アストンの新たなSUVに出会う
不安と好奇心。
【画像】707馬力 アストン マーティンDBX707【じっくり見る】 全65枚
情熱と美しさを五感で味わえるアストン マーティンが世界最速のSUVを登場させると聞いて、単に“速さを主張するモデル”になっていたらという不安が無かったかと言えばウソになる。
結果から先に申し上げると、「DBX707」というアストン マーティン作のSUVを通して、改めてアストン マーティンのスポーツカーの車両開発ポリシーに二度惚れさせられてしまった。
アストン マーティンの100年を超える歴史上、初めてのSUVとして2019年に登場したDBXはSUVであっても静的/動的にも紛れもなくアストン マーティンだった。
接着アルミニウム構造技術を活かした専用のプラットフォームを採用し、eデフや48Vアンチロール・エレクトリックダンパーなどを採用するAWDモデル。
500ps/700Nmを発揮するAMG製4L V8ツインターボエンジンを搭載した、ファストバックルックスタイルもインテリアも美しいDBXはすでにスポーツカー/ラグジュアリーブランド界において特別なSUVだったと言ってもいいと思う。
そして今年2月に発表されたDBX707はその名の“707”を最高出力の707馬力から取ったもので、707ps/900Nmを発揮する“世界で最もパワフルでラグジュアリーなSUV”として登場した。
目指すはパフォーマンスSUVの頂点だ。
100km/hまで3.3秒、最高速310km/h
DBXと同じ4L V8ツインターボに、耐久性やレンスポンスに優れるボールベアリングターボチャージャーを採用し、トランスミッションは9ATという点ではDBXと変らないが、DBX707には大トルクに対応する、軽量のクラッチプレートを備えた湿式多板クラッチ式9ATを採用している。
大トルクを受け止めてくれるATのおかげでローンチコントロール・システムも搭載された。
ブレーキシステムはサイズアップもはかったカーボンセラミック製が標準装備となる。タイヤサイズはスペックシートには22インチのピレリPzeroがスタンダートと表記されていたが、試乗車はオプションの23インチが装着されていた。
ちなみにこのサイズ設定は既存のDBXも同じで、DBX専用開発を表す“A8A”の認証マークがあり、真ん中の“8”は既存のDBXと変らない。
どうやらハイパワー化が計られてもタイヤへの性能依存は行われていないと察することができる。それであんな走りができちゃうのだから、凄い!
ちなみにDBX707のボディサイズ(全長5039×全幅1998×全高1680mm)、さらに車重の2245kgまでも、DBXと同数値に抑えられている。
そのパワーウエイトレシオは314ps/tとなり、読者の皆さまが想像されるライバルたちのなかでも最も大きなパワーを発揮するモデルとなる。0-100km/h加速3.3秒というのはカイエンターボと並ぶが、最高速の310km/hはライバル中、最速となる。いずれにしてもSUVのスペックとは思えない。
デザインの見どころは?
ルーフからリアにかけてなだらかに傾斜するファストバック・スタイルルックのDBX。
視覚的な重量感をボディ後方へと導き、ボディサイドの腰下のあたりに大きなくびれを持たせることで陰影が柔らかさとシャープさを演出し、大きなタイヤがドッシリと地に足をつける佇まいが美しい。
DBX707ではフロントバンパーやグリル、デイタイム・ランニングライトなどにも新しいデザインが採用されている。
例えば上下高/左右幅ともに拡大した「DB」グリル。
試乗車はオプションのダーククローム仕上げが採用されやや引き締まって見えたけれど、標準のクローム(シルバー)仕様では視覚的な膨張効果があり、吸い込まれそうなほど大きなグリルに先ず目が向いた。
大型化されたグリルは、見た目の迫力のみならず冷却性能の向上が目的だ。
さらにフロント部ではグリル下のスプリッターやホイールアーチのフロント側にもエアロ・エクステンションパーツが採用され、ハイスピード走行でもフロントの浮き上がりを抑制し、空気抵抗を減らしダウンフォースが高められている。
リアはルーフスポイラーのサイズ=空力容量が上げられたほか、DBXでは左右2本だったエグゾーストテールパイプが排気効率を高めるべく4本出しとなり、その音質もパワフルなエンジンに相応しい音響調整が行われている。
聴覚的な刺激やエモーションの“性能調整”にも抜かりない。
どんな感じ? イタリア試乗
