■シビックやトゥディの面影を感じさせる…サブコンパクトカーの新提案
トールワゴン型の軽自動車「N-BOX」が好評のホンダは、1963年の4輪車市場参入以来、小型車を得意分野のひとつとしてきました。
【画像】超カッコイイ! ホンダ「“3ドア”ハッチバック」を画像で見る(77枚)
1972年に前輪駆動(FF)・2BOXスタイル・ハッチゲートを採用した革新的小型車「シビック」を発売。1981年には20~30代の若者に向け、当時では類を見ない「トールボーイコンセプト」で開発され、車内にバイクを格納できる斬新な小型車「シティ」をリリースするなど、傑作車は枚挙に暇がありません。
そのためホンダには、多くのユーザーやファンが「ホンダなら楽しくて画期的な小型車を出してくれるだろう」という期待値が常にあるように思います。それは日本のみならず、メインターゲットである北米も同じではないでしょうか。
2013年のカナダ・モントリオールショーで発表された「GEAR(ギア)」は、まさにその願いを具現化したような小型車のコンセプトカーでした。
コンセプトは、1975~1989年に生まれた「ジェネレーションY」と呼ばれる若者や、都市部で生活する人をターゲットにしたサブコンパクトカーで、デザインは「フィクシー」と呼ばれる固定ギア自転車から着想を得たと言います。
しかし、“このデザインのどこに自転車のイメージがあるのだろう?”と思うかもしれません。
固定ギア自転車とは、複雑な機構の変速ギアを持たない自転車です。一般的な自転車では、ペダルを止めても車輪は空回りして惰性で進むことができますが、固定ギア自転車では直結しているため、常に漕ぎ続けなければなりません。乗りにくい自転車ですが、不便さを魅力と感じて都市部で楽しむユーザーが多くいます。
そう考えると、ソリッドな乗り味を持ち、都市部で流行した固定ギア自転車とギアのコンセプトは合致しているように感じます。
昨今のクルマのデザインは装飾過多になりがちですが、シンプルな面で構成されるギアのデザインは、デビュー後10年以上が経った現在でも新鮮。
丸いヘッドライトとその上部を持ち上げたグリル形状は初代シビックを、おむすびのようなフォルムは初代シティを、ボンネットから一筆書きでルーフまでかけあがるラインは初代トゥディを連想させるなど、随所にホンダの小型車のヘリテージを盛り込んでいるようにも見えます。
滑らかなサイドパネルと連続してなだらかに膨らむフェンダー、下方向に拡大された側面窓、大きくサイドに回り込んだハッチガラス、ブラックアウトしたリアパネルなど、随所に特徴的なディティールが与えられていました。
リアバンパー下部にはディフューザーや4本出しマフラーを備えるなど、スポーティさを売りにしたホンダの小型車らしいディティールも忘れておらず、すぐにでも市販ができるような完成度の高いデザインを誇りました。
ちなみにサブコンパクトカーとはアメリカ独自の小型車の呼び方で、おおむね全長4.5m以下・全幅1.75m以下のクルマに相当します。
日本における小型車やコンパクトカーと呼ばれるジャンルに当たり、日本車ではトヨタ「パセオ(サイノス)」「プリウスC(アクア)」、「ヤリス」、日産「セントラ(サニー)」、「ヴァーサ(ティーダ)」などがこのジャンルに属します。
サブコンパクトカーには実用的なモデルか、サブコンパクトカーをベースに高性能化したスポーツコンパクトなどがありますが、ホンダでは「ギアはその両方を兼ね備え、かつ価格を抑えることができ、カスタマイズも可能」としています。
※ ※ ※
ジェネレーションYのみならず、それ以外のユーザー層にも大いに魅力的に映るギア。残念ながら市販されることはありませんでしたが、純粋に「カッコイイ」と思えるシンプルなデザインとコンセプトは、歴代のホンダ製小型車の伝統を継いでいます。再びギアのような「ホンダらしい」コンセプトカーや市販モデルの登場に期待しましょう。
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みんなのコメント
ジャパン・モビリティショーで実車を見ました。
思ったより少し大きかったよ。
後ろのハッチバック部分は液晶になっていて充電容量が表示されていた。
筆者は、実際に車を見て文章を書いて下さいね。
なんでもかんでも超カコイイと小学生の文章を書かないように。