40年以上にわたってミニカー専門店として営業していた「ミニカーショップイケダ」が、2021年7月に閉店した。多くのコレクターが集う大人気店だっただけに、その衝撃は計り知れない。
今回はコレクターの方に店の思い出と人気の高かった同店発行の「ミニカーマガジン」について語っていただいた。
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文/加藤 久美子
写真/加藤 久美子、川中 聡、永田 容啓
[gallink]
■2021年7月に閉店したミニカーショップイケダ
初めてお店に行った翌日、池田さんは急病に見舞われた。そして閉店
ミニカーコレクターの方なら、一度はその名前を聞いたことがあるのではないだろうか? 東京都内で40年以上にわたって営業されてきたミニカーショップイケダである。
2021年7月、店主である池田氏の急病によって突然お店が閉じられることになった。7月8日にウェブサイトと実店舗にお知らせが出たことで閉店を知った人も多いだろう。後日知ったが、池田氏が倒れたのは7月2日だったとのこと。
実はミニカー好きの息子がミニカーショップイケダで予約していた紅旗のミニカーを「早く手に入れたい」「一度くらい実店舗に行ってみたい」という理由で日暮里の実店舗まで受け取りに行ったのが7月1日19時少し前のことだった。
ミニカーショップイケダ発行の月刊小冊子『ミニカーマガジン』
接客いただいたのは池田氏ご本人でとても親切に丁寧に接客してくださったそうだ。
なお、池田氏は現在も闘病中とのことだ。
ミニカーショップイケダといえば、品ぞろえの豊富さはもちろん、45年もの長きにわたって運営されてきた老舗中の老舗店である。
さらに他のミニカーショップにはない大きな特徴として際立っているのが「ミニカーマガジン」の存在だ。こちらは同店が発行するミニカーファンを対象とした月刊の小冊子で、他社ミニカー販売店や自動車関連の施設、自動車博物館などで無料配布されていた。お店と同じくらいの長い歴史を持っている。
定期的に発行されるミニカーや自動車模型をテーマにした雑誌としては日本でもっとも長い歴史を持っていた。ルーツはアサヒ玩具の「コレクター」誌で1969年の終刊後は可堂玩具(のちに「カドー」)が「ミニチュア・カー」(1969年より月刊化)として引き継ぎ、1994年に終刊してから同年9月にミニカーショップイケダによるミニカーマガジンの歴史がスタートした。
新製品の発売情報だけではなく、非常にクオリティの高い記事も好評で資料的な価値も十分にあった。
残念なことにこちらも閉店と共に2021年7月号(通巻322号)を最後に廃刊となっている。
■コレクターが語る「ミニカーマガジン」の魅力とは?
中身も非常に濃かった「ミニカーマガジン」。毎月様々専門家か得意テーマの記事を寄稿していた。
ミニカーマガジンはミニカー好きの子どもから大人、そしてトミカ2万台規模を収集するコレクターまで多くのミニカーファンに愛される雑誌であり、なおかつ世間一般には知られていないディープなミニカーの世界を知る最強の教科書でもあった。
コレクターの皆さんはミニカーマガジンに対してどのような思いを抱いているのだろうか?
最後となった2021年7月号の発行部数は3万部!
