もくじ
ー デール・ワイアット(スズキ)
ー リチャード・ハリソン(セアト)
ー ゲーリー・サベージ(メルセデス・ベンツ)
イシゴニス賞 豊田章男(トヨタ自動車CEO) AUTOCARアワード2018
デール・ワイアット(スズキ)
スズキUK社長、デール・ワイアット。1990年代には複数メーカーを扱う自動車販売会社のリッジウェイ・ガレージズの店長だった経歴も手伝って、自動車販売の実状を知りつくした人物だ。
彼は「ディーラーには自己表現をすすめています。たがいを信頼し、尊重するということです。これをやりとげれば、ディーラー全体にも高い評価が得られます」といい、さらに158あるスズキディーラーとの距離を縮めるために毎日ふたつの店舗を訪れていると付けくわえた。
ワイアットの眼識のおかげで、スズキはイギリス市場でたしかな成長をなし遂げてきた。昨年の全体的な売り上げは5.7%も増加したのだ。
ワイアットの功績は販売網の整備にとどまらず、小型車専門メーカーというブランドイメージから脱却させ、いまや手の内に3台のSUVをもつメーカーに変えたことだ。そのSUVには小型のものはない。もっとも人気なのは日産・ジュークのライバルとなるビターラだ。
今年発売される2台、スイフト・スポーツと新型ジムニーにも「こういうクルマは実用性もですが、ショールームに華をそえてくれますからね」とワイアットはおおきな期待をよせる。
スズキUKの計画の中には年間5万台販売、また国内シェア2%確保という目標も含まれる。ここではワイアットも、よりおおきな市場に訴えられるかがカギだと慎重ないいかたをするいっぽう、3年で達成したいとも語っている。
リチャード・ハリソン(セアト)
スペインのメーカー、セアトのブランド力をここ数年引っぱってきたのは、アテカだったといえる。だがイギリス法人社長のリチャード・ハリソンは、セアト新時代の幕をひらくのは新型レオンだという。
「自動車メーカーのブランドイメージはそのクルマの上に築かれるものです。そこが5年前と今のちがいです。もとからすぐれた人材には恵まれてきましたが、今はそれがかたちになってきています」と彼はいう。「新型レオン、そしてアテカをご覧ください。われわれのねらいはピタリとさだまっています」
ハリソンが今の地位についたのは2015年だが、その前にもバルセロナ本社での4年を含む10年間をセアトですごしてきた。不採算領域のカットというやりにくい決断もあったが、改革の第1期はおわったという。「明確な戦略にもとづいて安定したビジネスをおこなっています。何が有効かもわかっています。もう採算のとれる事業は確立しましたから、こんどは収益性を犠牲にせずにそれを育てていくやり方が課題です」
ハリソンのねらいは明確だ。セアトの昨年の売り上げは20%ものびて5万6130台を記録したが、今年もそれを上まわるのは確実視されている。数字の説得力をともなったセアトの存在感の高まり、そしてブランドイメージ上昇のための尽力、これらがハリソンをAUTOCARリーダー賞に推した要因だ。
ブランドイメージについては、こう語る。「セアトがアイデンティティをもとめて苦しんできたのはたしかです。でも今ではお客さまの心に響いてきています。先日もアロナでガソリンスタンドに行ったら、何人ものひとが『いいクルマだね』といってくれましたよ」
ゲーリー・サベージ(メルセデス・ベンツ)
彼が最高責任者として2010年にメルセデス・ベンツUKにきてからというもの、市場シェアは3.7%から7%とほぼ倍増した。2017年、イギリスでの総販売台数は18万970台だった。プレミアムカーのメーカーとしても、メルセデスはイギリスでトップクラスの地位にあがったといえる。
サベージは2016年にAUTOCARリーダー賞をはじめて授かっている。今回2度目の受賞は、プレミアムカー市場がし烈さを増すなかでメルセデスが成功をつづけてきた証といえよう。
「ブランドの名声、製品のすばらしさ、それと販売網のおかげですね」というサベージは、メルセデスと販売店の関係を「真の意味での協調」ととくに力をこめる。
これからのメルセデスの方向性のカギとなるのは、デジタル環境だという。「自動車メーカーのウェブサイトは伝統的に販売よりもクルマじたいの情報が中心でした。それらを融合させて、たとえばどんなモデルがあるのかとか、中古車査定価格などもわかるようにしたいですね」
メルセデスUKの社長ともなれば、マイカーは自社の膨大なラインアップからよりどりみどりだろうと思うかもしれない。だがメルセデス勤務のあいだ、彼のクルマはずっとGLS 350dだったという。
もっとも、これにはただし書きがつく。「白いのに6か月、黒いのに6か月、また白を6か月…というかんじで乗っています。社の人間はほかのにも乗ったらといいますが、わたしにはこれなんです」
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