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ジャガーXE SVプロジェクト8 助手席試乗 300台限定の実力、ウエットで検証

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ジャガーXE SVプロジェクト8 助手席試乗 300台限定の実力、ウエットで検証

もくじ

ー 舞台はグッドウッド 将来のクラシックモデル候補
ー ウェットで垣間見れるのは実力の一端
ー プロジェクト8とは? 実はお買い得モデル?
ー 少数精鋭による開発 ドライバーの実力を引き上げる
ー 番外編:別次元の敏捷性を求めて

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舞台はグッドウッド 将来のクラシックモデル候補

グッドウッド・モーター・サーキットの路面からは湯気が上がっていたが、まだリバイバルの開催までには数カ月あり、全体の雰囲気はいつもどおりだ。

むしろ、デイビッド・プークには、路面の一部にひろがる水たまりから蒸発していく雨と、完全に乾いた部分、そしてその間の予測不可能な路面状況の方が心配だった。

プークはこの恐ろしい程の高速サーキットで、縦横無尽にプロジェクト8を走らせている。このクルマのふだん使いを躊躇させる、率直にいってどう猛すぎるエグゾーストノート(ホモロゲーション・モデルの音量規制値までわずか1dBだ)と、ある意味プーク自身が望んだともいえる、E46世代のBMW M3 CSLに備わっていたような、公道走行可能なレースモデルとしての魅力を、いまここで解き放っている。

18カ月にわたって、プークがそのダイナミック性能を磨き上げてきたジャガーXE SV プロジェクト8のプロトタイプモデルのハンドルを握るのは彼自身だ。

収益性を考えて、もう少し販売数を増やすことも検討されたが、スペシャル・ビークル・エンジニアリングから送り出されるこのクルマの数はわずか300台に留まる。

SVO(スペシャル・ビークル・オペレーションズ)責任者のジョン・エドワーズは、プロジェクト8を、F-タイプをベースにした開放的なスピードスターのプロジェクト7とともに、「ヒットモデルになる可能性をもった馬鹿げたアイデア」と呼ぶが、間違いなくプロジェクト8の方がより大胆な挑戦だろう。

いま、プロジェクト8は、このブランドにとってのパフォーマンスを象徴する存在として、将来的なクラシックモデルになるだろうとまで言われている。そして、ニュルブルクリンク最速の公道走行可能な4ドア・サルーンモデルでもある

ウェットで垣間見れるのは実力の一端

どの名レーサーについて語るかによってこのコーナーのエイペックスの数は変わってくるが、ピットを出て、最初に飛び込むのは、マッジウィックの高速右コーナーであり、もしこの609psのサルーンモデルに牙をむかれて、タイヤウォールに突っ込みでもしたら、申し訳ないが、プークにその責任をとってもらうしかないだろう。

よりソフトなダンパーセッティングで乗り心地を重視したドライビングモードから切り替えると、トルク配分がリア優先となり、トラックモードでは、その傾向がさらに強まるとともに、ダンパーセッティングも強化される。

最近のモデルでは、コーナーは待機時間のようなものだが、直線でのプロジェクト8は、そのどう猛さを垣間見せてくれている。

助手席からは、特にジャガーが唯一設定しているミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2のようなタイヤを履いて、ひどいウェット路面を走っている限り、このクルマがもつ実力の一端しか感じとることができない。

フルアタックではない状態での4周では、プロジェクト8の引き締まった走りは感じられたが、殺気立つほどのものはなく、ストレートの速さは、より手に入れやすいマクラーレン720Sといった感じだった。

だからこそ、この刺激的なプロジェクトが最終盤を迎えようとしているタイミングで、開発チームに会い、彼らが最後にどのような変更を行ったのかを知ることは、その長い歴史から生み出した究極の1台を、ジャガーが初公開した昨年のグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードと、今年5月のスペインでの初試乗とをつなぐ足掛かりになるだろう。

スペインでは、ジャガーがこの驚異的なモデルを、レーシングドライバーのごとき反射神経がなくても、その真の実力を発揮することができるように仕上げることができたかどうかを試すことになる。

「常にこのクルマはドライバーに寄り添っているように感じます」とピットレーンに戻ったプークは話す。さらに、プロジェクト8のセッティングは、サーキットでも恐怖を感じることがないようなものになるともいう。

プロジェクト8とは? 実はお買い得モデル?

では、プロジェクト8とは、その非常に騒々しいエグゾーストや、高価な価格、そして、コベントリーのオックスフォード・ロードに拠点を置くSVOチームが情熱を注いだという以上に、実際どんなモデルなのだろうか?

