電動戦略 第2ステージの皮切り
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】じっくりみたい 日産ノート(2020年型) 後席やトランクも【詳細】 全193枚
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)
初代ノートはファミリー用途に対応できるBセグとして開発。
2代目ではファミリー色を弱めてはいるが、同クラスでは広いキャビン等を利したプレミアム感の演出によりポストファミリーのダウンサイザーに軸脚を移した。
3代目となる新型車は先代路線、すなわちダウンサイザーを中心にしたプレミアム性を一層強化したモデルになっている。
要点の1つが車種構成だ。ガソリン車を廃止し、eパワーのみの構成とした。つまりハイブリッド専用車となったわけだ。
eパワーは従来どおりシリーズ式ハイブリッドを用いるが、一体型インバーターと高効率型モーターの採用やエンジンの高効率化等の改良が加えられた新型となっている。
ハイブリッド車では珍しく油圧回生協調電子制御ブレーキのも従来と同じであり、回生効率向上のためエンブレ回生域を強化した「ワンペダル感覚」のeパワー・ドライブの改良及び適応走行モードの拡大を図っている。
パワートレイン系でもう1つ見逃せないのが遅れて追加される予定の4WD。後輪を独立した電動駆動とするのは従来と同じだが、モーターを直流3.5kW型から交流同期50kW型に変更。
全車速域を4輪で駆動するとともに後輪からの回生制御も追加するなど4WD性能の向上だけでなくパワートレインとしても性能向上が図られる。2021年に発売が予定されているクロスオーバーEV「アリア」での開発技術派生の設計でもある。
つまりノートは日産の電動戦略第2ステージの皮切りモデルでもあるのだ。
気になるワンペダル 先代との違い
第2世代eパワーの主眼は走りの質感の向上だ。
先代では電動感を誇張した感が強かった。具体的には踏み込み時の蹴り出すような初期加速や即応性だ。それをしてじゃじゃ馬にしない駆動トルク変動の抑制等の制御技術も見所の1つだった。
新型は後者の駆動トルク変動の抑制に象徴される滑らかさを全面に出している。
即応性はそのままにペダルコントロールに自然に加減速。滑らかさと力強さが高水準で両立。多少荒っぽいペダルコントロールをしても車体を揺するような反応はない。
踏み込み加減に応じた過不足ない加速が動力性能面の質感を高めている。
これは「ワンペダル感覚」でも同様である。エンブレ回生強化モードはエコ/スポーツのD/Bレンジで機能。
アクセル全オフ時の減速度はDレンジでは最大0.15G、Bレンジでは最大0.18Gに制御。効率的なエンブレ回生ができるのだが、見所はコントロールしやすさ。巡航からのアクセル全オフでも唐突な減速感が抑えられている。
空走から緩エンブレくらいのコントロールもしやすくなり、緩やか登降坂での巡航速度制御も容易になった。
また、先代ではワンペダルで停車までカバーしたが、新型では停止前にクリープ走行に移行する。
結果、一般的なBレンジ走行と大差なくなったわけだが、停車にブレーキペダルを踏むのはセオリーでもあり、コントロール性の改善と合わせて好ましい変更と言える。
上級クラス彷彿 高速の長距離に適す
一新されたプラットフォームは走りの質感を大きく変化させた。
最も印象的な変化は静粛性である。
エンジン周りの静粛性だけでなくロードノイズも抑制され、バランスのいい静粛性となっていた。
エンジン音もロードノイズも耳障りな高周波成分が少なく、騒音量の低減と騒音の音質の両面から体感静粛性を向上。車体の厚みを感じさせるような静粛性は1クラス上と比しても同等以上だ。
乗り心地は少し硬め。減衰の利いたストローク制御で車体の動きに落ち着きがある。段差通過では相応の上下動はあるが、角が丸められた突き上げであり、それほど不快ではない。
軸周りの揺動の少なさや収まりのよさなどの車体全体の減衰感が質感を高めていた。
ハンドリングは初期応答のいい回頭性とタイムラグ少なく立ち上がる旋回力の素直さ。多くの状況で揺れ返し等の修正舵が不要であり、乗せたいラインに向けて舵を入れていけばいい。
車格に比べると落ち着いた操縦感覚は軽快感に欠くという言い方もできるが、これもまた上級クラスを思わせるものであり、高速長距離用途に適した特性である。
どんな人に日産ノートは最適なのか?
新型はドアの開閉音や各種警告音など五感で感じる質感にもこだわって開発されている。全面からの「安っぽさ」の排除なのだ。
動力性能やフットワークにしても同様である。シートの造りや加飾の質感はコンパクト相応だが、奇を衒わない落ち着いたインテリアデザインも好感が持てる。
同じようにポストファミリーのダウンサイザーを意識しながら、嗜好的な演出を主にした先代に対して質や洗練感を軸にしたと考えていいだろう。
ちなみにWLTC総合モード燃費は28.4km/L(X)であり、対フィットHV(リュクス)の1km/L増、対ヤリスHV(Z)の6km/L減であり、実燃費でも先代と同等以上と予想される。
走りの質感を向上させてなおトップクラスの燃費を維持したわけだ。
eパワーと共にニッサンの大きな武器となっているプロパイロットはニッサンコネクトナビとの連携でカーブでの車速制御機能を追加。
プロパイロット2には及ばないまでも同クラスでは先端運転支援機能となる。
気になるのは設定である。
eパワー車のみで3グレード用意されているが、プロパイロットは最上級の「X」へのオプション設定となり、他グレードにはACCとLKAは設定されていない。
もっとも、最廉価の「F」と「X」の価格差は約13万円でしかない。ならばプロパイロット装備の「X」が一択。270万円くらいの予算建てが必要になりそうだ。
ヤリスやフィットも最上級グレードでは同様だが、先進運転支援装着での価格レンジが広いので、相対的に割高な印象は否めない。
それでもヤリスやフィットとキャラや訴求点を違えたのは成功である。洗練された大人っぽいコンパクトカーを求めるユーザーには新型ノートが最も魅力的なモデルとなるだろう。
日産ノートXのスペック
価格:219万円
全長:4045mm
全幅:1695mm
全高:1520mm(1725mm)
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:28.4km/L
CO2排出量:
車両重量:1220kg
パワートレイン:直列3気筒1198cc
使用燃料:ガソリン
エンジン最高出力:82ps/6000rpm
エンジン最大トルク:10.5kg-m/4800rpm
モーター最高出力:116ps/2900-10341rpm
モーター最大トルク(前):28.6kg-m/0-2900rpm
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