国産スポーツモデルの価格が世界的に暴騰している。日本のクルマ好きとしては、日本製スポーツが世界各地で評価され、いつまでも衰えない人気を集めていることには誇らしく思える反面、すべてのモデルが値上がりしている訳でもない。同じような時代に産まれたモデルなのに、である。そんな“名車になれなかったモデル”を振り返っていきたい。第1回目は名車になりそうでなり切れてない三菱GTOだ。
文:奥津匡倫(Team Gori)/写真:三菱自動車
すべての国産車が高くなるワケじゃない!? 名車になり損ねた国産スポーツ三菱GTO
【画像ギャラリー】内装からして超絶スポーティ!! GTOを今こそ隅々写真で!!!!!!!!!!(6枚)
■そもそもGTOってどんなクルマだった?
今では驚くに値しない全幅1840mmのボディは当時、最大級。「デカい!!」というのも当時よく言われていた評判のひとつ
三菱のスポーツモデルと言えば、ランサーエボリューションを思い浮かべる人が多いと思うが、90年代の三菱のスポーツと言えばGTO。
V6、3L、4WD、6速MTなどライバルを凌駕する装備を数多く備え、発売当時は国内最強の42.5kg-mの最大トルクを誇った意欲的なモデルだった。R32~34のスカイラインGT-R、80スープラ、Z32、RX-7など多くのライバルがひしめく中、1990年から2001年までの11年に渡って生産、販売された。
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■名車になり切れなかった理由……今ひとつブレイクできなかった現役時代
GTOは「何でも付いている」と言われたほど、装備面では他車を上回っており、そういう意味では高コスパモデルでもあったのだ
GTOというと、当時よく言われていたのは「重い」ということ。ターボモデルで1700kgあった車重は、当時同クラスのライバルよりも50~100kgほど重かったのは事実。
また、FFシャシーをベースにした横置きエンジン車のため、重量バランスはフロントヘヴィ。そのため、アンダーが強く曲がりにくいという評判もあり、重くて曲がらないという評判は、とりわけ走り好きからの支持を得にくい要因となっていたのは否めない。
生産、販売期間が11年と長かったこともあるが、その間、見た目が大きく変わったこともマイナスに働いたかもしれない。
リトラクタブルライトの前期、固定式ライトの中期、顔が変わった後期の3つに分かれるが、後期型は当時のアメリカ車的なルックスで、今見ればそれほど変とも思わないが、当時、この後期型のスタイルに否定的な意見を述べる人は少なくなかったように記憶している。モデル末期だったこともあり台数は伸びなかった。
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■GTOのUカー市場の動向は?
後期モデル。全体的にスタイルの派手さが増した印象。当時「アメ車っぽい」と言われていたが、アメリカではこのスタイルが受けていたのかも知れない
現役当時の人気はその後の中古車の数に大きく影響する。GTOの中古車はかなり少ない。価格帯は平均200万円前後と格安というほどではないものの、暴騰しているというほどではない。
人気はハイスペックなターボで、やはりNAはやや安め。200万円未満のものは大抵NA。だが、部品点数の少なさ、熱の影響などを考えると、この先の長期維持を考えると、NAも悪くない選択肢だと思う。
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