新型コロナウィルスの脅威が世界中へと広がり、これまでに182の国・地域で44万人以上の感染者、死者数は約2万人へとなった。
感染症による様々なニュースが流れている今日、今年開幕予定だった東京オリンピック・パラリンピックの延期が発表された。
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海外各国主要都市にて都市封鎖が行われており、今月25日には外務省がコロナウィルス感染拡大を受け、全世界を対象に危険情報のレベル2を出し、不要不急の渡航を自粛するように求めた。
さらに東京都での感染者数も日に日に増加し続けていることを踏まえて、ついに東京含む関東地域に週末の外出自粛要請が各都道県長から出された。
そして、新型コロナウィルス感染症拡大により、様々な業界に影響が出てきた。自動車業界も例外ではなく、トヨタ、マツダ、日産などの各自動車会社では国内外の工場の製造ラインの稼働を一時停止すると公表した。
また、各自動車会社の販売店では、決算時期である3月であるはすが、予期せず状況になっているという。各自動車会社の販売店の様子を流通ジャーナリストである遠藤徹氏がレポートする。
文:遠藤徹、写真:日産、ホンダ、トヨタ、三菱、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】2020年に発売開始した新型車をみる
日本の自動車販売現場は大混乱か、それとも?
毎年この時期は3月の決算セールで自動車販売店は活気づいている。新車販売の1月と2月の2ヶ月相当分を3月の1ヶ月で売ってしまうのが恒例となっている。
先日、新型ルークスを発表した日産。販売店の状況どうなっているのか
ところが今年ばかりは様子がガラリと変わっているのだ。毎月の週末フェアには各店舗は来店客でごった返すのに、今回は人影がまばらで閑散としているショールームが目立つ。
10時過ぎのオープンした直後だと比較的多い。子供連れの若い夫婦、中年のカップル、独身男女と様々のユーザーがテーブルを囲み、営業マンらしいスタッフと商談している。
ところがよく観察すると新車を購入する目的で訪れるユーザーは意外と少ない。大部分は定期点検、車検で来店しているのである。ユニフォームを着用したサービスマンが応対しているので、新車の商談でないことはすぐ分かる。
その証拠に駐車場に停車している愛車はその店舗で売ったクルマばかりなのである。こうした来客が定期点検、車検などで用を済ませると、しばらくの後にまたもとの閑散とした状態に戻ってしまうケースが多い。
決算セール期間は毎週のように週末フェアを開催している。金曜日になると、新聞折り込みのチラシや郵便受けの投げ込みで、フェアの告知活動を行うのが慣例になっているが、今年はその数がめっきり減っている。
3月に入ってからはゼロの週もある。政府による人の集まる場所へ出かけるのを自粛要請していることも影響しているといえるだろう。
2か月販売台数首位にたったライズ。販売台数が伸び悩んでいるのか
首都圏にある某トヨタ系列店に出向いて営業担当者に最近の顧客の入り状態を訪ねると
「新型コロナ流行の猛威があるので、営業活動がとてもしにくい状況にある。営業マンがお客さんの元に新車の売り込みに出かけることを自粛せざるを得ない。
売り込みは来店してくれたお客さんに後で電話してお伺いを立てるくらいだから、販売の効率が大幅に悪くなっている。現時点では嵐が過ぎるのを待つしかない。」と頭を抱えている状況にある。
新車の納期はいつごろになるのか
昨年末から今年初めにかけては有力な戦略ニューモデルが相次いで登場している。トヨタ・ヤリス、ライズ、ホンダ・フィット、日産・ルークス、スズキ・ハスラー、三菱・eKクロススペース/eKスペース、ダイハツ・ロッキーなどである。
殆どの車種は好調な受注推移を見せており、契約後の納期は、3~4か月になっている。
こうなるとこの決算セールで受注台数は多数に上っていても登録・届出が出来ず、バックオーダーを抱えた状況になっている。せいぜい日曜出勤や残業での増産対応にとどめているメーカーが多い。なぜだろうか。
工場のラインを組み替えた本格的な増産に取り組むとその後の鎮静化の発生で投資が無駄になる恐れがあるためと思われる。
この背景にあるのは新型コロナの影響が影を落としているといえる。今後にさらに加速するであろう、販売不振に備えなければならないという思いがあるといえる。
3月26日時点で各自動車会社の工場稼働への影響が来ている。
新型コロナウィルスによる新車販売の影響はいかに
全体的な新車販売は2月までに5ヶ月連続のマイナスであり、最近では10%以上もの激減状態にある。今後は新型コロナウイルスがさらに蔓延するほど減少幅が大きくなる可能性がある。
それでも販売店各社は新車を1台でも多く売らなければ収益がダウンし、経営が立ち行かなくなるとの恐れを感じるので増販に躍起になっているのが実情である。
新車を購入するユーザーにとっては逆に買い時のチャンスである。車両本体、オプション&付属品の両値引き、下取り車の売却額上乗せなどで有利な条件が引き出し易くなっている。
年間で最も新車が安く買える3月の決算セールが過ぎて、4月に入っても激安で買える状況が続きそうな趨勢になることが予想される。
※証言:1首都圏トヨタ系列店営業担当者
全体的に新車販売が低迷しているのは、新型コロナウイルス蔓延の影響で、お客さんの動きが鈍くなっているためだろう。
ただトヨタの場合は5月から全車全系列店併売になり、3月下旬から兄弟車を中心に全系列店併売前の受注はスタートし扱い車が格段に増えるので、厳しい中にあっても期待感はある。
あまり販売台数を増やそうとせず、収益重視で対応し、嵐が過ぎるのをじっと待つような姿勢で臨みたいと考えている。
幸いこの時期はライズ、ヤリス、ハリアー、RAV4 PHVなど新型車が多いので、新型車効果で乗り切りがし易くなっている。
※証言:2首都圏日産店営業担当者
まだ新型車が少なく、古いモデルが多い状態だから、決算セールは苦戦を強いられている。
ノート、セレナ、エクストレイルの主軸モデルを中心に多少条件を崩さないとますます売れなくなっている。新型車が出揃うまでじっと我慢しなければならない状況が続きそうだ。
※証言:3 首都圏ホンダカーズ営業担当者
2月に発売開始したフィット
好調に売れているのは新型フィットだけだから、状況は厳しい。新型コロナウイルス蔓延の影響で来店者は極端に減っている。
フィット以外のフリード、ヴェゼル、ステップワゴンの主軸モデルを中心に低金利の残価設定クレジット、オプションサービス、買い得車設定などで当面は乗り切って行くしか手はないと見ている。
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