創刊号からミニカーマガジンを愛読してきた2人のコレクター、川中 聡さんと永田 容啓さんにミニカーマガジンの思い出を語っていただいた。
●川中 聡さん/大阪府交野市在住
ミニカーショップイケダさんは老舗中の老舗であり、特に特注トミカでは開拓者ともいえる存在でしたね。ミニカーマガジンに関しては、前身の『月刊ミニチュアカー』から読んでいて、『ミニカーマガジン』は創刊号から読んでいます。
私は西部警察が大好きで、中学生の頃からトミカをカスタムしてガゼールやマシンXを作ったり、装甲車をプラ板から自作したりしていました。ボツ覚悟でこれらのカスタムミニカーの記事を編集部に投稿したところ、2000年4月号に掲載いただいたのがお付き合いの始まりです。
以降、キャラクターカー特集や3インチ日本車特集など、年1回のペースで20回も掲載頂きました。編集部のYさんには大変お世話になりました。
個人的には、自作のカスタムトミカが掲載された2001年3月号の「カスタマイズトミカを作りましょう」に思い入れがあります。
『欲しい車種がトミカにないから自分で作ろう』という発想で、トミカをカスタムして別の車種に変える、という内容です。今見ると恥ずかしい限りですが、当時はトミカをカスタムしているコレクターはほとんどいなかったと思います。
ネットに情報があふれる昨今、ミニカーマガジンのような雑誌は存続が難しいかもしれませんが、突然の廃刊は非常に驚き寂しかったですね。
年始のベストミニカーアンケート特集は、同じミニカーに人気が集中することがなく、ミニカーの奥深さとコレクターの幅広さを実感できました。「こんなミニカーがあったんだ」「こんな特徴があるのか」と、偏りがちなコレクター目線を広げてくれる役割もあったと思います。
いつかは不定期のネット記事でもよいので是非復活してほしいと思います。
●永田 容啓(やすひろ)さん/静岡県浜松市在住
ネットがあまり普及していない頃より愛読しており、当時は新しく発売されるミニカーの情報を得るための貴重な資料として重宝していました。2007 年より巻頭を飾る特集記事を年に一度書かせていただくことになり、光栄に感じておりました。
私自身も40年近くミニカーのコレクションをしており、その時代時代で集めるものも変わったりしましたので幅広いジャンルのミニカーを読者の皆さんにご紹介できたかなと思っています。
貴重なミニカーマガジン創刊号の表紙はRX-7が飾った
やはり自分が苦しみながら書いた記事には愛着があります。特に大好きなフェラーリの記事やポルシェのCカーの特集などはかなり力が入っておりました。もちろんトミカ関係の記事も書きました。
イケダさんがお店を閉めたことは非常に残念です。20代の頃から東京出張の際にはできるだけ効率よく仕事を片付けてイケダさん、ガリバーさん、アド(アイアイアドカンパニー)さんに寄り道してカバンを膨らせて帰ったことを思い出します。
お金が無くて新幹線でビールを買えないこともよくありました(笑) イケダさんも日暮里駅近くの最初のお店が面白かったです。その頃から掘り出し物がたくさんありましたね。
■人気!「ミニカーマガジンメーカー」とは?
お気に入りミニカーでミニカーマガジンの表紙を飾れる!
ミニカーマガジンは廃刊となってしまったが、いつまでもミニカーマガジンの雰囲気を味わえるサイトがあるのをご存知だろうか?
ミニカーファンの間で話題になっていサイトでは、好きなミニカーの写真でミニカーマガジンの表紙を飾って遊ぶことができる。写真のほか、特集記事のタイトルやミニカーの名前やスケールなども入れることができる。
サイトを作ったのは64minicarさんだ。64minicarさんはポスターや紙面デザイン、webサイト制作、アプリのUIデザイン、動画制作などをと幅広く手掛けている。
なぜ、このサイトを作ったのだろうか?
64minicarさん「ミニカーマガジンを惜しむ声がSNSで上がっているのを見て、何かできないかなと思ったのがきっかけです。40年以上にわたって長く続いてきたものが突如としてなくなるのは悲しいし寂しいという私の思いもあります。
誰でも楽しめてSNSで投稿したくなるものを考えた結果ミニカーマガジンメーカーが生まれました。
表紙に写真だけ入れ込むのだけではなく特集欄をフリーテキストにして架空の特集を作れるようにしています。皆さん思い思いの特集を組んで楽しんで頂いてます」
※ミニカーマガジンメーカーのサイトはこちら。スマホでのみ利用可能(リンク先)
ミニカーマガジンを懐かしみながら、お気に入りのミニカーで表紙を作ってみてはいかがだろうか?
もちろん無料で利用可能だ(※「ミニカーマガジン ジェネレーター」で検索可能)。
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みんなのコメント
ワタシ3300点持ってました…orz
しかしミニカーショップも、ずいぶん減りましたね…
このイケダ閉店のショックは、あの「ミスタークラフト」の時を
思い起こさせます…
イベント等にも出店していた静岡の「P-4」もそうですし…
渋谷警察署近くにもあったっけね。
知らぬ間に倉庫の一角の狭いスペースになってしまい
経営大丈夫?かと不安だった。末期は品揃えも少なく
女性店員の対応も悪かった。ベルベみたく突然潰れた
から経営も逼迫してたんだね。