67回目を迎えたペブルビーチ・コンクール・デレガンス
記念すべき第1回目の開催が1950年。今年でその歴史も67回を数えるに至った、世界屈指のコンクール・イベント、ペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、やはりモントレー・カーウイークの中でも特別な存在だった。ちなみに会場となるペブルビーチ・ゴルフリンクスがゴルフコースとして休業するのは、1年の中ではこのコンクール・デレガンスが開催される日曜日のみ。夜明け前からエントラントが18番ホールに参加車を搬入する姿も、ファンにはすでにお馴染みの光景だ。
ペブルビーチ・コンクール・デレガンスには、日曜日のコンクールのほかにも魅力的なサポートイベントが用意されている。木曜日にはコンクール・デレガンスの参加車がモントレー半島をドライブする「ツアー・デレガンス」を楽しむこともできるし、ペブルビーチ近くのスパニッシュ・ベイのホテルでは、さまざまなオートモービリア=自動車雑貨の販売が行われる、レトロオートが木曜日から土曜日までのスケジュールで開催される。これらのイベントを巡るだけでも、モントレー・カーウイークは十分に楽しめるのだ。
今年の特集は、フェラーリとイソッタ・フラスキーニなど
ペブルビーチ・コンクール・デレガンスの面白さは、やはり特集されるメイクスやモデルが、毎年変わることだろう。2017年はフェラーリの70周年や、カスターニャのコーチワークによるイソッタ・フラスキーニ、そしてリンカーン・コンチネンタル、1960年代のアメリカン・ドリームカーなどが特集されたが、とりわけグランドツーリング、コンペティション、メジャー・レースウィナー、ワンオフ・スペシャルの4クラスが用意されたフェラーリには熱い視線が注がれていた。さらにフェラーリ自身も、このコンクール・デレガンスに併せて、独自に70周年イベントをペブルビーチで開催。それはまさにこの週末のためだけのミュージアムといった印象だった。
70年の歴史を物語る、貴重なクラッシックが並んだフェラーリのクラスで、最も注目されたのは、やはりワンオフ・スペシャルということになるだろうか。フェラーリは近年、特別なカスタマーからのリクエストで、ワンオフモデルを製作することに積極的で、そのいくつかの作例は、例のフェラーリによる70周年イベントでも、その姿を見ることができた。だがペブルビーチ・ゴルフリンクスの18番ホール、しかも太平洋を背にするメインステージに並べられた、かつてのワンオフモデルの姿は、それ以上の感動を与えてくれるものばかりだった。このチャンスを逃せば、あるいはそれを二度と見ることはないのかもしれない。このような一期一会の感情も、ワンオフモデルの前からなかなか歩を進めようとは思わなかった理由なのかもしれない。
フェラーリ・クラスは珠玉のモデルが勢揃い
実際にこのフェラーリ・ワンオフ・スペシャル・クラスにエントリーされていた10台は、以下(車名はエントリーリストの表記)のとおりだ。
1954年375MMピニンファリーナ・ベルリネッタ
1955年375アメリカ・ピニンファリーナ・クーペ・スペチアーレ
1955年375プラス・ピニンファリーナ・カブリオレ・スペチアーレ
1956年250GTザガート・ベルリネッタ・スペチアーレ
1956年250GTボアノ・カブリオレ
1956年410スーパーアメリカ・ボアノ・クーペ
1956年410スーパーアメリカ・ボアノ・カブリオレ
1957年410スーパーアメリカ・ピニンファリーナ・クーペ
1967年ディーノ206コンペティツィオーネ
この10台を対象に、ジャッジの審査を経て、クラス・ウィナーに輝いたのは、1957年の410スーパーアメリカ・ピニンファリーナ・クーペだった。
ベスト・オブ・ショーは1929年メルセデス・ベンツSバーカー・ツアラーに
フェラーリが特集された、ほかの3クラスのリザルトも紹介しておこう。フェラーリ・グランドツーリング・クラスは、1951年212エクスポート・ヴィニャーレ・カブリオレ。フェラーリ・コンペティション・クラスは1958年335スポーツ・スカリエッティ・スパイダー。そしてフェラーリ・メジャー・ウィナー・クラスでは1957年式315Sスカリエッティ―・スパイダーが、それぞれのウィナーに選ばれている。さらにこの中で、1957年式315S・スカリエッティ・スパイダーは、全体の中からわずかに3台のみという、ベスト・オブ・ザ・ショー・ノミネートにセレクトされ、2014年の375MM・スカリエッティ・クーペ以来となるフェラーリの、そして戦後のモデルによるベスト・オブ・ショー誕生に期待が集まったが、最終的にその栄光を手にしたのは、1929年のメルセデス・ベンツSバーカー・ツアラーだった。
