巷間言われているフランス人のイメージの中に「理屈っぽくて議論好き、プライドが高くて、けちんぼ」などがある。文字だけで見れば、なんともお付き合いの難しそうな人たちだ。しかし、それほど多くはないが、知り得るフランス人たちを見ていると、理屈っぽくて議論を好ずきは「納得するまで徹底して話す」ことであり、初プライドが高くてケチは「自らの価値観に自信を持ち、納得できないものには、びた一文払わない」こと。彼らは別に分からず屋ではない、と自らの認識を改めたことを、ルノーのコンパクトSUV、キャプチャーのニューモデルを試乗中、ずっと考えていた。
このクルマ、初代がデビューした2013年以来、7年ほどの間にフランスを始めヨーロッパを中心として170万台以上という販売実績を持っている。さらに初代の実績をベースに開発された2代目が2019年に本国デビューを果たすと、これがまた欧州で販売された全SUVの中で、販売台数1位となるほどの人気。今ではコンパクトSUVの代表的なブランドとしてすっかり定着している。とはいえ、数多くのライバルがひしめく中で、これほど多くの支持を集める理由は、どこにあるのだろうか?
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目の前に現れた新型は先代と比べると、ひとまわり大きくなった印象。実寸でも少しずつだが長く、広く、高くなっている。その上で外装のデザインからは躍動感とエレガンス強く感じると同時に、都会の街並みとのマッチングがとてもいいエクステリアだと思った。この存在感の向上もあって、クルマをより大きく見せているようだ。
さらに細部を見てみる。ツートンカラーのルーフ、アルミ製のルーフレール、前後バンパーの下部を守るように装備されたスキッドプレート、そしてボディ下端を覆う黒いモールがエクステリア全体に上質な印象を与えている。これ見よがしの仕掛けは少ないものの、勘所をしっかりと押さえたパーツの配置による演出からは、フランスならではの抑制の効いたファッション性を感じる。
さっそく乗り込んでみても、その印象は継続する。ボディの拡大やホイールベースの延長によって、より広くなったキャビンに派手さはない。しかし趣味のいい華やかさはしっかりと存在していた。水平基調でデザインされたダッシュボードや、一見、空中に浮いたようなフローティング形状のセンターコンソールからは、実用とファッションの両立をよく考えてデザインされたことが、よく分かる。さらにドライバーに向けて角度がつけられた7インチのセンターモニターにも、安全を考慮してドライビングポジションの最適化を追求した結果だ。使いやすく、見た目もいい。フランス流デザインの本質がインテリアにもしっかりと存在し、プレミアムともいえる印象を与えてくれた。
エンジンをスタートさせ、軽い操作感のバイワイヤ式シフトレバーをドライブレンジに入れて走り出してみた。なんともしっとりした走り出しである。トルクの上昇するフィーリングは程よい力強さがあって、アクセルを踏み込む感覚とピタリとあっている。この感覚の一致があるから心地いいのだ。
実はこの感覚は加速だけでなく、減速の時にも、さらにはステアリングを操作したときにも、いつも感じられるのである。タイムラグなく、気持ちよくこちらのリクエストに応えてくれる動きは、技術的には相当に難しいはずである。新開発のボディ骨格、最高出力154PS、最大トルク270N・mという1.3Lの直列4気筒ターボエンジン、そして7速ATのシームレスなシフト。どれを見ても超弩級のスペックではないが「このフィーリングをフランスの人たちは十分に上質で心地いい」と感じているからこそ、ヒットしているのだなと、納得できたのだ。
実用にはついても厳しいフランス人に支出させるには、十分な内容をもっていた。走り込んでの燃費結果ではないが、市街地と首都高速を50キロほど走り回って15.3km/l。カタログはWLTCモードで17.0km/lだから、それほど悪くはない。走行モードはデフォルトの「My Sense」、スポーツ走行に適した「Sport」、燃費重視の「Eco」があるが、ここはMy Senseを選んでの結果であり、十分に納得だ。
体をしっかりと包み込むように支えてくれるシートと、しなやかに動いてくれるサスペンションの心地よさを感じながらの試乗中、もうひとつ気が付いたのは静粛性が高くなっていること。事前に新しい防音材を採用やフロントガラスへの防音フィルムの使用、さらにシーリング方法の見直しによって静粛性が高められているといった説明を受けていた。走り出しの頃はそれほど強く意識できなかったのだが、走り込むほどに清酒性は際立ち、快適性にたいする配慮が感じられる。上質な空間でのハイウエー走行はやはり心地いいものである。これでキャプチャーの「インテンス テックパック」のプライスは319万円。納得ができるからこそ、厳しい選択眼をもつフランス人の財布の紐も緩くなる。さらに言えば、この独特の程よい上質さは、プレミアムカーを乗り継いだ人の「普段使いにも耐えられる」ほど。支出以上の価値があるからこそ、ここまでヒットしているのだろう。
ひとまわり大きく、そして上質なイメージがより向上したエクステリアデザイン。
ボディサイドは抑揚の効いた面構成で、存在感のあるデザイン。
新世代のルノー車に共通するフロントデザインを採用。バンパー下部にSUVらしいスキッドプレートを装備。
リアのコンビネーションにも幅広く見える効果のアル“Cシェイプ”のライトを採用。こちらにもバンパー下部にスキッドプレートが見える。
ヘッドライトユニットに「Cシェイプ」を採用。都会で際立つフロントマスクのデザイン。
水平基調でデザインされたダッシュボードは細部まで作り込まれ上質な仕上がり。
空中に浮いているようなフローティング形状のセンターコンソールは新鮮なデザイン。
ドライバーに向けて設置された7インチのセンターモニターは視認性も良好。
しっとりとした風合いのシートはフィット感も良く、ロングドライブでも疲労感は少なそう。
足元のスペースも十分に確保され、リアスペースでの居住性も良好。
ADAS(運転支援システム)の性能も大幅に向上。ストップ&ゴー機能付きの「アダプティブクルーズコントロール」や歩行者・自転車検知機能付きの「アクティブエマージェンシーブレーキ」など運転支援でも注目点は多い。
ラゲッジの最大容量は1,235L。3人乗車で3人分のゴルフセットが搭載出来る。
(スペック)
価格:319万円
全長×全幅×全高:4,230×1,795×1,590mm
エンジン:直列4気筒ターボ 排気量:1,333cc
最高出力:154ps(113kW)
最大トルク:270Nm
駆動方式:FF
【問い合わせ先】
ルノー コール TEL:0120-676-365
取材・撮影/佐藤 篤司(AQ編集部)
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