意外と重くなっていないかも?重量増加を抑えるメーカの戦略とは
EUが2035年にガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出して以降、クルマの電動化はますます加速しています。
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電気自動車の普及率で世界一を誇るノルウェーでは、新車で販売されたクルマのうち9割以上が、エンジンを搭載しない純粋な電気自動車であるとのこと。日本における電気自動車の普及率はまだまだ数%程度ですが、今後はガソリン車の販売が縮小し、電気自動車のシェアが拡大していくことは間違い無いでしょう。
もちろん、クルマの電動化が進んでいく上で、バイクがその影響を受けないはずはありません。実際、東京都では2035年以降、純ガソリン車のバイクの販売を禁止する方針が発表されています。
国内4大バイクメーカーのラインナップを見てみると、現時点ではまだまだガソリン車が大半。しかし新興メーカーの電動バイクも含めてみると、多種多様なモデルがあることに気がつくでしょう。
電気自動車や電動バイクで使用されるバッテリーやモーターは、エンジンと比べて部品点数が非常に少なく、開発コストが低いのが特徴。そのため新興メーカーが参入しやすく、業界の勢力図が大きく変わる可能性もあります。
クルマやバイクの電動化がますます進んでいくことは間違い無いのですが、こうした電動モビリティには弱点があるのも事実。そのひとつが、ガソリン車と比較した時の車重です。
車重を増加させる大きな原因はリチウムイオンバッテリー。バッテリーは容量に比例して重くなります。一般的に、電気自動車はガソリン車と比べて数百kg程度重くなると言われています。
例えば、現在国内で最も販売台数の多い電気自動車である日産「サクラ」の車両重量は1070kg。同クラスの日産「デイズ」の車両重量は840~940kgであり、100~200kg程度の差が見られます。
また、レクサスのBEVモデルである「UX300e」の車両重量は1800kg。同クラスのガソリン車「UX300h」は1510~1600kgと、200~300kgの差があります。
クルマと違い、バイクの場合は日頃から取り回しの際に車体を押して歩くことが多いでしょう。
電動バイクの車重はガソリン車のバイクと比べてどれくらい重いのか
カワサキが販売する、原付二種クラスの電動バイク「Ninja e-1」の車両重量は140kgです。それに対し、カワサキが欧州で販売する「Ninja 125」の車両重量は148kg。両者の比較では、むしろ電動バイクの方がガソリン車よりも軽いという結果に。
また、ヤマハが国内で販売する原付一種クラスの電動バイク「E-vino」の車両重量は68kg(バッテリー装着)。同社の「vino」は81kgであり、E-vinoの方が10kg以上軽くなっています。
電気自動車と違い、電動バイクの場合は車重が軽いモデルが多い模様。この軽さを実現しているのが、バッテリー容量の削減。航続距離を犠牲にしつつも、車両重量増加の原因になっているバッテリーを容量の小さいものにすることで、軽量化を実現しているのです。
実際、前述の2モデルの航続距離はガソリン車と比べると非常に短いもの。Ninja e-1は55km、E-vinoは32kmとなっています。Ninja 125の航続距離は407km、vinoの航続距離が263キロであることを踏まえると、いかに電動バイクの航続距離が短いかが分かります。
原付や原付二種のように遠出を想定していないモデルであれば、航続距離の短さは大きなデメリットになりにくく、車重を抑えるメリットの方が大きい、とメーカーは判断したようです。
給油する度にガソリンスタンドに行く必要のあるガソリン車と違い、電動バイクの場合は自宅で充電することが可能なため、毎回の充電も苦になりにくいでしょう。そう考えると、電動バイクの航続距離が短いのも納得できるかもしれません。
※ ※ ※
電気自動車は車重が重くなる傾向にありますが、電動バイクの場合は、バッテリーを小さくすることで車重を抑え、ガソリン車並みの重さを実現するケースが多いようです。
もちろん航続距離を重視し、大容量のバッテリーを搭載した電動バイクも存在します。しかし車重の増加に加え、価格も高くなりやすい傾向にあるため、広く普及することを目指したモデル、というよりは趣味性の強い高級モデルとしての雰囲気が強い模様。
今後普及していく電動バイクの多くは、航続距離の短いモデルとなるかもしれません。
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