この記事をまとめると
■トラックやバスはまだまだ手洗い洗車が主流だ
「ニッポンは洗車天国」だけどそれでいい? アメリカやドイツで自由に洗車ができないワケ
■そんななか「ジャパントラックショー2024」で大型車用洗車機を発見
■ヒラマツ社の1本ブラシ洗車機「ロボ洗」について解説する
縦長のブラシがトラックのまわりをグルリと1周!
普通車にとって自動洗車機を利用するのは珍しいことではない。手軽にかつスピーディにクルマを綺麗にしてくれるし、最近ではコーティングもかけてくれる高機能な洗車機も普及している。
しかし、トラックやバスはまだまだ手洗いが主流。なぜなら大型車両用の「門型」自動洗車機はあるものの、それを利用できるのは路線バスや観光バスでもある程度の台数を抱えた事業者くらい。
そのため、トラック事業者のほとんどはドライバーが仕事終わりに手洗いで洗車している。洗車好きなら、それも仕事の締めくくりに相応しい作業だけれど、疲れているとき、雨が続いた後、連日の洗車ともなると辛いものだ。
そんな現状のなか、ジャパントラックショー2024の会場でユニークな大型車用洗車機を発見した。それがヒラマツ社の1本ブラシ洗車機「ロボ洗」だ。縦に長い洗車ブラシを備え、トラックのまわり4面をグルリと1周移動することでボディ全体を洗車することができるというもの。
じつはこのロボ洗、初号機となる「ポートワッシャー」は50年も前に発売されている。平成8年には初代ロボ洗として進化するなど、ロングセラーを誇っている。それが今年フルモデルチェンジして、さらに便利でパワフル、スタイリッシュになったのだ。
使い方は動力によって異なる。ディーゼルエンジン動力の場合は軽油、モーター動力の場合はバッテリーを充電する。そのうえで360リットル入る水タンクに注水したら、リモコンを操作してトラックに近づけ、水を出しながらブラシを回転させて、トラックに沿って1周走らせる……という仕組み。ブラシ上部には接触センサーが備わっていて、トラックに近付き過ぎて接触してしまうのを防ぐ機能がついている。
年間120万円の水道代を削減できた例も
理想をいえばスイッチを押すだけで自動走行してトラックを洗ってくれるといいのだろうが、それにはさらに高度なセンサーや制御系が必要となるから価格も跳ね上がる。トラックの全長・全幅を入力して走行させる仕組みも作ることができそうだが、(保有車両が)1台または1車種だけならこういう洗車機は必要ないだろうし、複数台ではボディ寸法の管理も複雑になるから、コントローラーで操縦する方法を踏襲しているようだ。
無人で洗車してくれるほうがラクだが、やはりドライバーがそばについて安全を確認しながら作業するほうが安心ではある。長い販売の歴史で、着実な方法を守ってきたようだ。
ちなみにこの最新ロボ洗の価格は1台500万円と、乗用車ならまあまあ上等なモデルが買えるくらいの額だが、導入したバス・トラック企業によっては、年間120万円も水道代を削減できたというから、3~4年でもとが取れてしまうケースもある。さらに洗車を時短でできて、疲れないのはドライバーにとって助かる。
課題としては、舗装したところでしか実行できないこと。タイヤが小さくぬかるみや段差などに弱いので、コンクリートやアスファルトで平らに舗装しているところでしか使えないのだ。
ロボ洗の台座部分をタイヤではなくクローラー(ゴム製のキャタピラ)にすれば、砂利の駐車場でも使えそうだが、ぬかるんでしまうと逆にトラックを汚してしまう原因にもなりかねない。う~ん難しい。
ちなみにこのロボ洗メーカーのヒラマツは、大型車両用の門型自動洗車機や電車用の洗車機も手がけているほか、橋梁や建築部材など、鉄工部品の製造でも歴史のある企業。職人の技と機械技術を併せ持つ、日本の強みを感じさせるブランドだ。
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