今年で生誕40周年。セダン不毛の時代になぜカムリが日本でも評価される?
トヨタのFF上級4ドアセダンのカムリは、自動車販売協会連合会の乗用車ブランド通称名別順位において、今年1~6月の集計で6170台を販売し、43位という成績だ。直近の7月の単月でも833台を売って、45位である。
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競合といえるホンダ アコードは上位50位以内にその車名が出てこない。昨今は、SUVに人気があり、4ドアセダンは売れないといわれるが、カムリは手堅いし、トヨタではクラウンがさすがという印象で、カムリを上回る台数を稼いでいる。
アコード同様、日産のセダンの顔といえるスカイラインでさえ、50位以内にその車名はない。カムリの堅調さは、どこからくるのだろう。
文:御堀直嗣、写真:トヨタ
【画像ギャラリー】2020年8月に発売開始したカムリ40周年記念特別仕様車をみる
圧倒的な台数を稼ぐ米国でカムリが評価される所以とは?
カムリは1980年に誕生し、2020年に40周年を迎える(写真:現行型カムリ)
カムリは、1980年にセリカの4ドア車として生まれている。当時は、後輪駆動のFRだった。わずか2年後の1982年に、セリカカムリからカムリに車名変更してモデルチェンジをした。ここから、FF(=前輪駆動)カムリの時代になる。
1983年から米国市場で販売されるようになり、2017年にSUV(スポーツ多目的車)のRAV4に1位の座を譲ったが、それまでの16年間は米国市場における乗用車販売で1位を記録し続けた。
1982年に米国にて発売開始したアコード
競合として米国市場で競い合ってきたのが、ホンダ アコードと、フォード トーラスだ。アコードは1982年から米国内での生産をはじめるなど、米国での人気が高く、カムリがその後を追う状況にあった。
そして、三つ巴のなかから、カムリが抜け出した理由のひとつに、耐久信頼性の高さがあると考えられる。
1980~1990年代の米国では、カムリは中古車でさえ盗難に遭うといわれていた。背景にあったのはトヨタ車の耐久信頼性の高さである。
クラウンやセドリックのように長年に渡って使われてきたほど、耐久信頼性を積み上げている(写真は7代目セドリック(普通車))
トヨタと日産は、国内でクラウンやセドリックがタクシーでも使われてきたように、数十万kmは充分に使える耐久信頼性を積み上げてきている。なかには、40万~50万kmを走るタクシーがあるほどだ。
そうした耐久信頼性が下地にあるから、米国ではカムリの中古車も商売になり、なおかつ部品も高く売れるとの話があった。
米国在住の友人は私に、日本車に乗る理由を次のように語っている。「米国車も魅力はあるが、ガソリンスタンドも稀にしか見ないような砂漠地帯でクルマが故障したら、命に関わることになる」というのである。彼も、日本車に乗っていた。
さらに米国では、新車を買うことが必ずしも心を湧き立たせることではないという話も耳にした。新車を買って1か月ほどは、故障が起きる可能性が高く、修理に出さなければならないという。
それであるなら使い慣れた車に乗り続ける方が安心なのだそうだ。かつて、米国の顧客満足度調査で日本車が上位を占めた背景に、そうした事情もあった。
カムリは、国内では上級4ドアセダンだが、米国に行けばトーラスと競合であったことからもわかるように、大衆車の一角である。
日本では、性能や造形などが新車を買う大きな動機となるが、それらと同様に、米国では日常的に使うクルマとして耐久信頼性の高さが重視される。
なぜ日本でもカムリは堅調なのか
今日、米国ではRAV4が乗用車販売で1位だが、カムリはそれに次ぐ順位にある。
現行カムリが発売されたとき、国内でも特別に米国仕様のカムリに試乗する機会が、与えられた。メガウェブのライドワンという限られた場所ではあったが、米国で高い人気を維持してきた一端を体感できた。
現行型カムリ(米国仕様)
国内ではハイブリッド車(HV)のみでの販売だが、米国では直列4気筒とV型6気筒のガソリンエンジン車が設定されている。売れ筋は、廉価な直列4気筒だ。その出来が、とてもよいのである。
もちろん、HVほどの静粛性や、V6エンジンほどの力強さはないが、米国のフリーウェイの合流などで瞬発力が要求されるような状況における加速性能は、ちょうどよく機能し、毎日乗るクルマとして快適な一台であることを実感できた。米国大衆車としての高い実力を感じさせたのである。
国内のHVは、前型に比べエンジン効率を高めた結果エンジン騒音がやや目立つようにはなったが、上質な乗り味はカムリらしさを残している。
どのメーカーも、昨今は運転の楽しさをあらゆる車種で訴えかけるが、上級4ドアセダンには調和のとれた快適さが何よりの条件だ。
また今日では、FFであっても運転操作に的確に応答する走りは、よほどのことがないかぎり満たされている。
初代カローラ
トヨタは、初代カローラが発売されたとき、「80点+アルファ」という開発方針が掲げ、それ以後は一時期80点主義だけが独り歩きし、悪くはないが面白みに欠けるなどと揶揄されたこともあったが、調和のとれた総合性能は4ドアセダンにとってもっとも重要な要素である。
加えて、トヨタはTNGA(トヨタ・グローバル・アーキテクチャー)を現行プリウスから導入し、その効果はC-HRなどで発揮されてきた。
TNGAが採用され、復活したRAV4
カムリではより大型な車種でのTNGAが採用され、それがRAV4を魅力あるSUVとして復活させたように、TNGAによる底上げが成果を上げている。カムリは、4ドアセダンとしての総合性能に加え、TNGAによって走りも充分に仕上げられている。
カムリ堅調の背景にはセダン市場の変化や価格含めた総合力も
営業の側面では、国内の販売店数でトヨタは6000店舗ほどであるのに対し、ホンダは2200店舗ほどの規模である。しかも、カムリは従来カローラ店系列での販売だったが、現在ではトヨタのどの店でも購入できる。
2019年に生産終了したマークX
クルマの方向性は異なるかもしれないが、マークXが生産を終えた。レクサスのGSも、選択肢から消えている。
FRかFFかという違いはあるにしても、ほぼ同等の車格の4ドアセダンを乗り継いできた人たちにとって、乗り換えるべきクルマがカムリしかなくなってしまったともいえる。
最後に価格について。カムリはグレードによる選択肢があり、348.5万~445万円で、特別仕様車も420.8万円で買える。いっぽう、アコードは1グレードの販売で、465万円する。
アコード(1グレードの販売のみ 465万円)
そのほか燃費性能は、WLTCでカムリが24.3km/L(廉価なエントリー車種では27.1km/L)であるのに対し、アコードは22.8km/Lである。さらにはカムリには、FFのほかに4WDの選択肢があるが、アコードはFFのみだ。
ちなみに、日産のティアナは販売を終えており、FRではあるがスカイラインはハイブリッド車になると550万円以上してしまう。
カムリの堅調さは、調和の取れた総合性能に加え、現行車では開発の主眼とされたクーペを思わせる外観の造形、手ごろな価格、販売店の多さなど、全方位的に強みを持っているからといえそうだ。
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ちょっと売れれば、売り上げ堅調…というだけでは?