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【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】新人ボス、ステラの2年目の進化。ドライバーからの批判も真摯に受け止め

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【F1チーム代表の現場事情:マクラーレン】新人ボス、ステラの2年目の進化。ドライバーからの批判も真摯に受け止め

 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回は、マクラーレンのチーム代表アンドレア・ステラに焦点を当てた。

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【F1チーム代表の現場事情:バスール/フェラーリ】チームの印象を変えた愛すべき人物。ライバルの祝賀にも飛び入り参加

 F1チーム間の力関係は、良い方向にも悪い方向にも、急速に変化する場合がある。チームの状況が順調なときには、チーム代表は、その勢いを維持し、すべてのチームメンバーに対し、その働きを正当に評価し、尊重する必要がある。一方、チームが問題に直面したようなときには、チーム代表は先頭に立って状況の改善に努めるとともに、時にはドライバーからの批判を受け止めなければならない。

 マクラーレンのアンドレア・ステラにとっては、このところ、前者の状況に対応する場面がはるかに多いが、チームのポジションが高くなるにつれて、プレッシャーも大きくなってきている。

 ステラは、2022年末にアンドレアス・ザイドルがザウバーに移籍した後、後任としてチーム代表の座に就いた。エンジニア出身のステラは、当初はエンジニアリングとチーム管理の分野を主に担当し、メディア業務の大部分はCEOザク・ブラウンが受け持っていた。

 昨年から今年にかけて、自分の監督の下でチームが進歩を遂げたことが、ステラに自信を与えているのだろう。カナダGPの週末、彼が、FIAのチーム代表記者会見において、きっぱりとした態度で、これまでよりも明確に自分の考えを示す姿が印象に残った。

 モントリオールの週末に先立ち、FIAが2026年F1技術規則の概要を発表し、ファンやメディアにより正確な情報を与えようとした。FIAにとって、そうすることが重要だった理由のひとつは、2026年の新規則に関して、チームが満足していないエリアが多数あり、いくつかのコンストラクターから、さまざまな解決策が提案されたからだ。全員を満足させることは不可能なため、FIAは、現在の方向性を示した上で、公の場で議論を行おうとしたわけだ。

 カナダGPの金曜記者会見に、ウイリアムズのジェームズ・ボウルズ代表、アストンマーティンのマイク・クラック代表、ハースの小松礼雄代表と共に出席したステラは、新規則案に最も声高に異議を唱えたひとりだった。

「マクラーレンとしては、プレスリリースで述べられた高いレベルの意図と目標に同意し、これを支持している」とステラは語った。

「しかし、配布された草案の形での規則を見ると、同意できる目標と意図を達成するには程遠い状態である」

 こうしたコメントにより、ステラに対して多くの質問が寄せられたため、彼は、新規則において対処すべき問題があると概説した。元々エンジニアのステラにとって、得意分野のテーマではあるものの、この時の彼は、以前よりも、公の場で自分の意見を明確にアピールする能力が高まっていることを感じさせた。

 記者会見では、FIAに対して攻撃的な発言をしたステラだが、カナダGPのレース後は、守勢に立つ必要に迫られた。

 マクラーレンは、イモラでランド・ノリスにあと1周の猶予があれば、モナコの予選でオスカー・ピアストリがあと100分の数秒速く走っていれば、3連勝を挙げていたかもしれない。だが、マクラーレンがカナダの勝利を逃したのは、チームのミスが原因だった。

 ノリスが余裕をもって後続をリードしていた時に、最初のセーフティカーが出動した。マクラーレンは、そういう場合に迅速に行動する準備をしておくべきだった。それができていなかったため、ノリスは、ピットに入るのが1周遅れ、先にピットストップを済ませた後続のマックス・フェルスタッペンとジョージ・ラッセルの後ろに下がる結果になった。

 最終的に2位を獲得したノリスは、レース後、チームがミスを犯したと発言した。もはや彼は2位で満足することはできない。チームは勝利のチャンスを確実につかむ必要があった。

 ステラはノリスの意見に同意した。そのうえで、ピットストップの判断を下すための時間が1.5秒しかなかったこと、コンディションの変化によりピットインするのが最善だという確信を持てなかったことを、誠実に明かした。

 2位は素晴らしい結果ではあったが、現在上り調子のマクラーレンは、今までよりも高いところを見つめ、より大きな期待を抱いている。代表のステラは、そういった期待を正しい形で管理しつつ、勝利のチャンスを逃さないようチームの改善を図るという、大きな仕事に取り組んでいかなければならない。

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