■軽には厳しいと言われる峠道や高速道路でもテストを実施
日本でもっとも売れている軽自動車のホンダ「N-BOX」。室内の広さや使い勝手の良さが売れている理由の1つではありますが、実際に走ってみた実燃費はどんなものなのか、軽には厳しいと言われる峠道や高速道路もしっかりテストしてみました。
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N-BOXには自然吸気エンジン車と強い加速が自慢のターボエンジン搭載車がありますが、今回試したのは前者のノーマルエンジン車です。
ルートはまず一般的な街中を10キロほど走行し市街地燃費を計測。その後、東名高速の東京側の起点である用賀を出発して御殿場まで高速道路でクルーズコントロールを使わずに法定速度で移動し2回目の計測。そこから箱根に通り抜けて小田原へ抜ける峠道区間で3回目の計測。最後はクルーズコントロールを活用しながら小田原厚木道路から東名高速を通って東京まで戻って最後の4回目の計測をしました。
4つのセクションで、市街地、クルーズコントロール活用なしの高速、峠道、そしてクルーズコントロールを使った高速道路の4つの状況を確かめてみたわけです。
まずは各セクションの燃費の数値(車両の燃費計値)から書くと、
・市街地:19.6km/L
・高速道路(クルーズコントロール不使用):20.4km/L
・峠道:20.0km/L
・高速道路(クルーズコントロール使用):23.1km/L
という結果となりました。
当日の道路は、市街地、高速道路、峠道のいずれも交通の流れは順調。気温は17~20度と極端な温度ではありませんが雨が降り、路面はどこも濡れていました。エアコンは作動させ、オートの設定温度を25℃で固定して走りました。
また、燃費は意識しない普通の乗り方でのテストですが、N-BOXは「ECON(イーコン)」と呼ぶトランスミッションや空調の制御を燃費重視にするモードが備わっていますが、エンジンをかけるとECONがオンになるのでそのまま走りました。
それではセクションごとの状況を見ていきましょう。
■まるでハイブリッドカーのような低燃費値も
市街地区間は東京と世田谷区を東西に貫く世田谷通りを郊外から都心方面へ向かう道を13km走りました。混雑こそしていませんでしたが、スピードのあまり出ない片側一車線かつ信号も多い道なので、ごく一般的な市街地の状況です。停車や発進も多いここで20km/L近くまで燃費が伸びたことは、車体の軽さなど軽自動車のメリットを感じさせました。
往路の東名高速道路では、クルーズコントロールを使わずに制限速度で83kmを走行。しばらくは制限速度100km/hですが、山岳区間になるときつい勾配が始まるとともに制限速度は時速80キロに抑えられます。
とはいえ、自然吸気エンジンの軽自動車にとっては楽な状況ではありません。気を抜くと速度が落ちやすいので、しっかりとアクセルを踏み込む必要があります。この長い登り坂が復路の高速道路に比べて燃費が伸びなかった理由です。
47.4km走った峠道の燃費数値が思いのほか良好だったのは、「ターンパイク」という長い下り道で燃費を稼げたのが大きな要因。軽自動車としては重いものの一般的な乗用車よりは軽い車体により、上り坂での燃費低下が思いのほか少なかったのも印象的でした。
復路の高速道路(走行60.7km)での燃費が往路に比べて良好だった理由はふたつ。ひとつは往路と違って、きつい上り坂がなかったことです。もうひとつは往路では通らなかった小田原厚木道路の制限速度が時速70キロと低く、速度上昇の燃費悪化が少なかったこと。高速道路走行時にエネルギーをロスする抵抗のうちほとんどの割合は空気抵抗で、空気抵抗は速度の2乗に比例して増えます。つまり高速道路では速度が低いほうが燃費が良くなるというわけです。走行速度が時速10キロ低いだけで燃費は大きく違いました。
では、今回計測したN-BOXの燃費をカタログ記載のJC08モードと比べてみるとどうでしょうか。N-BOXの自然吸気エンジン(FF車)のJC08モード燃費は27.0km/L 。これはレギュレーション上で定められた環境で計測された目安ですが、実際に走った市街地や峠道の燃費がカタログ記載値の約3割減というのは良好な結果と言え、約20km/Lは立派です。まるでハイブリッドカーのような経済性です。
また速度を抑えて平地の高速道路を走れば23.1km/Lも走るのだから、驚きでした。N-BOXの実燃費は十分に満足できる水準と言えるでしょう。
■走ってみてわかったN-BOXで燃費を伸ばすポイントとは
今回のテストでは実施しませんでしたが、走ってみてわかったN-BOXで燃費を伸ばすポイントをお教えします。
市街地では踏み込み過ぎず丁寧なアクセル操作をおこない、前方の信号が赤なら早めにアクセルをオフにするなど省燃費運転の基本操作をおこなうこと。また停車前アイドリングストップ機能を生かしてガソリンを多く節約できるよう、停止直前はスーッと減速しながらエンジンがかからないように滑らかに停車すると無駄な燃料を使わずに済みます。
また高速道路では空気抵抗が大きいので、速度を高めるとどんどん燃費が低下します。高速道路の流れの邪魔をするほど低い速度で走るのは安全面からもお勧めしませんが、燃費を伸ばしたいのであれば一定速度をキープする大型トラックの後ろでクルーズコントロールを使いながら速度を上げずに巡行すると簡単に省燃費運転ができるはずです。
また、高速道路走行時はエンジンの余力が少ないので上り坂などで気が付かないうちに速度低下が起きがちです。すると速度を上げるためにアクセルを踏み込んで燃費悪化の原因となるので、速度を低下させずにキープするよう心がけましょう。そこで神経を使わずに済むためにも、高速道路走行時は前を走るクルマにあわせて速度を調整してくれる追従型クルーズコントロール(N-BOX全車に標準装備)の使用がオススメです。
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