会を行なって、次はヤマハだっけな、ホンダだっけな、って思っていたところに衝撃発表が連発! それも4連発です! その主は、ほかならぬヤマハでした!
その1:ビニャーレス ヤマハ残留!
ひとつ目は1月28日。マーベリック・ビニャーレス選手と2022年まで契約更新というプレスリリースでした。
ビニャーレスはこの2020年でヤマハとの契約が切れ、新たに契約を更新するか、それとも他チームに移籍するのか、なんて言われていました。それというのも、ドゥカティがビニャーレスに興味を示していて、ヤマハ→ドゥカティのスイッチがあるのでは、と言われ始めたこともあったからです。
2021年からの新しい契約については、ここ数年の流れ通り、シーズン序盤に噂が流れ始めて、サマーブレイク前あたりに発表かな――なんて思っていたんですが、ヤマハがシーズンイン前にいち早く発表した、というわけです。早いなー(笑)、まだ2020年が始まってもいないのに2021~22年の契約が決まり、それが発表されてしまったというわけです。早すぎる。
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契約事項の発表というのは、それはもう年々ちょっとずつ早くなってきてる、って印象ですね。たとえばプロ野球なんて、選手の移籍ニュースはシーズン終了後の、いわゆるシーズンオフですよね? シーズンオフ=寒い=ストーブ出す時期の話、ってことで「ストーブリーグ」なんて言われたものですが、夏発表なんてまだストーブの時期じゃないじゃん、って言われてたのが、さらに前倒しでストーブの時期に戻ってくるというウルトラC(笑)。それほどヤマハはビニャーレスを手放したくなかったんでしょうね。
こうなるとシーズン中にモノスゴい活躍したライダーがビッグチームに引き上げられる、なんてニュースは減っちゃいますね。あと、ビニャーレスの場合は「残留」だったからよかったようなものの、チーム移籍を早々と発表しちゃって、残りのシーズンほんとにがんばんのか?とかね。そういやロレンソも2017年のドゥカティ→ホンダ移籍のニュース発表が早かった気がします。
その2:クアルタラロ ワークスチーム昇格!
ふたつ目の発表はビニャーレス案件発表の翌日、1月29日。2021年から2022年シーズンのYamaha Factory MotoGP Teamライダーにファビオ・クアルタラロ選手を登用というリリースでした!
お、クアルタラロがワークスチームに昇格かぁ。ルーキーシーズン、がんばったもんなぁ!
……いや待て……きのうビニャーレス、きょうクアルタラロがワークスチームってことは! 46番はどうなる! そう、バレンティーノ・ロッシはどうなるんだ!ってこと。
クアルタラロのワークスチーム昇格も、いわば予想されたことでした。なんせMotoGPのデビューシーズンで、予選でポールポジションが6回、フロントローが13回、決勝レースでも優勝こそできなかったものの、表彰台に7回登壇、ランキング5位で、文句なしのルーキーofジ・イヤーです。MotoGPに現れた、久々の超新星でしたからね。
このクアルタラロも、ドゥカティをはじめ、他メーカーが欲しがるのは当たり前。ペトロナスヤマハとの契約が切れる2020年末を待たず、ここもヤマハが早めに抑えた、と。
えぇぇ、んじゃロッシはどうなんのさ……そう思ったファンは世界中にいたでしょう。そしてロッシは昨シーズン終盤あたりから、ワークスチームにこだわらずに、ペトロナスヤマハ所属になっても構わない、的な発言もしていましたからね。
その3:ロッシの21年体制は20年中盤に決定!
