現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ自動車評論家の愛車にはドイツ車が多いのか?その「職業上」の特徴が関係している可能性を考える

ここから本文です

なぜ自動車評論家の愛車にはドイツ車が多いのか?その「職業上」の特徴が関係している可能性を考える

掲載 更新
なぜ自動車評論家の愛車にはドイツ車が多いのか?その「職業上」の特徴が関係している可能性を考える

ボクはふと思った。
なぜ自動車評論を生業とする人々の愛車にはドイツ車が多いのか?と。

多くの自動車評論家が自身のブログを開設しているが、それらを見る限りでは、彼ら/彼女らの愛車に占める「ドイツ車比率」が非常に高い印象だ。

モータージャーナリストと一般人には「圧倒的な知識や経験値の差」があるのだろうか?

あくまでも主観だが、その次に多いのが日本車、次いでイタリア車やフランス車、そして「殆ど見られない」のがアメ車である。

やはり自動車評論家は職業病に羅患してしまうのか

そこで彼ら/彼女たちがドイツ車に乗る理由を見てみると、やはり機能性を高く評価しているケースが圧倒的に多いようだ。

もちろん「自動車評論家」という職業柄、クルマの機能には詳しく、様々なクルマを運転し体感する機会も多いハズだ。

そしてもちろん自動車の評論を行う際には、見る人にわかりやすく機能やメリットを解説していくことになる。

つまり、彼ら/彼女らにとっては、クルマを「機能製品」として見る習慣が身についており、その結果として機能に優れるドイツ車が選ばれているのだろう。
言い方は適切でないかもしれないが、これは”クルマを機能で判断するようになる”という一種の「職業病」なのかもしれない。

ドイツ車だけが優れているわけではない

だが、ぼくはここでもうひとつ考えることがある。

それは、ドイツ、日本、イタリア、フランス、アメリカなど、各国によってクルマに対する考え方が異なる、ということだ。

おおまかな印象ではあるが、ドイツと日本はよく似ているところがある、と感じている。
そしてドイツと日本に共通するのは「機能重視」である。

つまり、機能ありきでクルマを作っているという印象だが、そのためにドイツ、日本の自動車メーカーのサイトを見ても、機能に関する説明が非常に多い(最近だと安全性に関する機能が中心だ)。

それに対し、イタリアやフランス、アメリカの自動車メーカーは「機能」よりも「そのクルマで何をするか」という、クルマの使用目的や対象ユーザーの設定から入る傾向が強いようだ。
よって、それらの国の自動車メーカーのサイトは、「そのクルマで何をするか=ライフスタイル」という、具体的なイメージを想起させるような画像・構成を用いることが多いように思う。

言い換えれば、ドイツや日本の自動車メーカーは「モノ」を重視し、イタリアやフランス、アメリカの自動車メーカーは「コト」を重視する、ということだ。

イタリアやフランス、アメリカの自動車メーカーは損をしている?

しかし、とボクは思う。

今や自動車の性能は、一部の突出した目的を持つクルマを除くと、どのメーカーが作ったとしてもそれほど差はない。
国をまたいだ業務提携も多く行われているし、多くのメーカーはトランスミッションはじめドライブトレイン、制御するコンピューター、電装系について、「自社内製」ではなく、第三者であるサプライヤーから供給を受けている。

そういったサプライヤーは当然世界中の自動車メーカーに対して自社製品を供給することになり、つまり「異なる自動車メーカーの間であっても、同じパーツ/コンポーネントを」使用するという状況がここに発生することになるわけだ。

乱暴に言ってしまえば、日本車でも、ドイツ車でも、イタリア車でも、フランス車でも、アメリカ車でも、その中身は大きく変わらないということだが(厳密には、車体設計・製造技術、サプライヤーへの指示管理など、多くの差はある)、上で述べたとおり、「ドイツと日本」は”モノ”優先、「イタリア、フランス、アメリカ」は”コト”優先である。

よって、ウエブサイト上での説明同様に、各メーカーが新車発表時に行う、自動車評論家に対する説明(プレゼンテーション)についても、ドイツ車や日本車の場合は、「機能中心」、イタリア、フランス、アメリカ車では「できることや、イメージ優先」なのかもしれない、とボクは考えている。

もしその通りだとすると、機能についてしっかりと説明を受けたドイツ車、日本車に対しては「機能的に優れる」という印象を抱くかもれないし、それらドイツ車や日本車と同じコンポーネントを使用し、同じ機能を持つはずのイタリア車、フランス車、アメリカ車のプレゼンテーションにおいて、機能に関する説明が少なければ、「機能的な特徴が無いんだな」と感じるかもしれない。

実際、ボクが様々なクルマに乗った限りでは、イタリア車、フランス車、アメリカ車も、ドイツ車や日本車には劣っていない、という印象を持っている。

だが、機能優先で合理的な考え方をする傾向が強い「日本の」、そして「正確な情報伝達を行うことを職業とする」自動車評論家たちに、イタリア、フランス、アメリカの自動車メーカーは、「十分に機能的な説明を行えていないばかりに」その本来の機能や魅力を伝えきれていないんじゃないか、ともボクは考えている。

その情報がなければ、その機能が(実際に存在していても)備わっていないのと同義であり、よって自動車評論家たちは、情報提供が充実しているドイツ車そして日本車を選んでしまうのではないか、ということだ。

