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このクオリティーで440万円は安い!?BYDの電動SUV「ATTO 3」の実力を徹底検証

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このクオリティーで440万円は安い!?BYDの電動SUV「ATTO 3」の実力を徹底検証

 中国・深圳に本社を構える比亜迪(BYD)は、電気自動車(BEV=バッテリーEV)をメインに開発、生産、販売をしている。1995年に創業した会社だが、もともとはバッテリーメーカーだった。現在ではその技術を生かした電気自動車(バスなども)では中国でもトップメーカー。欧州への輸出も行なっている。そのBYDが日本でもEVの販売を開始した。現時点で発売されているのは「ATTO 3(アットスリー)」の一車種だが、すでに別の2車種の追加も発表されている。

初めて乗った中国製のEV。その完成度はどうなのか? 

中国のEVメーカーBYDが日本上陸、2023年に3車種を投入

今回、試乗したのは「ATTO 3」。ボディーサイズは全高4455mm、全幅1875mm、全高1615mm、ホイールベース2720mmというミドルサイズだ。日本車でいうと、全長はちょうど「カローラ」ぐらいだが、全幅は「アルファード」、全高は「カローラクロス」に近い。

 デザインは、最新のトレンドを採り入れている。細長いヘッドライト、左右の大きな空気の取入口、サイドからリアのイメージは、アウディ「Q2」のようだ。これは、アウディからデザイナーを招いた影響によるものかもしれない。



 全高が1.6m以上あるのでSUV、クロスオーバー系に属するが、スタイリングは欧州ハッチバックの5ドアというイメージだ。バッテリーは、BYDが開発した新型を搭載。総容量は58.56kWh、航続距離は485km(WLTCモード)と公表されている。モーターの出力は204PS/310Nmとなっている。

 試乗車は、日本仕様。運転席に座ってポジションを合わせると、着座位置の具合もよい。ウインカーレバーはコラムの右側にある日本仕様。Dレンジでスタートする。ドライビングモードは、スポーツ/ノーマル/エコの3モードなので、まずノーマルモードを試した。スタートからの動きは軽い。ハーフアクセルでもぐんぐん加速する。ちなみに0→100km/hは7秒台なのでスポーツモデルの部類に入れてもおかしくない速さだ。

 低速では、ウォーンという音を発していたモーター系も30km/h以上では静かになった。回生は「Standard」と「High」の2モードを選択できる。スタート時の電池容量は100%充電で480km走行可能という表示が出た。

高速走行での電池の消費が少ない

 街中から高速道路を走った。高速走行は、重めの操舵力で安定感がある。ハンドルを切り込むとやや抵抗がある。直進性の強いハンドリング。カーブでの切り込みもやや抵抗がある。乗り心地も目地での上下動はあるが、抑えが効いている。高速での移動はラク。ここでの驚きは電池の消費量だ。一般的に高速走行では電池の消耗は多くなる。ところが「ATTO 3」は、高速走行での電池の消費が少ない。これは自社製のブレードバッテリーの性能が高いことを意味する。

 試乗した時は気温も10度以下の冬期だったが、バッテリー温度を一定に保つバッテリーマネージメントシステムなどを含む、パワーシステムアッセンブリーとヒートポンプシステムにより、エネルギーの効率的な出力を可能にしているという。駆動用電池の保証は8年/15万km。

 ハンドリングは中速域でも常にやや重めの操舵力と安全性を保持していた。フロントにベンチレーテッドのディスクブレーキを備えた制動力も剛性感があり、信頼感は高かった。乗り心地も低速ではタイヤからのザラつきは少しあるものの、スポーツモードでも硬すぎることもなく、実用的なセッティングだ。ちなみにタイヤは、コンチネンタルの「エココンタクト6Q」235/50R18が奢られていたが、タイヤとのマッチングも悪くなかった。 

 試乗車は、右ハンドルの日本仕様。ウインカーレバーがコラム右側に位置していることはすでに述べた通り。室内はこのほかにも、新しいアイデアが採用されている。その一例が、タッチスクリーンだ。インパネ中央の12.8インチスクリーンは、スイッチで横長から縦長に回転する。横長の画面でコネクテッド機能を操作。そのあとでナビ画面を使用するときはタテ長画面に回転させる、というように使い分けができる。日本語音声認識機能も付いている。



現時点でのEVの中では、もっとも使い勝手のよい1台

 先進技術もクルーズコントロール、レーンキープアシストは元より、ブラインドスポットインフォメーション、緊急ブレーキ、交通標識認識、アラウンドビューシステム、緊急時通報も装備されている。さらに車両から電気を取り出すVTL/VTHにも対応している。

 後席も着座位置は高くなく、ドアウインドウは肩の高さまである。開放感には欠けるが、ガラスルーフが後席の頭上まで広がっているので、室内は明るい。足元も足を組めるほどではないが、このクラスのクルマとしてはスペースも確保されている。頭上の空間もクルマの全高が1.6m以上なので、圧迫感はない。床面もフラットなので、大人3名乗車も可能だ。

 後席背もたれは6対4で前倒しできる。ラゲージスペースは、2段階の高さ調節ができ、上の段と後席を前倒しにしたときに同一面になり、広いスペースが得られる。下の段に、充電用ケーブルなどを収納することもできる。後席の可動部分やラゲッジスペースの仕上がりもクオリティは高い。



 BYD「ATTO 3」を試乗しての結論は、現時点でのEVの中では、もっとも使い勝手のよい1台といえる。車両価格は440万円だが、4年サブスク型のリースプランを利用すれば、補助金を使うと毎月固定支払い4万400円(税抜)から購入できる。販売、整備も2023年1月時点で15都道府県に22拠点を開設するとしていた。購入するかは別にして、一度ハンドルを握ることをすすめたい。

■関連情報
https://www.byd-japan.com/model/byd-atto-3

文/石川真禧照(モータージャーナリスト) 撮影/藤岡雅樹

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