■なぜ背の高い「スーパーハイトワゴン」に軽SUVが増えたのか
ここ数年、軽自動車市場ではSUVのテイストを盛り込んだモデルが相次いで投入されています。
特に背の高い「スーパーハイトワゴン」に設定されるSUVルックなモデルですが、どのような背景で誕生したのでしょうか。
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庶民の下駄としての役割が大きい軽自動車。その歴史の始まりは1949年で、戦後の経済成長の一助となることを目指してスタート。
しかし、当時のモータリゼーションの主力はオート三輪やオートバイで、当初は軽自動車の製造を手掛けるメーカーは少なかったですが、乗用系は1955年に「スズキ スズライト」、1958年に「スバル 360」、商用系は1957年に「ダイハツ ミゼット」の登場以降、参入メーカーが増えていきました。
そんな軽自動車は登録車とは異なる独自の進化を遂げていきます。ただ、時代ごとに求められる要素が大きく変化し、人気車種も様々でした。
例えば、1980年代後半から1990年に向けたバブルの時期には、経済性や価格よりパワーや速さ、優れた装備やデザインが重視された事もありました。
現在はどうでしょうか。
1993年に登場ししたワゴンRが切り開いたハイト系の進化版とも言える「スーパーハイトワゴン」に人気が集つまっています。
軽自動車規格に収まる寸法の範囲で、最大限に空間を活かした広々とした車内や収納スペースの多さが魅力ですが、このスーパーハイト系に新たなジャンルが追加され話題となっています。
それは「SUVルックのスーパーハイト系」です。
その元祖は2018年に追加された「スペーシア・ギア」。今や世界的に人気の「SUV」と日本で人気の「スーパーハイト系」のクロスオーバーと言っていいモデルですが、軽自動車の世界で新たなジャンルを開拓するスズキらしい提案でした。
この成功に他メーカーも追従し、三菱は「eKクロススペース」から「デリカミニ」へと発展。ダイハツは「タントファンクロス」を投入し、スバルもそのOEMとなる「シフォントライ」を発売しました。
そして軽ハイト系の王者に君臨するホンダN-BOXも「N-BOX JOY」をラインアップしています。
その内容は内外装をSUVルックに仕立てることで、よりアクティブ、よりアウトドア、より出かけたくなる雰囲気に仕立てられています。
走りの部分は普通のスーパーハイト系と変わりません。
FFに加えて4WDも用意されていますが、悪路をガンガン走るためではなく、あくまでも積雪地域需要に合わせて設定と言うイメージです。
なおデリカミニの4WDは専用サス+大径タイヤで最低地上高アップされ、オフロード性能を考慮しています。
要するにSUVの“雰囲気”を楽しめるモデルと言うわけです。
この辺りは昭和時代に流行った「陸(おか)サーファー」とよく似ていますが、そもそもSUVの意味は「「スポーツ/レジャーに適した利便性を備えたクルマ」と定義は曖昧なので、それほど目くじらを立てなくてもいいのかなと。
■なぜ「SUVルック」のスーパーハイト系が次々ラインアップされるのか?
でも、なぜSUVルックのスーパーハイト系が次々ラインアップされているのでしょうか。
スーパーハイト系はこれまで「ノーマル」と「カスタム」の2つのキャラクターが般的でした。
その流れを作ったのは「裏ムーヴ」と呼ばれた初代ムーブエアロダウンカスタム(1997年登場)です。
元々はアメリカンミニバンのテイスト付加させた純正カスタマイズモデルでしたが、ノーマルモデルよりも精悍、スポーティ、ワルなイメージがユーザーに受け、途端にメインストリームに。
その流れが今のラインアップ構成に繋がっていますが、最新のカスタムはどちらかと言うと、軽自動車本来価値を持つベーシックなノーマルに対して、付加価値をプラスした上級グレードと言う位置づけに変化しています。
要するに、当初はアウトローな存在だったカスタムが、今では“普通”になってしまい、シェア拡大を狙うためには新たな個性が求められ、その結果としてSUVルックのスーパーハイト系が生まれたのでしょう。
このように軽自動車は時代のニーズに柔軟に対応しながら変貌するのは、時代によって求められるモデルが大きく変化しているからです。
そのような観点で見ると、筆者としては、軽自動車はズバリ「時代を映す鏡」と言える存在だと思っています。
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みんなのコメント
今のスーパーハイト系SUV風味の人気はアウトドアブームということも貢献しているが、成功した最も大きな理由はギャップ萌えです。
街での買い物や送り迎えに特化したスーパーハイトと最も縁遠いワイルドを組み合わせたことで出来たアンバランスな存在感。
特に初代スペーシアギアは『かわいい』を上手く取り込んで萌え成分を高くしたから。
アウトドアと買い物&送り迎えで前者を重視する人達はハスラーとかタフトを買う。