ブランド初の電動モデル、プラグインハイブリッド(PHEV)のC5エアクロスSUVを日本で発売し、また次なるフラグシップモデルC5 X導入を控えるなど、シトロエンは未来に向けて着実に歩みを進めている。(Motor Magazine2021年9月号より)
さらに進化を見せる「マジックカーペットライド」
100年以上続くシトロエンの歴史の中で初めての電動化モデルとなるのがC5エアクロスSUVプラグインハイブリッド(以下、C5エアクロスPHEV)である。このモデルでシトロエンは、電動化モデルであってもブランドの矜持である快適な乗り心地は健在であることを見せてくれた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
パワートレーンは、180ps/300Nmを発生する1.6L直4ターボエンジンと出力110ps/320Nmをモーター、13.2kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、システムトータル出力225ps/360Nmを発生、「エレクトリック」モードでは65km(WLTCモード)のゼロエミッション走行を可能にする。
特徴は、PHEVらしい静粛性とシトロエン独特の快適な乗り心地である。ガソリン/ディーゼルモデルと同等の居住/荷室スペースを確保するためバッテリーをリアシート下に配置し、前後重量配分を56対44としたことも走りに貢献しているようだ。またリアサスペンションをマルチリンクにアップグレードし、リアの重量増に対応している。
ドライブモードは、「エレクトリック」、「ハイブリッド」、「スポーツ」が用意され、トラクションバッテリーの充電が残っていれば、始動時のデフォルトは「エレクトリック」モードとなり、充電が残っていないと「ハイブリッド」モードとなる。
またメーターに表示されるEV走行可能距離がゼロになっていてもバッファ電力は保持され、たとえば発進時などはモーターが前面に顔を出すことになる。充電は200V普通充電のみに対応し、3kWで約5時間、6kWで約2時間半で満充電となる。
シトロエンらしい特徴的なライド感覚をもたらすのは、PHC(プログレッシブ ハイドローリック クッション)で、シトロエンの伝説とも言えるハイドロニューマチックを現代的に解釈したものだという。これは通常のダンパーの中にセカンダリーダンパーが追加されたもので、それによりマジックカーペットライド(魔法の絨毯のような乗り心地)も現代版に進化しているのだ。運転すると快適なクルマとドライビングの楽しいクルマは両立することをC5エアクロスPHEVは教えてくれる。
シトロエン流の美しさを持つSUVクロスオーバーの登場
さてシトロエンは、今後も電動化を積極的に展開していく。その代表が2021年4月に公開されたC5Xである。スタイルは、セダンのエレガンス、ステーションワゴンのダイナミズム、SUVのマルチ性を組み合わせ、それをシトロエン流に美しく表現している。
サイズは、全長4805mm、全幅1865mm、全高1485mm、ホイールベース2785mmと伝統的なセグメントSUVの真ん中で、新しいアクティブサスペンションやシートが採用され、さらには運転支援機能の充実、自然な音声認識を装備したインチタッチスクリーンなど最新テクノロジーを備え、デジタル化、コネクネクティビティも進化している。
パワートレーンは、ガソリンとPHEVの両方が用意され、アドバンストコンフォートアクティブサスペンションにより、次世代の魔法の絨毯ライドを実現する。
C5Xは、シトロエンの新しいフラッグシップモデルとしてユーザーの期待に応えるとともに長年にわたり培ってきたブランドポジションをさらに強固なものにすることだろう。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行)
シトロエン C5 エアクロスSUV プラグインハイブリッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4500×1850×1710mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1860kg
●エンジン:直4 DOHCターボ+モーター
●総排気量:1598cc
●最高出力:133kW(180ps)/6000rpm
●最大トルク:300Nm/3000rpm
●モーター最高出力:81kW/2500rpm
●モーター最大トルク:320Nm/500-2500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・43L
●WLTCモード燃費:16.1km/L
●タイヤサイズ:225/55R18
●車両価格(税込):550万円
シトロエンC5XはSUV×ワゴンという新フラッグシップ
斬新なエクステリアと先進機能を兼ね備える
C5 Xはシトロエンの新しいフラッグシップとして開発されたモデル。クルマのジャンルは、ワゴンスタイルのボディにSUVのテイストを採り入れたクロスオーバーに分類されるが、リアウインドウを大きく寝かせたファストバックスタイルとするなど、斬新なエクステリアデザインを採用している。パワーユニットはガソリンエンジンのほかにPHEVも用意されるという。日本への導入時期は未定だが、欧州では2021年後半から販売が開始される予定だ。
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