■「昔の名前で出ています」復活したアメリカ車の車名
2020年7月、フォードは1996年に生産を終了していたSUV「ブロンコ」の復活を発表。2021年初頭に生産を開始するという。また、同年8月にFCAは、1991年に生産終了となっていたジープの「グランドワゴニア」のコンセプトカーを発表。こちらも2021年の生産開始がアナウンスされた。さらには、この秋にはGMCから「ハマーEV」も登場するだろうと噂されている。
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相次ぐ、昔の名前の復活。そこには、どのような理由があるのだろうか。
まず、話題の3台はどのようなクルマなのだろうか。そこから説明していこう。
フォード・ブロンコは、1966年に誕生し、1996年まで生産されていたSUVだ。
初代モデルのライバルは民生クロカンの祖といえる「ジープ」。その後もブロンコは、2ドア+荷室という質実剛健な本格派として代を重ねていた。そして、24年ぶりの復活となる新型も、その内容は本格派のオフローダー。タフな4WDとして再デビューを果たす。
ジープ・グランドワゴニアは、1991年に生産終了となった。1963年から販売された「ワゴニア」の進化版で、1984年よりグランドワゴニアを名乗るようになる。
ジープというクロカン専門ブランドの中で、プレミアムSUVという新境地を開拓したモデルといえる。当然のように復活する新型モデルも、現代のプレミアムSUVにふさわしい、ゴージャスな内装や最新技術が採用されている。
ハマーは、アメリカ軍の軍用4輪駆動車「ハンヴィー」をルーツに持つ大型SUVだ。
1992年に実際の軍用車の民生版として「H1」の名称で販売が開始され、1999年より「ハマー・H1」と名称を変更。2002年より乗用SUVベースに代替わりし(ハマーH2)、2006年にハマーH3が登場し、2010年に生産が終了となる。軍用車をルーツにするだけあって、その強面のルックスが最大の特徴であった。
そんなハマーがこの秋、EVとなって復活する。CRABWALKモードがあり、4輪操舵によって、まるでカニのように横に移動できるという。
本格クロカン、プレミアムSUV、強面のEVという、どれも個性の強い3台。コロナ禍で意気消沈するアメリカ自動車業界としては、明るいニュースとなることだろう。
※ ※ ※
そんな3台のように、生産終了となっていた旧型モデルの名称が新型で再び採用される、こうした“昔の名前で出ています”という復活劇は、今回の3台にとどまらず、じつは広く世界中で見られる光景だ。
日本でいえば、ダイハツの軽自動車「タフト」やコンパクトSUVの日産「キックス」、ダイハツ「ロッキー」も、すべて復活した名称だ。
ダイハツ・タフトは、1984年に生産終了。日産・キックスは、2008年から2012年に生産されていた軽自動車。またダイハツ・ロッキーも、2002年に生産終了となっていたSUVであった。
さらにいえば、過去2、3年の話題のクルマにも、そうした復活の名称が数多く存在する。トヨタの「スープラ」、ホンダの「インサイト」もそうである。海外ブランドでいえば、2019年に誕生したランドローバーの新型「ディフェンダー」も、3年の生産終了期間を挟んでの復活となる。
■世界的なSUV人気で各社ラインナップの拡充が急務
そもそも、そうした名称の復活劇が多いのは、いくつかの理由が挙げられる。
最大の理由は「知名度」だろう。誰も聞いたことのなかった新しい名称を広く知らしめるのは、非常に手間もコストも時間もかかるもの。とくに飲料品などは売り上げを伸ばすのには膨大なマーケティング費用がかかり、計算してみると商品の販売価格の9割がそうした費用になるという笑い話さえある。
そうした費用と時間を一気に短縮できるのが、すでにある知名度の高い名称を再利用するという方法だ。とくに旧型の人気が高いほど、その効果が大きい。レクサスのスポーツモデル「LC」の知名度が、トヨタの「スープラ」ほど高くはないというのも、このような歴史があるなしの差ともいえるだろう。
また、車名には商標という問題がある。自動車メーカーというものは、数多くの車名の商標を取得しており、誰もが知っていそうな言葉を新型車に使うのは、意外と簡単ではない。
ルノーの「クリオ」が、日本で「ルーテシア」の名称を使うのは、すでにホンダがクリオという名称を商標登録していたからだ。
そして、もうひとつ注目してほしいのは、ブロンコやグランドワゴニアをはじめ、ディフェンダー、タフト、キックス、ロッキーという、これらの復活劇の名称がすべてSUVというところだ。
これは端的にいえば、時代のトレンドというのが理由だろう。
いま、日本で人気を集めるのはSUVとなる。2020年の1月から6月の新車販売ランキングで1位を獲得しているのは、「プリウス」でもなく、「カローラ」でもなく、「アクア」、「ヤリス」でもない。SUVの「ライズ」だ。
また、日本だけでなく、SUVの注目は欧州や中国でも非常に高まっている。さらにいえば、アメリカは、もともとSUVの人気が非常に高い。ピックアップトラックのフォードF150が、約30年にわたって乗用車も含めて販売台数ナンバーワンになるお国柄だ。
そこに世界的なSUVブームが到来したのだ。自動車メーカーとしては、売れ筋であるSUVのラインナップをさらに拡充したいと考えるのは当然のこと。
そして、過去に同様のコンセプトでディスコン(終売)になったモデルがあれば、誰も知らない新しい名称を使うよりも、名称を復活させることを選ぶだろう。
SUVのブームが到来したことで、SUVの車名復活が増えた。それが、とくにSUVで多くの復活がある理由といえるだろう。
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みんなのコメント
次期型はEVで1000馬力、0〜100kmを3秒なんて記事も見ました。
次々に出るEV車のスペックには毎回驚きますし魅力たっぷりですがエンジンを積んだ車が消えて行くのは少し寂しいです。