[ライター・撮影/JUN MASUDA]

関連タグ

こんな記事も読まれています

9年目の大アプデで一層楽しい! マツダ・ロードスターへ英国試乗 新LSDとトラック・モード獲得
9年目の大アプデで一層楽しい! マツダ・ロードスターへ英国試乗 新LSDとトラック・モード獲得
AUTOCAR JAPAN
幻の「ケンメリGT-Rレーシング」を「スカイライン」で再現! メインステージは「もちろん富士スピードウェイです」
幻の「ケンメリGT-Rレーシング」を「スカイライン」で再現! メインステージは「もちろん富士スピードウェイです」
Auto Messe Web
バニャイヤ、王者同士の激戦制し今季2勝目! マルケスがドゥカティ陣営移籍後初の表彰台獲得|MotoGPスペインGP決勝
バニャイヤ、王者同士の激戦制し今季2勝目! マルケスがドゥカティ陣営移籍後初の表彰台獲得|MotoGPスペインGP決勝
motorsport.com 日本版
はたらくクルマ図鑑「ヤマグチのレッカー車たち」2
はたらくクルマ図鑑「ヤマグチのレッカー車たち」2
グーネット
【動画】マツダが開くレーシングドライバーへの道! 「MAZDA SPIRIT RACING」筑波サーキットのドライバー選考会に潜入した
【動画】マツダが開くレーシングドライバーへの道! 「MAZDA SPIRIT RACING」筑波サーキットのドライバー選考会に潜入した
WEB CARTOP
平川亮が驚いたF1マシンの速さとブレーキ。マクラーレンでのテストにはWECやSFの経験が活きる部分も
平川亮が驚いたF1マシンの速さとブレーキ。マクラーレンでのテストにはWECやSFの経験が活きる部分も
AUTOSPORT web
2024年版 「速い+快適」な高級スーパースポーツカー 10選 日常使いもできる高性能モデル
2024年版 「速い+快適」な高級スーパースポーツカー 10選 日常使いもできる高性能モデル
AUTOCAR JAPAN
美しすぎるホイール「アンテラ」が復活!「ミラノデザインウィーク2024」でロベルト・バッジョ氏がブランド・アンバサダーに就任
美しすぎるホイール「アンテラ」が復活!「ミラノデザインウィーク2024」でロベルト・バッジョ氏がブランド・アンバサダーに就任
Auto Messe Web
フェラーリに8年先行したロードカー ドライエ・タイプ145 シャプロン・ボディのスーパークーペ(1)
フェラーリに8年先行したロードカー ドライエ・タイプ145 シャプロン・ボディのスーパークーペ(1)
AUTOCAR JAPAN
もとはV12エンジンのGPマシン! ドライエ・タイプ145 シャプロン・ボディのスーパークーペ(2)
もとはV12エンジンのGPマシン! ドライエ・タイプ145 シャプロン・ボディのスーパークーペ(2)
AUTOCAR JAPAN
全長4m級! 新型「200馬力超えハッチバック」公開!  誕生から“25周年”の「スポーツハッチ」! 迫力フェイスもカッコイイ「ポロGTI」発売
全長4m級! 新型「200馬力超えハッチバック」公開! 誕生から“25周年”の「スポーツハッチ」! 迫力フェイスもカッコイイ「ポロGTI」発売
くるまのニュース
大型トラックに休憩義務はあれどSA・PAは慢性的な駐車枠不足! 対策で出てきた「駐車有料案」はハッキリいって愚策そのもの!!
大型トラックに休憩義務はあれどSA・PAは慢性的な駐車枠不足! 対策で出てきた「駐車有料案」はハッキリいって愚策そのもの!!
WEB CARTOP
洗練&堅牢、モデリスタがトヨタ ランドクルーザー250 をカスタム
洗練&堅牢、モデリスタがトヨタ ランドクルーザー250 をカスタム
レスポンス
はたらくクルマ図鑑「ヤマグチのレッカー車たち」1
はたらくクルマ図鑑「ヤマグチのレッカー車たち」1
グーネット
Moto2スペイン決勝|フェルミン・アルデゲル、母国戦勝利! 小椋藍は追い上げ11ポジションアップの6位
Moto2スペイン決勝|フェルミン・アルデゲル、母国戦勝利! 小椋藍は追い上げ11ポジションアップの6位
motorsport.com 日本版
「小仏トンネルを先頭に渋滞」なぜなのか? 混みやすい原因が満載!? ほとんどトラップの数々
「小仏トンネルを先頭に渋滞」なぜなのか? 混みやすい原因が満載!? ほとんどトラップの数々
乗りものニュース
4人乗れる「軽トラ」!? 今も“新車”で買える斬新「商用車」が存在! 仕事から趣味、ファミリー用でも使える「超個性派モデル」に注目あり!
4人乗れる「軽トラ」!? 今も“新車”で買える斬新「商用車」が存在! 仕事から趣味、ファミリー用でも使える「超個性派モデル」に注目あり!
くるまのニュース
スーパーGT参戦で初来日。ニクラス・クルッテンが感じた、地元ドイツとは違う日本レース界の魅力「ここではモータースポーツが高く評価されている」
スーパーGT参戦で初来日。ニクラス・クルッテンが感じた、地元ドイツとは違う日本レース界の魅力「ここではモータースポーツが高く評価されている」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村