免許歴30年以上のベテランドライバーもいれば、最近どころか5年以上運転していないペーパードライバーの方もいるだろう。みなさん、道交法の点数制度と罰金のシステムを忘れていませんか?
また2019年12月1日から「ながら運転」が厳罰化されたのはご存じですか?
違反点数だけでなく反則金もおよそ3倍に大幅アップ。スマホを手に持って通話しただけでも違反点数は1点から3点に、普通車で6000円だった反則金は1万8000円に引き上げられました。
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その「ながら運転」で事故を起こしてしまうと違反点数は6点となり、一発で免許停止。さらに、反則金の対象からも除外され、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が科される可能性があります。
「ながら運転」で刑務所に入れられる可能性もあるのです。道交法をなめちゃいけません。
そして2020年1月20日から始まった通常国会で、順当にいけば可決される「あおり運転罪」があります。これが適用されると即免許取り消しになります。
ということで、最近めまぐるしく変わる道交法の罰金と点数制度を再確認していきましょう。
文/ベストカー編集部
写真/ベストカーWEB編集部 Adobe Stock
初出/ベストカー2020年1月26日号
【画像ギャラリー】覚えておきたい違反の点数と反則金、飲酒運転に関する罰則と処分
そもそも道交法って何ぞや?
めまぐるしく変わる道交法をここで改めてチェックしたい
道路を走るうえですべてのドライバーが守らなくちゃいけないルールが道交法。日本での始まりは明治14年といわれる。まだクルマは普及しておらず、人力車が走り、馬車が行き来していた時代だ。
その時、道路通行規則と営業規則が一体になった「人力車取締規則」が制定されたのが始まりといわれる。今では当たり前の左側通行もこの時決められた。それから約140年。道交法は時代、時代に合わせて変化を続けてきた。
例えば、携帯電話が普及し出した1980年代後半からは、それに合わせるべく道交法も変化した。運転中はケータイを操作してはならない、なんてのはそのいい例。
さらに遡れば、暴走族が華やかなりし頃の1978年、集団でメチャクチャに走るのは危ないということで、共同危険行為の禁止が規定されたりしてきたし、オートマチック車が多数を占めてきたため、AT限定免許というのも1991年に制定された。
道交法はここまで変化している
では近年、道交法がどう変わったのかを見てみよう。2000年に入ってからの変遷を辿ってみる。
●2000年
・6歳以下の子どもにチャイルドシート使用が義務化。
●2002年
・酒気帯び運転厳罰化(0・25mg以上で違反点数13点等へ)。
・免許の有効期限が5年に延長。
・高齢者講習と紅葉マークの年齢が、75歳から70歳へ変更。
●2004年
・走行中の携帯電話等の使用の罰則強化。
・騒音運転、マフラー不備車両などの罰則強化。
●2006年
・駐車違反取締りを民間委託。
・放置違反金制度の導入。
●2007年
・中型自動車の区分新設。
・飲酒運転の罰則強化(懲役5年、罰金100万へ)。
●2008年
・後部座席のシートベルト着用義務化。
・高齢運転者標識(紅葉マーク)の表示義務化。
●2009年
・高速、自動車専用道でのあおり行為(車間距離不保持)の罰則強化(3月以下の懲役もしくは5万円以下の罰金へ)。
●2014年
・ラウンドアバウト交差点の通行方法決定。
●2015年
・自転車の交通違反の罰則規定強化。
・酒気帯び運転の厳罰強化(酒気帯び運転、過労運転等で交通事故を起こして人を傷つけた場合、運転免許の仮停止の対象に)。
●2017年
・高齢運転者対策の強化(75歳以上の運転者。認知症検査の新設など)。
●2019年
・走行中の携帯電話等の使用(ながら運転)の罰則強化。
以上、罰則が強化されたものだが、規制が緩和された例もある。新東名、東北自動車道(一部区間)のように、安全性が高まったことで、制限最高速度が120km/hに引き上げられているし、また大阪府のように、宅配業者の路上駐車の規制緩和が行われているところもある。
道交法はこのように臨機応変に対応しているわけだ(圧倒的に規制強化のほうが多いけれど……)。
2019年12月に運転中のスマホ使用に関する道交法が変わった!
