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昭和から平成を駆け抜けたスペシャリティカー トヨタ「セリカ」7世代に渡る変遷

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昭和から平成を駆け抜けたスペシャリティカー トヨタ「セリカ」7世代に渡る変遷

■セリカは誕生後、パーソナル・スポーツ・スペシャリティカーとしての地位を確立

 1967年(昭和42年)5月、トヨタは本格的なスポーツカー「2000GT」の生産を開始します。この一台は、2リッター直列6気筒エンジンにヤマハが開発したDOHCヘッドを組み合わせた「3M型」エンジンを搭載することで、当時の2リッター車では世界トップレベルの0から400m発進加速15.9秒、最高速度220km/hを実現しました。

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 同年8月には「コロナ 2ドアハードトップ」のボディに、「2000GT」同様ヤマハが開発したアルミニウム製DOHCヘッドを組み合わせることで、最高出力110PSを発揮する「1600GT」を発売。『庶民にも買えるGTカー』として瞬く間に人気車種となり、1970年(昭和45年)12月に発売された初代「セリカ」へと続くスポーツ・スペシャリティーカーの基礎を作ります。

■日本車らしからぬ外観が与えられた初代「セリカ」

 初代「セリカ」の基本シャーシは兄弟車である「カリーナ」と共通でしたが、「セリカ」が持つ今までの日本車には少なかった滑らかで優美な曲線ラインは、どことなくアメリカのスポーティーカーを想像させるものであり、無骨なデザインのカリーナとは対照的なものでした。

 また、そのふっくらしたボディーラインや、メッキのフロントバンパーがダルマのひげ面に見えることから「ダルマ」の愛称で親しまれた初代「セリカ」は、8000回転まで刻まれたタコメーターと200km/hまで目盛りが振られたスピードメーター、水温系と燃料計とは別に油圧計と電圧計を備えることでスポーティさとスペシャリティカーらしさを醸し出しています。

 搭載された直列4気筒エンジンは、84PSの1.4リッター/100PSのシングルキャブ1.6リッター/105PSのツインキャブ1.6リッターOHV/115PSのツインキャブ1.6リッターDOHCの全4種類で、DOHCエンジンを搭載する「GT」以外のグレードではエンジン、ミッション形式、内装を好みで選べる“フルチョイス”システムを採用していました。  1973年(昭和48年)4月には、なだらかな傾斜のリアゲートを持つ3ドアボディーの「セリカ“リフトバック”」が登場。

 クーペが丸くすぼんだテール周りのデザインだったのに対し、エッジが効いたラインを持つこのモデルは、縦に5本レイアウトされたテールランプが当時のアメリカ車をイメージさせるもので、若者たちからは『LB(エルビー)』と呼ばれクーペよりも人気となります。  この縦型5本テールランプのデザインが途中で角度が変わっていたことで『バナナの房』を連想させたことから、縦3本にテールランプのデザインが変更された後期モデルと区別するために前期モデルは“バナナテール”と呼ばれていました。

■2代目セリカは、不評から転じて人気車種に

 1977年(昭和52年)8月に登場した2代目「セリカ」は、初代と同様に2ドアクーペと3ドアリフトバックの2種をラインナップ。空力を高めるため、日本初の三次元曲面サイドガラスを採用した同モデルは、先代リフトバックのシャープな印象と相反するルックスで“せむし”や“セリカ・バン”などと呼ばれていました。

 2代目「セリカ」に搭載されたエンジンは、トップグレードの「2000GT」に搭載された2リッター4気筒ツインキャブDOHCと「1600GT」の1.6リッター 4気筒EFI(電子制御燃料噴射装置)仕様のDOHCユニットを筆頭に、2リッター SOHC/1.8リッター OHV/1.6リッター OHVの5種類を用意。

 1978年(昭和53年)4月には、上級車種としてクラウンと同じ2リッター/2.6リッターの直列6気筒エンジンを搭載した「セリカXX」も登場しますが、このモデルはもともとスポーツ・スペシャルティカーとして人気を博したセリカを好む層からは“大きく重いだけ”と酷評されることが多く、一部ユーザーからは『セリカ・霊柩車』とまで言われるほどでした。  初代「セリカ」が、そのキャラクターで若者を中心に人気を博していたのに、2代目へのモデルチェンジで失敗したと認識され始めていた1979年(昭和54年)8月、トヨタは本来のセリカの魅力でもあったスポーティさを強調する“名ばかりのGT達は、道を開ける”と言うキャッチコピーを掲げ、マイナーチェンジ。

 これにより、「セリカXX」と共通の角4灯ヘッドライトへと変更された2代目は、先進性を追い求め失いかけたセリカのブランドを復活させることに成功しました。また、後期型クーペモデルは、初代の雰囲気も残しながらシャープな顔立ちを持ち、現在もセリカ・ファンの間では高い人気を誇っています。

 さらに、1980年(昭和55年)1月には、「カリーナ」と共通プラットフォームを持つ4ドアセダン「セリカ・カムリ」を発売。初代「セリカ」を好みながら年齢を重ねてもスポーティさを忘れられない層に支持されました。

■3代目セリカは、2代目XXの影に隠れた存在

 1981年(昭和56年)7月に、トヨタは3代目「セリカ」を発売します。同年2月に2.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載する「ソアラ」がデビューしたことによって、3代目「セリカ」と一緒に発売された2代目「セリカXX」と共に若者向けのスポーティ路線へと舵を切りました。