2018年は8月第4周末に開催
ペブルビーチ・コンクール・デレガンスは、例年モントレー・カーウイークの最後を飾るイベントとして、8月第3週末に開催されるのが伝統だが、2018年はペブルビーチ・ゴルフリンクスで、USアマチュア・チャンピオンシップが開催予定であるため、さらに1週間遅く、8月第4週末とイレギュラーなスケジュールでの開催となる。それに併せて、モントレー・カーウイークのイベントも、すべて例年の一週間遅れにスケジュールは変わる。
全39枚 「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」詳細レポ
フェラーリ・メジャーレース・ウイナークラス優勝/1957年フェラーリ315S
フェラーリ・コンペティション・クラス優勝/1958年フェラーリ335S
フェラーリ・ワンオフ・スペチアーレ・クラス優勝/1957年フェラーリ410スーパーアメリカ・ピニンファリーナ・クーペ
1952年フェラーリ212インテル・ギア・カブリオレ
1958年フェラーリ250テスタロッサ
1965年フェラーリ365P2
1963年フェラーリ250GTO
1967年フェラーリ412P
1956年フェラーリ250GTボアノ・カブリオレ
1954年フェラーリ375MMピニンファリーナ・バーグマン・クーペ
1956年フェラーリ250GTザガート・スペチアーレ
1956年フェラーリ410スーパーアメリカ・ボアノ・カブリオレ
1960年フェラーリ250GT SWB
1967年フェラーリ275GTB/4
1967年ディーノ206コンペティツィオーネ・ピニンファリーナ
会場のペブルビーチ・ゴルフリンクスの18番ホールは、早朝からギャラリーが続々と集まってくる。
コンクール・デレガンスは戦前の各タイプに加え、戦後や特集のメイクスなど、26ものクラスに分けられる。
アルファ・ロメオの特別なモデルや、フィアット8V、タルボ・ラーゴなど50年代を代表するGTが並ぶ。
60sアメリカン・ドリームカー・クラス/1965年ポンティアック・ヴィヴァント・ハーブ・アダムス・ロードスター
60sアメリカン・ドリームカー・クラス/1967年ジャイロ-X アレックス・トレミュリス・プロトタイプ
60sアメリカン・ドリームカー・クラス/1963年マンタレイ
60sアメリカン・ドリームカー・クラス/1964年リアクター・ジェネ・ウインフィールド・カスタム・クーペ
60sアメリカン・ドリームカー・クラス/1960年ディディア150ボビー・ダリーン・クーペ
60sアメリカン・ドリームカー・クラス/1965年ブガッティ・タイプ101Cヴィリ・エクスナー・ギア・ロードスター
ベスト・オブ・ショー、グランツーリズモ・トロフィ、戦前メルセデス・ベンツ・クラス優勝/1929年メルセデス・ベンツSバーカー・ツアラー
ユーロピアン・ミッド・クラス/1937ブガッティ・タイプ57Sガングロフ・クーペ
ユーロピアン・クラシック・レイト・クラス優勝/1939年ブガッティ・タイプ57フォル&ルーアベック・カブリオレ
ヨーロピアン・クラシック・スポーツ・クラス優勝/1930年ベントレー4 1/2L SCヴァンデン・プラ・ルマン・スポーツ
イソッタ・フラスキーニ・クラス優勝/1927年イソッタ・フラスキーニ・ティーポ8Aフリートウッド・ロードスター
イソッタ・フラスキーニ・カスターニャ・コーチワーク・オープンクラス/1930年イソッタ・フラスキーニ・ティーポ8A SSカスターニャ・カブリオレ
イソッタ・フラスキーニ・カスターニャ・クローズド・クラス優勝/1929年イソッタ・フラスキーニ・ティーポ8Aカスターニャ・リムジン
戦前プレザヴェイション・クラス優勝/1931年ベントレー8Lヴァンデン・プラ・ツアラー
戦後プレザヴェイション・クラス優勝/1963メルセデス・ベンツ300SLロードスター
戦後レーシング・クラス優勝/1952年シアタ208CSコルサ・ベルトーネ・スパイダー
アメリカン・ドリームカー60Sクラス優勝/1965年ポンティアック・ヴィヴァント・ハーブ・アダムス・ロードスター
戦後クローズド・クラス優勝/1955年アルファ・ロメオ1900CSSボアノ・クーペ
パッカード・クラス優勝/1932年パッカード906 ツインシックス Dietrich コンバーチブル・ヴィクトリア
戦前ロールス・ロイス・クラス優勝/1936年ロールス・ロイス・ファントムIII H.J.ミュリナー・スポーツ・リムジン
オープン・ホイールレーサー・クラス優勝/1907年ルノーAI 35/45HP ヴァンダービルト・レーサー
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