「ネンオシャ・チエブク・トウバシメ」は、楽しいバイクライフに欠かせない呪文!?
快適なバイクライフを送り、愛車と長く付き合っていくために欠かせない、点検やメンテナンス。愛車を手入れをする時間もバイクの楽しみの一つといえますが、自分でメンテナンスをするのが苦手という人も少なくありません。
【画像】「ネンオシャ・チエブク・トウバシメ」を確認する(11枚)
そんななか、日頃のバイクの点検のときに使われる「ネンオシャ・チエブク・トウバシメ」という言葉があります。この呪文のような言葉には、いったいどのような意味があるのでしょうか。
バイクの「日常点検」は、道路運送車両法で定められています。乗る頻度にかかわらず、ユーザー自身でバイクの状態や走行距離などから判断して、適切な時期に日常点検をしなければなりません。
この日常点検の項目は明確に決められていませんが、安全に走らせるためにはバイクの隅々までチェックする必要があります。その点検項目を覚えやすく表したのが「ネンオシャ・チエブク・トウバシメ」というわけです。
これは各点検項目の頭文字を並べた言葉で、もっと細かく分けると「ネン・オ・シャ・チ・エ・ブ・ク・トウ・バ・シメ」となり、全部で10項目。
まず「ネン」は燃料のことで、充分な量のガソリンが入っているか確認することを示しています。とくに高速道路を使って長距離を走る場合は、途中でガス欠すると違反キップを切られることになるので満タン近く入っていると安心です。また、近年普及しつつある電動バイクの場合は、航続距離があまり長くないので充分に充電されているかメモリをチェックしましょう。
続いて「オ」はエンジンオイルのことで、適正量がきちんと入っているか、黒く汚れて劣化していないかを確認します。一般的に、オイルの点検窓はエンジンの下あたりに付いているので、外からでも簡単にチェックが可能です。
またバイクを真っすぐ立てると正確な量が確認できますが、点検窓がないバイクもあるのでその場合はオイルゲージで確認します。愛車のコンディションをよい状態にキープするためには、エンジンオイルの小まめな点検が重要なポイントと言えるでしょう。
ネンオシャの「シャ」は車輪のことで、タイヤの状態をチェックすること。すり減ってスリップサインがでていないか、正常な量の空気が入っているか、異物が刺さっていたりヒビがないかなどを入念に点検します。異常がみられた場合は、空気圧であれば調整して、タイヤが古く劣化しているようなら早めに交換を検討するようにしましょう。
そしてチエブクの「チ」は、チェーンのことです。金属でできているチェーンは頑丈なのでそう簡単に切れたりはしないものの、少しずつ伸びるので張り具合をチェックする必要があります。
なお、サイドスタンドを立てた状態でチェーンの中央付近を指で押して、上限に2cmから3cmくらいたるんでいれば正常です。またサビの発生や油切れも確認し、問題があるようならチェーンを調整したり、きれいに清掃して注油することも大切です。
エ・ブ・ク・トウ・バ・シメまでを確認する
さらに「エ」は、バイクの心臓部ともいえるエンジンのこと。ただ、簡単に中をみることはできないのでエンジン音に異常がないか、オイル漏れなどがないかなどを入念にチェックします。また、冷却水の量もリザーバータンクのメモリを見て確認して、減っているようなら補充するだけで問題ありません。
「ブ」が示すブレーキも、安全に走行するために欠かせない重要な項目の一つと言えるでしょう。点検する際は、まずバイクにまたがり、ブレーキをかけた状態でバイクを前後に揺するよう動かします。しっかりブレーキがかかっているのが確認できれば、OKとなります。
また、ブレーキレバーの遊びが遠すぎても近すぎてもよくありません。遊びが大きいようなら適切な位置に調整します。それ以外にもブレーキパットが減っていないか確認することも大切なポイント。ブレーキの不具合は事故に直結することなので、念入りにやっておいて損はありません。
続く「ク」はクラッチのことで、主にギア付のバイクに乗っているライダーだけにあてはまる項目です。クラッチレバーが正常でないと半クラッチがやりづらかったり、エンストを起こしやすくなるので遊びの量をチェックしましょう。調整するときは、レバーを握りはじめてから1cmから2cmの範囲で半クラッチの状態になるようにするのが適正な遊びの量です。
そしてトウバシメの「トウ」は、灯火類のこと。ヘッドライトはもちろん、ウィンカーやプレーランプ、テールランプ、ナンバー灯まで光るものはすべて対象なので、乗る前にこれらが正常に点灯するかひと通りチェックします。一つでも球切れした状態で運転すると整備不良になってしまうので注意が必要です。
次にくる「バ」はバッテリーを表します。セルスイッチを押した際に、セルモーターが正常に回ってスムーズにエンジンがかかるかチェックしましょう。また、ホーンの音やウィンカーの点滅などに異常がみられるようなら、バッテリーが弱っているサインかもしれません。
その場合は充電して様子をみて、すぐバッテリーが上がってしまうようなら寿命の可能性が高いので交換を検討しましょう。また、「バ」はバックミラーの意味も兼ねているので、しっかり後方が見えるよう調整されているか、汚れはないかなどを確認します。
そして最後のトウバシメの「シメ」は締め付けの意味で、各部のボルトやナットが緩んでないか確認することです。バイクは、走行の振動などでボルト類が緩んでしまう場合があるので、少し面倒と感じるかもしれませんが、各部の締め付けをひと通りチェックすることが求められます。
※ ※ ※
呪文のような「ネンオシャ・チエブク・トウバシメ」は、10個のバイクの点検項目をまとめた言葉でした。ただライダーとしては、「定期的にすべてを点検するのは大変」というのが本音かもしれません。
そこで最低限チェックしておきたい4項目をまとめた「ブタと燃料」という言葉もあります。「ブ」はブレーキ、「タ」はタイヤ、「と」は灯火類、「燃料」はガソリン残量のことです。
安全のために10項目すべてを確認するのがベストですが、「忙しくて手が回らない」という人もいるかもしれません。その場合も、とくに重要な4項目だけは必ずチェックしてから出発するようにしましょう。
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