DBX707の凄さを様々なスペックがわかりやすく証明しているのかもしれないけれど、アストン マーティンのDBX707の素晴らしさは20km/hでも200km/hでもドライバーの意のままに扱えるパフォーマンスが与えられているところだと、このモデルに乗って再認識できた。
サルデーニャ島の試乗では400kmを走行した。ホテルから街中を抜け、高速道路で山間部に向かいひたすらワインディングを走った。
そんな道中、大小の集落を抜けるときは30km/h~10km/hの走行制限もあり、集落を抜けると90km/hでワインディングを走ることも可能だった。終始、SUVであることを忘れつつ、視界の良さだけはありがたく利用させていただいた。
走り出してまず700Nmもある4Lツインターボもブレーキも、街中速度でも扱いやすく、その滑らかな巡航ぶりに日常使いにも適したモデルだと確信できた。ただしDBXよりも乗り心地は少し硬めではある。
高速道路では120km/hまでのフル加速を試みたが、あっという間だったのは言うまでもない。その間、足元がビシッと路面を捉えてブレない安定感を、ステアリングを握る手元でも頼もしく感じることができた。
涼しい顔して120km/hなんて……、ただDBX707がいかに動力伝達に優れていたかをお伝えしたい。
試乗で見つけた「アストンらしさ」
幾重にも続く、コーナーの角度も進入速度も異なるリアルワールドのワインディングでは、ブレーキのフィーリングやコントロール性に優れ、姿勢はフラットながらブレーキの緩め度合いによって異なる荷重変化を伝えてくれる。
おかげでコーナーに侵入する際のステアリング操作も正確さが増す。
コーナリング中はおそらく新バージョンのeデフや48Vアンチロール・エレクトリックダンパーにも支えられ、ムダな動きの排除されたDBX707の四輪が確かに接地していることを感じながらステアリングを保持。
ときにステアリングを切り足したり戻したり、アクセルを踏み足したり緩めたりする動作に対し、DBX707はわずかな操作にもリニアに繊細に反応してくれる。
そして再加速へとドライビングループは繋がる。
再加速時の豊かなトルクを路面に解き放つようにアクセルを踏み込み、野太いエグゾースト音とともに味わうのもDBX707の醍醐味と言えるだろう。
そんなDBX707の加速性能が速くて強いのに、少しも暴力的でないのもアストンらしい。
最大でリアタイヤの駆動を100%まで可能にする4WDの効果もあるに違いない。
助手席派か 運転席派か
しかし様々な制御技術が精密に効果を発揮できるのも、専用開発されたプラットフォームのボディ剛性に恵まれているからだと察することができる。
果たしてDBX707は、紛れもなくアストン マーティンのハイパフォーマンスモデルだった。
ところで、今回は2人一組で試乗をした。
青空が広がる陽光の下、助手席の重厚でスポーティなシートに収まり眺めたサルデーニャ島のドライブも素晴らしかった。
ーー山や海、オレンジ色の屋根にオフホワイトの壁がかわいい家々が集まる小さな町ーー
流れていく風景を純粋に楽しめたと言えばDBX707が走り一辺倒のパフォーマンスSUVではないことが伝わるかしら。
次のドライバー交代が楽しみだったことは言うまでもないけれど……。
アストン マーティンDBX707 日本発表
執筆:AUTOCAR JAPAN編集部
4月15日。東京都内で開催された発表会に登場した「アストン マーティンDBX707」。モデル名はディービーエックス・セブンオーセブンと読む。
日本法人の寺嶋正一マネージングダイレクターは、2019年に登場したDBXについて「日本においては、活躍の場を限定しない万能なキャラクター、そしてアストン マーティンの真骨頂であるエレガントなスタイリングとデザインで大成功をおさめております」と説明。
日本初上陸を果たしたDBX707については、「最速・最強・最上級。3つの言葉で表現することができます。パワーとパフォーマンス、そして運転する喜びをさらに高めました。強力なライバルがひしめくSUVセグメントにおいて傑出した存在となります」
「世界で最もパワフルでラグジュアリーなSUVとして、新たなセグメントを切り開くと言っても過言ではありません」と紹介し、アンヴェールを行った。
アストン マーティンDBX707の日本価格は3119万円。
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みんなのコメント
内装の質感はロールスロイスやベントレー並みだからバーゲンプライスって感じですね。