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カーブで光るトヨタ・セリカ ワンランク上のマツダMX-6 ホットハッチ的なローバー220 クーペ 1990年代の煌き(2)

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カーブで光るトヨタ・セリカ ワンランク上のマツダMX-6 ホットハッチ的なローバー220 クーペ 1990年代の煌き(2)

ステアリングとシフトフィールはベスト

6代目、T200型トヨタ・セリカのドライブトレインでキラリと光るのが、5速MT。プラスティック製のシフトノブはステアリングホイールの近い位置へ伸び、シフトレバーは適度に重く、ストロークも長すぎない。

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最高出力175psとパワーの限られた3S-GEユニットの能力を、カーブでも目一杯引き出せる。同時期のドイツ製クーペと比較しても、シフトフィールでは勝るだろう。

加えて、ステアリングも3台のベスト。重み付けが丁度良く、不足ないフィードバックが手のひらへ伝わってくる。ロータス級のコミュニケーション力はないとしても、滑らかで扱いやすい。

セリカのサスペンションに、凝ったところはない。前後ともマクファーソンストラット式で、どちらかといえば利益優先のチョイスだといえる。乗り心地は悪くないが、高めの車高と相まって、コーナーではつま先で路面を掴んでいるような感覚がある。

ブラック基調のインテリアは、プラスティック製であることを隠さない。強いコスト意識が働いていたことを、運転席へ座った印象から感じ取れる。

1980年代のホットハッチへ近い体験

対するローバー220 クーペは、落ち着いたファミリーサルーンから派生した事実を名前で物語るが、動的能力は低くない。オーバーハングは短く、全高は低めで、ステアリングは素早く反応。カーブでは機敏に身をこなし、想像以上に運転を楽しめる。

運転席からの視界は広く、ドライバーへ操る自信を与える。ガラスエリアが広いおかげで、車内は明るく居心地が良い。後席側はリアピラーが太く、少し閉じ込められた気分になる。

インテリアの雰囲気は、セリカにはない高級感が漂う。Tバールーフの影響で、凹凸の目立つ路面では多少の振動を残すものの、ソリッド感も高い。

ダッシュボードやステアリングホイール、ドアパネルなどは、プラスティック製ながらソフト加工済み。ホンダ由来のセンターコンソールが、車内でちょっと浮いている。

軽く身をこなすシャシーは、ノンターボの220との相性なら良好だろう。しかし、トルセン式のリミテッドスリップ・デフが組まれていても、ターボチャージャーの勢いには圧倒され気味。ブレーキの利きも、加速力には見合っていない。

ステアリングの反応も、僅かに曖昧。コーナーの出口で加速へ移るとフロントの荷重が減り、リミテッドスリップ・デフも介在し、ステアリングホイールは直進状態へ積極的に戻ろうとする。

シャシーへ想定された以上のパワーを楽しむような、1980年代のホットハッチの体験へ近いともいえる。ステアリングホイールをしっかり握り、公道を疾走すればスリリング。洗練性は低いとしても。

完成度や高級感で優れるMX-6

対してマツダMX-6には、ワンランク上の成熟感が香る。ひと回り大きく、有機的なボディへ調和するように。

サスペンションのスプリングは適度にソフトで、路面の不整を巧みに均しつつ、不安定に揺れるわけでもない。高さを抑えたV6エンジンに加えて、ルーフラインも低く、低重心は明らか。コーナリングには落ち着きがある。

快適な乗り心地に2.5LのV6エンジン、ひと回り大きいボディを組み合わせ、マツダはMX-6を低価格なグランドツアラーとして欧州市場で訴求した。セリカや220 クーペのような、スポーツクーペではなく。

完成度も秀でている。ダッシュ力は220 クーペに並ばず、ステアリングの正確性はセリカへ迫るほどではないが、シャシーはドライバーへ自信を抱かせる。目的地への移動時間の短さでは3台の1番でなくても、ハイペースを安楽に保って急げる。

インテリアも、間違いなく高級側にある。プラスティック製部品の仕上げは当時の日本車的だが、製造品質は優れ、クラス上の雰囲気が全体に漂う。走行時のロードノイズも小さい。ウインドウの位置が低く、運転席からの視界も広い。

1990年代のイメージを牽引した前輪駆動クーペ

30年前のクラシックとなった今では、人気で台数の多く売れた6代目セリカが、英国ではお買い得なクーペになった。感情的な刺激は少し薄いかもしれないが、信頼性と実用性は間違いなく高い。

220 ターボは、ちょっとやんちゃなローバー。洗練度はブランドのイメージに達していなくても、交通量の少ない公道での運転はすこぶる楽しい。

それぞれに魅力はあるものの、今の筆者が最も強く共感したのは、MX-6だ。滑らかな2.5L V6エンジンに、時代を先取りしたようなスタイリング、上質なシャシーが組み合わさり、頭ひとつ抜けたような印象を受ける。

1990年代のマツダのイメージを牽引したのは、その頃のMX-5(ロードスター)やRX-7、323F(ファミリア)だけではない。前輪駆動クーペのクラストップ、MX-6もしっかりその一翼を担っていたに違いない。

協力:7スター・カーセールス社、ローバー・クーペ・オーナーズクラブ、ポール・チャールズワース氏、ケビン・ウィリス氏

1990年代のコンパクト・クーペ 3台のスペック

トヨタ・セリカ GT(1993~1999年/英国仕様)

英国価格:1万9230ポンド(新車時)/1万ポンド(約200万円/現在)以下
生産数:1万7779台(英国のみ)
全長:4420mm
全幅:1750mm
全高:1300mm
最高速度:220km/h
0-97km/h加速:8.3秒
燃費:11.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1199kg
パワートレイン:直列4気筒1998cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:175ps/7000rpm
最大トルク:18.9kg-m/4800rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

マツダMX-6(1991~1997年/英国仕様)

英国価格:1万9245ポンド(新車時)/1万ポンド(約200万円/現在)以下
生産数:53万7748台(フォード・プローブを含む)
全長:4615mm
全幅:1750mm
全高:1310mm
最高速度:215km/h
0-97km/h加速:7.5秒
燃費:9.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1230kg
パワートレイン:V型6気筒2497cc 自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:165ps/5600rpm
最大トルク:22.4kg-m/4800rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

ローバー220 ターボ・クーペ(1992~1995年/英国仕様)

英国価格:1万8790ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約300万円/現在)以下
生産数:70万8003台(R8型合計)
全長:4270mm
全幅:1680mm
全高:1370mm
最高速度:241km/h
0-97km/h加速:6.2秒
燃費:10.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1185kg
パワートレイン:直列4気筒1994cc ターボチャージャーDOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:199ps/6000rpm
最大トルク:24.0kg-m/2100rpm
トランスミッション:5速マニュアル(前輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • tma********
    ST182セリカGT-RからST202セリカSS-Ⅱに乗り継ぎました。
    カーブで比較するなら、3ナンバー化で太ってしまったST202より電子制御4WSを持つST182の方が面白かったな。
  • m2_********
    MX-6はフォードプローブとしてもだしな…
    ヘッドカバーがブルーオーバルになったマツダのV6…w
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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