 同時期の「カリーナ/コロナ」と基本シャーシを共通する3代目は、2.0リッター 4気筒DOHC/1.6リッター 4気筒DOHC/EFI仕様の1.8リッター OHV/新開発の1.8リッター SOHCの4種のエンジンを用意。

 ボディーバリエーションは、初代「セリカ」から続く2ドアクーペと3ドアリフトバックの2種でしたが、クーペは傾斜角のきついリアウィンドウが印象的で、対するリフトバックは「セリカXX」と近似する緩やかな傾斜角の直線的リアゲートを有したことで、同一車種ながら異なる個性が与えられました。

 前期モデルの特徴的なポップアップ式ヘッドライトは、その見た目から“平目・セリカ”と呼ばれましたが、1983年(昭和58年)8月のマイナーチェンジ後は一般的なリトラクタブル式に変更されています。

 また、1982年(昭和57年)9月には1.8リッター 4気筒DOHCターボエンジンを搭載する「GT-T」が発売された他、北米市場向けとして「セリカ・コンバーチブル」も用意することで、海外でも高い評価を得ていました。

■駆動方式をFFに変更した4代目「セリカ」

 1985年(昭和60年)8月、トヨタは従来同様に「カリーナ/コロナ」と共通シャーシを利用することから、駆動方式がFFとなった4代目「セリカ」を発売。リトラクタブル式ヘッドライトと角を削り取ったような丸みの強いボディーラインを持ち、トヨタ自身も“流面系”と呼んでいたこのモデルは、3ドアのみの展開となっています。

 トップエンドモデルには、自然吸気ながら最高出力160PSを発揮するDOHC16バルブヘッドを採用した2リッターエンジンを搭載。

 1986年にはターボチャージャーを備えることで最高出力185PSを発揮するパワーユニットと、手動デフロック付きセンターデフ搭載のフルタイム4WD駆動車「セリカGT-FOUR」を発売し、ラリーの世界で活躍を重ねることで、新しい時代のセリカが確立されていきます。

 また、1987年(昭和62年)10月には「コロナ・クーペ」と同様にトランクルームを持つ専用ボディの「セリカ・コンバーチブル」が国内ラインナップに追加。このコンバーチブルは6代目「セリカ」まで継続されました。

■ラリーの世界で大活躍した5代目「セリカ」

 1989年(平成元年)9月、4代目をベースにしながら各部の補強やチューニングを施したシャーシを用いた5代目「セリカ」がデビューします。トップグレードとなるフルタイム4WDの「セリカ GT-FOUR」は、エンジンの高圧縮化や細部にわたるチューニングにより最高出力225PSを達成しました。

 さらに、クロスレシオのマニュアルミッションを標準装備し、エアコンやパワーウィンドウなどの快適装備を省いたラリー競技ベース車「GT-FOURラリー」もラインナップされ、『セリカ=ラリーに強い』と言うイメージを定着させていきます。

 1990年(平成2年)8月に「GT-FOUR」を前後ブリスターフェンダーでワイドボディ化した「GT-FOUR A」を、その翌年(平成3年)にはWRC用のホモロゲーションモデルとしてグループA規定の5千台を生産した「セリカ GT-FOUR RC(ラリー・コンペティション)」も登場しましたが、このモデルはラリーフィールドで活躍していたことから輸出モデルはTTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)」が擁するトップラリードライバーの名前を用いて『カルロス・サインツ・リミテッドエディション』と呼ばれていました。

■6代目「セリカ」は究極のラリーマシンへ進化

 1993年(平成5年)10月、トヨタは「カリーナED/コロナ・エクシヴ」と共用シャーシを用いつつスポーツ性を高めた6代目「セリカ」を発売します。スポーティーモデルである「SS-II」は先代と同じく180PSを発生する2リッター4気筒DOHCエンジンを搭載し、「スーパーストラットサスペンション」採用モデルも用意されていました。

 普及モデルである「SS-I」グレードは高効率・省燃費を狙いながら140PSの出力を発揮し、日常の使い勝手と低いランニングコストを実現していましたが、ターゲット層が持つセリカのイメージとは離れていたために実際の販売台数は少なかったようです。

 また、1994年(平成6年)2月には、水冷式インタークーラーやDジェトロ燃料供給方式を取り入れることで255PSを発揮する2リッター4気筒DOHC16バルブターボエンジン搭載のWRCホモロゲーションモデル「セリカGT-FOUR」を発売。ブレーキやサスペンションを強化することで高い走行性を実現。

 さらに1997年(平成9年)12月のマイナーチェンジ時には、自然吸気エンジンながら最高出力200PSを絞り出すVVT-i採用エンジン搭載車も登場し、ターボエンジンとは違った軽快なフィーリングでドライバーを楽しませるクルマに進化しています。

■ダウンサイジングされた7代目「セリカ」

 1999年(平成11年)10月、トヨタは1970年(昭和45年)から続く長い歴史を持った「セリカ」を7代目にモデルチェンジしました。高速走行時の安定性向上を狙ったロングホイールベースが生むシルエットは、特徴的な縦長のヘッドライトや切り立ったリアデッキと併せ独特な雰囲気となっています。

 先代からダウンサイジングされつつも190PSを発揮する1.8リッターのエンジンは、心地良いスロットルレスポンスと伸びやかな加速を実現。姿形はまったく違えども「パーソナル・スポーツ・スペシャリティーカー」として誕生した初代「セリカ」に相通ずるクルマに仕上げられています。

 しかしながら7代目「セリカ」は、6代目までと同様の人気を得られないだけでなく、市場にも受け入れられなかったため、2006年(平成18年)4月に販売を終了。36年間に渡るセリカの歴史に幕を閉じたのです。

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