2020年7月15日、華々しいデビューを果たした日産アリア。その影で「待ったらんかい! 日産のピュアEVといえばワシじゃろおがぁ!!!!」と叫んだとか叫ばなかったとかの元祖ピュアEV リーフ。
実際今後のお互いの立ち位置については気になるところだが、そんな日産リーフのスポーティモデルNISMOが、発売から丸2年を迎えた2020年7月20日(なんの因果かアリア発表の5日後だ)、ひっそりと(?)マイナーチェンジを果たした。
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外観はアンテナがシャークフィンタイプになったくらいだが、これが中身は大違い! EV大王(そして自動車評論家)国沢光宏が驚くほどの進化を遂げていた!!!
■2018モデルから2020モデルの変更点
・専用操舵力チューニング(ステアリングギア比変更 18.3 → 14.9)
・専用減衰力チューニング(前後専用スプリング+後専用ウレタンバンプラバー)
・電動型制御ブレーキ専用チューニング
・インテリジェントトレースコントロール専用チューニング
・VDC(ABS、TCS含む)専用チューニング
【画像ギャラリー】「EVはつまらない」なんて昔のハナシ!! 国沢氏イチオシのスポーツEVトップ5をリーフNISMOとともにチェック!!!
※本稿は2020年7月のものです
文:国沢光宏/撮影:池之平昌信
初出:『ベストカー』 2020年8月26日号
■加速にシビれる! ハンドリングに唸る!!!
リーフNISMOの2020年モデルに試乗した。詳細なスペックを聞いてから乗ると面白くないので、事前資料など読まずクルマに乗り込む!
外観はアンテナがシャークフィンタイプになったくらいで、2018モデルからほとんど変更されていないが中身は大違い
リアビュー。価格は2018モデルよりも18万7000円アップ
まずシートがレカロ! 誰でもわかりますね(笑)。やはりスポーツシートの王道だと思う。剛性感高く、ホールド性もガチガチじゃなく適度にソフト。座った瞬間に快適でございます。
2脚で30万円コースというご予算さえ気にならないのなら、レカロの選択は迷う余地なし!
RECAROはオプションとなるがリーフNISMOの強烈なポテンシャルを味わうには、ぜひ欲しい
システムを起動させ、走り出す。おお! 乗り心地がまったく違いますね! ノーマルのリーフも乗り心地とハンドリングのバランスは非常にいい。
コーナーリング時にステアリングを切らずともすっとはいっていく感じが気持ちいい。採点にもあるが、胸のすくハンドリングが2018モデルとの一番の違いだ
重いバッテリーを前輪と後輪の間の低い位置に搭載しているため、基本的な特性からして優れているからだ。
とはいえコーナーを攻めたらロールするし、挙動も大きい。いっぽうの2020年NISMOはスポーツモデルらしくシャープ!
加減速時のスクワットやノーズダイブもハッキリ少ない。
コックピットはNISMO共通の赤をポイントにスポーティな仕上がりに
■胸のすく爽快なハンドリング
加えて絶対的なコーナリング性能が違いますね! わかりやすく言えば、ノーマルだと少し緊張する速度のコーナーを2020年NISMOならあっけなく曲がってしまう感じ。
Bレンジ&e-Pedalオフでこのクルマのポテンシャルを存分に味わうことができる
チェックしてみたら、2018モデル同様コンチネンタルの18インチタイヤ、「コンチスポーツコンタクト5」を履いていた。
このタイヤ、騒音小さく乗り心地よくグリップも高い。いいタイヤを選んだモンだと感心しきり。サスペンションとタイヤだけでずいぶん違う乗り味になると思う。
225/45R18(コンチスポーツコンタクト5)の大径タイヤでホイールアーチとツライチになり、見栄えも走りも納得だ
ということを考えながら乗っているうち「あれれ?」。コーナーを曲がるときのハンドルの操作量が少ない!
ノーマルだと一度持ち替えるくらいのキツいコーナーを、持ち替えずに曲がれてしまう。
これも後から聞いたら、ステアリングのギアレシオをクイックにしたそうな! そこまでやるの! と驚く。
パイロンスラロームすると、クイックになったギアレシオのメリットをハッキリ味わえます。ラリー競技で使いたい~!
国沢親方はEVレースに積極的に参加している。昨シーズンはリーフe+で走り総合ランキング3位。上はテスラ勢だからさすが大王様。e+ベースのNISMOバージョンも期待したい!
もう一つの「あれ?」はコーナー立ち上がりでアクセル踏んだ時の「曲がりやすさ」だ。
機械式LSDの如くハンドル切った方向にグイグイ曲がるほどじゃないが、ハンドル切りながらアクセル全開するとノーマルのリーフだと軽いアンダーステアになるのに、素直に曲がっていく!
VCM(EVのコンピューター)をチューニングし、加速感、減速感を大幅UP
よく曲がるようなプログラムにしたという。私のリーフe+でこの特性を出せたら筑波サーキットで1分10秒を切れると思う。こら気持ちいいです!
アクセル踏んだ時のドライバビリティもスポーティな方向にしている。
今回は広いテストコースだったが、曲がりくねったワインディングロードを走ったら、すばらしく素直で楽しいことだろう。
今まで電気自動車といえば環境対応車というイメージだったけれど、パフォーマンスを磨いていくと素性のいいスポーツモデルになると私は以前から考えてます。
2020年NISMOに乗ると、電気自動車の新しい魅力を感じますね!
■リーフNISMO2018を10点とすると2020モデルは何点?
・加速フィール:12点
・ハンドリング:15点
・ブレーキ特性:10点
・乗り心地:12点
・装備の充実度:12点
・コストパフォーマンス:11点
魅力的なほかのNISMOのコンプリートカーに比べ、やや存在感の薄かったリーフNISMOだが、今回のマイナーチェンジで存在感を高めた
■日産 リーフNISMO 主要諸元
・全長×全幅×全高:451×1790×1570mm
・ホイールベース:2700mm
・車重:1520kg
・駆動用バッテリー総電力量:40kWh
・最高出力:110kW(150ps/3283~9795rpm)
・最大トルク:320N・m(32.6kgm)/0~3283rpm
・サスペンション:前ストラット後トーションビーム
・タイヤサイズ:225/45R18
・一充電走行距離(WLTC):281km
・価格:429万4400円
※クリーンエネルギー補助金として42万円、さらに自治体によっては補助金(東京都なら30万円)が適用される
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