そして、3つ目の衝撃発表はクアルタラロのニュースと同日に発表されたバレンティーノ・ロッシ選手の2021年以降のレース活動計画についてでした。内容は、ロッシは2020年にワークスチームからMotoGPに参戦しますが、21年についてはヤマハとの話し合いにより、シーズン中盤に最終決定します、というものでした。決定時期については、ロッシからの提案で7~8戦目、と。7戦目がイタリア・ムジェロですから、ロッシの母国のここでしょうね、発表は。
ロッシの下す決断は2種類。それが、引退か、現役続行か。それも、20年シーズン中盤までの成績で決めるのでしょう。ヤマハ残留は確実ですから、20年型YZR-M1の戦闘力を見て、まだやれるか、やれないのか。マシンの戦闘力的にやれないと判断したら引退、まだいけるならば現役続行です。
現役続行となれば、これはワークスチームにビニャーレス&クアルタラロ、ペトロナスヤマハにロッシ&誰か……という流れではありますが、ロッシはワークスチームではなくなるものの、どこに所属するとは明記されていません。
もし現役を続行するならば、ヤマハは「ワークスマシンと技術サポートを行なう」と確約していますから、これはワークスマシンを使用するサテライトチーム、となります。サテライトチームとワークスチームの違いといえば、マシンがワークスマシンか否か、さらに技術サポートや先行開発パーツ投入の有無、チームスタッフがワークス体制か否か、というあたりですが、ロッシのチームスタッフはこれまでも、チーフエンジニアを含めてロッシに決定権がありますから、これは最高峰のスタッフを揃えられる、ということであります。
2001年かな、ロッシ最後のGP500のシーズンみたいな感じになるんでしょう。あれも、ナストロアズーロカラーの黄色いNSR500(カッコよかったなー^^)で、チーフエンジニアにジェリー・バージェスがいて、先行開発パーツもまっさきにロッシに届いていましたから、あれこそワークスカラーでないワークスチームです。今で言うならプラマック・ドゥカティのジャック・ミラー、LCRホンダのカル・クラッチロウがそうですね。
私は2021年のTeamVR46 MotoGP結成を予想します。ロッシはここで2021年の1シーズンを走って、2022年からはチームマネージャーに専念するのではないか、ってことです。
ロッシはMotoGPのトップofレジェンドです。ロッシがいなければ、世界中でここまでMotoGP人気が爆発することはなかったでしょうし、MotoGPを主催するDORNAも、ロッシが引退してもMotoGP界にとどまってほしいと考えているはずです。
だからロッシは、2021年以降もMotoGP界からいなくなりはしません。なにごとも初のケース、が好きな人ですから(笑)GP125→GP250→GP500→MotoGPですべてチャンピオンになり、次いでチームマネージャーとしてもMotoGPチャンピオンチームを指揮する、というグランドスラムを狙ってくるはずです。そのためにはまず、現役をやりとげて、五体満足でチーム監督になってほしい、と願わずにはいられません。
考えてみれば、フレディ・スペンサー、ウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツ、ミック・ドゥーハン、そしてケーシー・ストーナーもダニ・ペドロサも、ぼろぼろになってレース界を引退していきました。ロッシにはこの悪しき慣例も打ち破ってほしい、そう思います。
その4:ロレンソがヤマハに帰ってきます!
そして4つ目のサプライズは1月30日。2020Yamaha Factory Racing Test Team強化を目指し、ホルヘ・ロレンソ氏をテストライダーに起用というものでした。見事に3日連続ですね、これは歴史に残る衝撃発表の連発です。今年のヤマハのニュース戦略、スゴいな。
ロレンソのテストライダー契約も、まことしやかに噂されていたものです。ホンダやめてすぐヤマハテストはないだろうとか、しばらくは休養するんじゃないかとか、さすがにホンダに義理があるだろう、ホンダだって引退して一定期間は他メーカーと契約できない条項があるはず……なんて言われていましたから、これも仰天ニュースですね。
しかもヤマハからの発表では、この2月あたまからのセパンテストに参加するかもしれないという早業! ロレンソのチーフメカには、2019年までロッシのチーフを務めていたシルバノ・ガルブセラがつき、おそらくヨーロッパをベースとしたテスト専門チームとして活動するはずです。ちなみにそのテストチームには、日本のJSBチャンピオン、中須賀克行の名前も挙がっています。
これで2020年のヤマハは、ワークスチームにビニャーレス&ロッシ、サテライトチームにクアルタラロ&モルビデリ、テストチームにロレンソ&中須賀という、かつてない最強ラインアップを組むことができました。
MotoGPチャンピオンを4年連続で逃しているヤマハの反撃が始まりそうですね。
そうそう、ヤマハ最後のMotoGPタイトルも、今シーズンからテストライダーとして走るロレンソの手によるものなのです。
写真/motogp.com MICHELIN 文責/中村浩史
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みんなのコメント
あと、レイニーをボロボロになって引退とか、失礼だろ。