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ジャガーの考える“ハイパフォーマンスSUV”とは? Fペイス SVR試乗記

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ジャガーの考える“ハイパフォーマンスSUV”とは? Fペイス SVR試乗記

ジャガーのミドルサイズSUV「Fペイス」に設定されたハイパフォーマンスバージョン「SVR」とは?

街中での乗り心地は予想より快適

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始動ボタンを押すと、5.0リッターのV型8気筒スーパーチャージドエンジンが目覚めた。アイドリング時の“ボボボボ”という音が、重低音が効いていることとちょっと不揃いなことで、タダ者ではない雰囲気を醸している。最高出力550psのこのV8はジャガーが誇るスポーツカー、Fタイプに積まれるものをSUV用にセッティングしたものだ。

ジャガーFペイスSVRは、高性能仕様やビスポークなどジャガー・ランドローバー社の特別なモデルを担当するSVO(スペシャル・ヴィークル・オペレーションズ)が仕立てたスーパーなSUV。

運転席に座ると、ほかのグレードがダイアル式のシフトセレクターを採用するのに対して、SVRは飛行機の操縦桿を思わせるレバー式であることに気づく。ここもタダ者ではない。

そのシフトセレクターをDレンジに入れて走り出すと、「あぁイギリス車だなぁ」と、思う。中低速域からエンジンのトルクがリッチで、ブンまわさなくてもアクセル操作に対して気持ちよく反応してくれるからだ。スペックを見れば680Nmという最大トルクを2500rpmから発生していることがわかる。

たとえライトウェイトスポーツカーであっても、高回転域までギャンギャンまわすような乗り方を強いるイギリス車は記憶にない。中回転域のトルクの山を上手に使って、堂々と乗るのが英国っぽい。そしてこのクルマも、そんな乗り方が似合う。ただし、街中で穏やかに乗れば、という条件付きだということが後でわかる。

街中での乗り心地は予想よりはるかに快適だ。550psに合わせてギンギンに締め上げているかと思えば、さにあらず。フロント265/45R21、リア295/40R21という太くて薄いタイヤも見事に履きこなし、優雅に進む。ジャガーに期待する、ヒタヒタというちょっと湿り気を帯びた乗り心地も健在だ。

なるほど、これがジャガーの考えるスーパーSUVなのかと納得する。ところが──。

“紳士が乗る野蛮なスポーツ”

山道に入ってダイナミックモードを選ぶと、まず排気音が豹変する。3500~4000rpmより上の回転域では耳をつんざくような機械の咆哮が車内にあふれる。アクセルペダルを戻すと、「パパン、パン」と、アフターファイアのような音を発してドライバーの気分をアゲる。

音の演出は野蛮だ。でも、嫌いじゃない、というかむしろ好きだ。

ダイナミックモードでは、変速スピードも素早くなり、アクセル操作に対するレスポンスも一層俊敏になる。

2トンの巨体が、ものすごい音を撒き散らしながら、とてつもない勢いで突進する状態に身を置きながら、このクルマはなにかに似ている、と思った。そうだ、圧倒的なスピードとパワー、そして底なしのスタミナを備えたこのクルマは、ワールドカップで見たラグビー選手だ。

イギリスには、「ラグビーは、紳士がやる野蛮なスポーツ」という名言があるという。ルールを守らなければ、あんな野蛮なスポーツでは大ケガをしてしまう。だからルールや対戦相手を尊重する紳士がプレーすべきスポーツなのだ。

そのセンでいけば、FペイスSVRは、“紳士が乗る野蛮なスポーツ”だ。これだけの質量のクルマが爆音とともに猛ダッシュするわけで、マナーをわきまえた紳士が乗るべきだろう。

と、猛々しいエンジンに耳を奪われて気づくのが遅れたけれど、対照的に足まわりは実に洗練されている。ダイナミックモードではダンパーも固められるけれど、荒れた山道でも路面の凸凹をしなやかにトレースする。

そしてタイトなコーナーでも、思い描いたラインからふくらむことなく、理想的な軌跡を描く。

おそらくこの優秀なコーナリング性能には、トルクベクタリングが大いに貢献しているはずだ。

たとえばタイトな左カーブ、内側後輪(つまり左後輪)にはやや強めのブレーキがかけられる。同時に、内側前輪(左前輪)にはそれより少し弱いブレーキをかける。こうすることで、背が高い2トンの巨体が蝶のように舞うのだ。

そしてこの仕組のおかげで足を硬くしなくてもしっかり曲がるから、乗り心地も悪くならない。

このトルクベクタリングを含めて、操縦性と快適性を高度にバランスさせた足まわりからは、高級車や高性能車を知り尽くしたSVOが丁寧に味付けしたことが伝わってくる。

いや待てよ。エンジンだって音こそ激しいけれど、振動もなければ扱いにくさもない。節度を持って接すれば、低回転域から気持ちよく吹け上がって思いのままに加速する、スポーティなSUVにぴったりのエンジンだ。

全身に強力なパワーを送り続ける心臓と、洗練されたステップの組み合わせ。ぜひ、ラグビー日本代表のナンバー8を任せたい。

文・サトータケシ  写真・安井宏充(Weekend.)

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