まず、XEをベースとしたことで、エアロダイナミクスやボディ剛性、さらに重量配分に関して、SVOはあまり悩む必要がなかった。そして、ジャガー・ランドローバー製5.0ℓスーパーチャージャー付きV8エンジンが、F-タイプSVR由来の四輪駆動システムと組み合わされている。

XE Sに比べ、フロントとリアでそれぞれ24mmと73mm拡げられたトレッドを収めるために、そのシルエットは筋肉増強剤を注射されたようだ。スタンダードモデルと同じなのは、ドアとルーフだけに留まる。

エアロダイナミクスが徹底的に意識され、後ろが断ち切られた巨大なホイールアーチや、カーボンファイバー製の大型ディフレクター、ボンネットに穿たれたエアベントは、フロントに発生する最大リフトを完ぺきに制御するために苦心して取り付けられたものだ。

カーボンファイバー製フロントスプリッターやリアウイングは、車高と併せ、サーキット向けにマニュアルで調整することが可能であり、ブレーキには巨大なカーボンセラミック・ディスクが採用されている。

さらに、ジャガーは、このクルマを、驚異的な硬さと耐久性をもつセラミック製ホイールベアリングを採用した初の量産モデルだとしている。つまり、主要なエンジニアリングの3/4以上がXE Sから変更を受けている一方で、街中でも困らない最小回転半径を維持しており、トランクスペースもスタンダードモデルからわずか5ℓ少ないだけだ。

一方、その14万9995ポンド(2278万円)にのぼる価格は、ファミリー向け4ドアサルーンとしては法外かもしれない。しかし、このクルマを、ポルシェが誇るGT部門が得意とする一切の妥協を許さないエンジニアリングを受けた、特別なサルーンモデルだと考えれば、お買い得に感じるだろう。つまり、その目指すところと、技術的な面で、ジャガーは少なくともポルシェ911 GT3をベンチマークとしているのだ。

当初はBMW M4 GTSがライバルモデルとされたが、そのパフォーマンスとドライビング性能に関して、プークと彼のチームは、開発段階でとうに追い越してしまったと感じており、この限られたモデルだけが存在を許された世界では、それはまさに挑戦状に他ならない。

少数精鋭による開発 ドライバーの実力を引き上げる

フェスティバル・オブ・スピード以来、およそ想像できる範囲のすべてにわたって多くの改良が驚くほどのペースで行われたが、この素早い対応は、12名ほどのコアメンバーによる機動性に優れたチームでなければ不可能だっただろう。

ジャガーの主力モデルとはまったく異なる世界であり、当初社内でプロジェクト8に設定されていた、すべてのパフォーマンス目標を上回ったことで、ホイールナットが締めこまれているピットレーンで、エドワーズが「素晴らしい」と表現するほどの出来栄えとなった。

つまり、チームにとって、数値そのものは最優先事項ではなく、彼らにとっては、このクルマが示した新たな方向性(次項参照)こそが最も誇るべき成果であり、プークの言葉を借りれば、それはドライバーの能力を一流レーサーのレベルにまで引き上げるべきものだ。すぐにスペインで体験することになるが、ここグッドウッドで感じたものは、その実力になんの疑念も抱かせるものではなかった。

既に300台のうち1/3はオーナーが決まっており、SVOが毎週20台のペースで行う顧客向け車両生産は6月に始まる。これは驚くべきスペードで、集中して実行されたエンジニアリングの成果であり、プロジェクト9にも期待せずにはいられない。

エドワーズは現時点でなにも語ろうとはしないが、オックスフォード・ロードは決して無駄な夢のファクトリーなどではないことを、必ず思い出させてくれるだろう。

番外編:別次元の敏捷性を求めて

2015年の登場以来、その素晴らしい重量配分とボディコントロールの正確性はXEの優れた資質であり続けているが、プロジェクト8では、そのレスポンスと敏捷性が、別次元へと引き上げられることになる。

同じラックとレシオを共有しつつ、プロジェクト8では、サスペンションに変更が加えられている。フロントには新たに専用開発されたアップライトに取りつくツインコイルスプリング、ダンパー、ロワーサスペンションブッシュとアンチロールバーが採用され、そのほとんどがモータースポーツ・スペックだ。

さらに、ジョイントはゴム製からボールジョイントへと変更され、このクルマがもつ2°のネガティブキャンバーは、実にXE Sの4倍もの数値であり、F-タイプ SVRと比べても2倍に達している。サブフレームはリジッドマウントとなる。

エンジンマウントも、フロントアクスルの動きに合わせて、5.0ℓV8エンジンが即座に反応できるように、非常に手間はかかったものの、最後の最後に強化されている。

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