2019年12月1日から、スマホによるながら運転の罰則が強化
運転中の携帯電話を耳に当てての通話やスマホの操作、画面を注視などの「ながら運転」は、シートベルト非装着などと同時に路上で取り締まりをされている、運転中の禁止行為だ。
この「ながら運転」、正確には「携帯電話使用等(交通の危険)」が、2019年12月1日から厳罰化された。これまでは6000円だった反則金が3倍の1万8000円へと引き上げられた。
たとえ業務中であっても、交通違反の反則金や罰金を会社で負担してくれるような職業はほとんどない。
つまり、交通違反で検挙されれば、自分の財布が傷む人ばかりであるから、この罰則強化は痛いハズだ。さらに違反点数も従来の2点から6点に引き上げられ、免許停止の前歴がなくても、いきなり30日の免許停止処分を受けることになる。
衝突被害軽減ブレーキが装備されるようになったとはいえ、わき見運転で追突してしまう可能性はゼロではないし、もし交通事故を起こした際に「ながら運転」をしていたことが判明すれば、交通事故に対する責任は重くなることになる。
そうなれば反則金どころでは済まないし、違反点数もさらに跳ね上がることになるから、免許停止の期間が長くなることも考えられる。
ついうっかり「ながら運転」をしまうドライバーは、悪習慣を改めて運転に集中する習慣を身に付ける努力をしなければ、免停処分を受けるリスクは大きく高まり、免許取り消しになる可能性すら迫ってくることになる
2019年12月の携帯電話使用等に関する罰則規定と同時に、自動運転技術の実用化に対応した規定の整備も進められた。それによると次のようなことが決められた。
1/「自動運行装置」を使用する場合も道路交通法上の「運転」に含まれる(オートパイロットを使っていても、それも運転のひとつの行為だから。スピードオーバーしたら罰則の対象)。
2/一定の条件からはずれた場合は、自動運行装置を使用した運転が禁止され、運転者が運転操作を引き継がなければならない(自動運転にまかせてボーッとしてられないということ)。
3/交通事故等の原因究明を行ったりするため、作動状態記録装置が必要な情報を正確に記録することができない状態での運転が禁止(データログのないクルマの使用は禁止)。
あおり運転の罰則強化も2020年1月20日から始まった通常国会で可決される
「あおり運転罪」が2020年1月20日から始まった通常国会で決まる見込み
現在の道交法では何があおり運転に当たるのか、定義する条文が存在しないため、実際の取り締まり現場では道交法違反のほか、刑法の暴行罪や強要罪などの既存の法律に当てはめながら取り締まりが行われている。
あおり運転の取り締まりは、実際には車間距離を不必要に詰める「車間距離保持義務違反」が適用されるケースが多く、高速道路では普通車の場合、違反点数が2点、反則金が9000円で刑事罰に問われることはない。
こうした現状を踏まえ、警察庁は2019年12月、新たに「あおり運転罪」の創設と罰則強化に向けて法改正を進める方針を明らかにした。検討されている改正案は、相手の通行を妨害する目的で「一定の違反」を行い、交通の危険を生じさせるおそれのある行為を「あおり運転」と定義。
「一定の違反」とは、車間距離を詰める行為や無理な道路変更などが想定され、罰則については、暴行罪(2年以下の懲役または30万円以下の罰金)や強要罪(3年以下の懲役)を参考にしながら今後検討が進められるが、免許については即取り消しとなる見込み。
また、これらの行為に加えて、あおり運転殴打事件で社会問題にもなった、高速道路上での相手の自動車を停止させるなど、事故の危険性が高い行為をした場合には、より重い罰則を科す方針とのこと。
ここで争点になってくるのは、こうした新たなあおり運転罪を適用するには、通行の妨害を目的とした意図的な違反という要件を満たすことが必要になるため、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像などから、立証できることがポイントとなってくる。
警察庁は2020年1月20日召集の通常国会に「あおり運転罪」の新設などを盛り込んだ道交法改正案を提出し、順当にいけばそのまま可決される見込み。
さらに森雅子法相は2020年1月15日、自動車運転処罰法に規定する危険運転の構成要件の拡大を法制審議会に諮問し、他人のクルマの前に急に割り込み、自分のクルマを停止させる行為を罰せるよう法制化したい考えを表明した。
その答申を受け、改正案をこの通常国会に提出する方針。つまり危険運転に「停車」が追加されるということだ。
この違反行為をすれば違反点数は何点? 反則金はいくら?
常に変化している道交法だが、免許歴が長いとついつい忘れがちになってしまうもの。なのでたまには思い出して、気を引き締めてカーライフを送りましょう。
点数も痛いけど、反則金はさらに痛い。このご時世、反則金に払うお金は実にバカらしいものなので、無駄な出費にならないように注意しましょう。
ベテランドライバーでもついつい犯してしまいそうな違反をピックアップしてみた。あの違反行為は何点? 反則金はいくらか? 再確認してみよう。
携帯電話使用等保持 3点 1万8000円
車間距離不保持 1点 6000円
最低速度違反 1点 6000円
速度超過20km/h以上25km/h未満 2点 1万5000円
速度超過15km/h以上20km/h未満 1点 1万2000円
速度超過15km/h未満 1点 9000円
通行区分違反 2点 9000円
追い越し違反 2点 9000円
指定場所一時不停止等 2点 7000円
駐停車違反駐停車禁止場所等 2点 1万2000円
駐停車違反駐車禁止場所等 1点 1万円
座席ベルト装着義務違反 1点 -
免許証不携帯 - 3000円
※より細かい表は画像ギャラリーにありますのでご覧ください
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