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日産・アリア体感試乗レポート

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日産・アリア体感試乗レポート

新車試乗レポート [2022.05.03 UP]


日産・アリア体感試乗レポート
2019年の東京モーターショーで斬新なコンセプトモデルが大いに注目を浴びた日産アリア。その市販モデルとなる限定仕様のB6リミテッドが今年1月に発売され、3月にはその第1号車がユーザーの元に納車された。日産のプレミアムSUVとしての旗手も担う注目の純電動車、その実力のほどはいかなるものか? 5月に発売となる通常モデルB6にいちはやく試乗、その魅力をお届けする。

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●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之


先進感と寛ぎをMIXした新世代EV、ついに公道へ!
◆試乗グレード:アリア B6(FWD)
●車両本体価格:539万円
●ボディカラー:カーマインレッド/ミッドナイトブラック2トーン(有料色17万6000円高)

■主要諸元(B6・FWD)
●全長×全幅×全高(mm):4595×1850×1665(プロパイロット2.0装備車) ●ホイールベース(mm):2775 ●車両重量(kg):1920●パワートレーン:フロントモーター前(160kW/300Nm) ●トランスミッション:一段固定式 ●WLTCモード:交流電力量消費率166Wh/km、一充電走行距離470km ●駆動用バッテリー:(総電圧352V、総電力量66kWh) ●サスペンション前/後:独立懸架ストラット/独立懸架マルチリンク ●ブレーキ:前/ベンチレーテッドディスク、後/ベンチレーテッドディスク ●タイヤサイズ:235/55R19

■主要装備(B6・FWD)
LEDヘッドライト&フォグ、プロパイロットパーキング、本革巻きステアリング、電動チルト&テレスコピックステアリング、e-Pedal Step、木目調フィニッシャーインストパネル&センターコンソール、USB電源ソケット(前席後席各Aタイプ1個、Cタイプ1個)、トノカバー、運転席&助手席パワーシート、6:4分割可倒式後席、リモコンオートバックドア、車線逸脱防止支援システム、後側方衝突防止支援システム、BSW、RCTA、タイヤ空気圧警報システムほか


プレミアムクラスの落ち着きと俊敏な走りを見事に両立!
ニッサンの知見が活きた
プレミアム純電動車だ!
 「遂に!」と言っては大袈裟かも知れないが、概要が発表されてからけっこうな時間を経ての試乗である。しかも、ニッサンEV戦略の旗艦車種なのだ。試乗前から盛り上がるのも仕方ない。
 その印象だが、誤解を恐れずに纏めるなら「大きなノートe-POWER」である。もちろん、バッテリー電源の純電動車でありパワートレーンも別物なのだが、現行ノートの開発で得た電動技術と走りのノウハウを磨き上げて投入した、そんな印象を覚える。ニッサン電動技術の賜なのは間違いない。同時にそれは今後増加するであろうライバルBEVに対するニッサンの個性かつ長所でもあるのだ。
 車重は2t近いが、発進から加速に重々しさはない。低速からの一気加速はBEVの得意とする領域であり、そのとおりの瞬発力を示したが、エンジン車にありがちな初期加速時の加速度の揺らめきはほとんど感じられない。現行ノートの進化点の一つでもあるが瞬発力と安定した滑らかさはニッサン電動技術の要点。力学的にはハンデの大きい重量級のSUVのアリアでも存分に活かされていた。ちなみに100km/hまでの全開加速では加速の鈍化は少なく、プレミアムクラスに相応しい高速域での加速性能を示した。
 ノート以上に加速度の繋がりが滑らかなのも上級プレミアムの要点。鈍したとも言えるが、重質な味わいと抑制の利いた昂揚感が洗練感を高めていた。
 走行モードの設定もよく考えられている。基本モードはエコ/ノーマル/スポーツの3モード。加速特性とエンブレ回生の利きが異なる。エンブレ回生はエコでは空走、ノーマルではガソリン車Dレンジ相応、スポーツでは1~2段シフトダウンくらいの減速感。いずれも状況に応じて加減速コントロールがしやすい。
 この3モードを基本にエンブレ回生を強化するのがeペダル。スポーツモード標準よりもさらに強い減速。一般的な走行パターンなら停車以外はペダルブレーキ操作無しで済ませられるのも納得。少々誇張しすぎとも思われ、軽負荷域でのコントロールに違和感を覚えたが、要はドライバーの好みと状況に応じて選び分ければいい。選択できるのが大きな長所だ。
 フットワークでは細かな凹凸の往なしが今ひとつで、荒れた路面や小さな段差で忙しいピッチングや突き上げがやや気になったが、サスチューンはしなやかなストローク制御を基本としている。中高速域のうねり路面やコーナリング時の挙動は揺れ返しも少なく綺麗に収束。総合的な防音対策による静粛性もあり、いい意味での重量とサイズ、あるいは厚みを感じる快適性である。
 操縦特性も穏やかな回頭感覚と素直なライントレース性を示し、タイトなワインディングから高速まで御しやすく特性が安定しているのが特徴。これ見よがしの操る手応えより、距離を感じさせない安心感といった感じである。
 走りの本命は動的にも質的にもe-4ORCEと命名された新開発の4輪制御技術を採用した4WDモデルなのだろうが、走行ハードではベーシック仕様となるB6のFF車でこのポテンシャルである。期待値はさらに高まるのだ。


NISSAN ARIYA(アリア)

●発表(最新改良)日:'21年6月4日('21年11月12日) ●価格帯:539万~790万200円 ●販売店:ニッサン全店 ●問い合わせ先:0120-315232 (日産自動車お客様相談室)

●新型アリア バリエーション&価格

●B6リミテッドは予約受付終了。 ●B6は注文受付中。(2022年5月12日発売) ●B9リミテッド、B6 e-4ORCE、B9 e-4ORCEはWEB予約受付中。(2022年夏以降発売)

日本の伝統美から着想を得たというデザインはシンプルで力強く、モダン。落ち着きを感じさせる品の良い佇まいだ。

パワートレーンを小型化することで空調ユニットをモータールームに配置することに成功。大きな室内空間を実現している。またフロントのメンバースパンを縮小することで前輪の転舵スペースも拡大。最小回転半径はエクストレイルよりも小さい5.4mとなっている。

薄型LEDヘッドランプの下にはシーケンシャルタイプのウインカーを配置。日産のアイデンティティ、Vモーションを印象付ける。

235/55R19の大径タイヤを履く。折り紙のような複雑な面を組み合わせたホイールデザインが斬新かつスタイリッシュ。

助手席側のフロントフェンダーには急速充電口(CHAdeMO仕様:最大130kWまで対応)、運転席側には普通充電口を備える。

セットオプションでプロパイロット2.0やパノラミックガラスルーフを装着可能。この場合、ダブルタイプのシャークフィンアンテナとなる。

モダンリビングのようなインテリアデザイン。ルーミーでゆったりと寛げる空間だ。センタートンネルがないため、運転席と助手席の足元も広々。標準のインテリアカラーはブラックとグレー(写真)の2種。

標準はスエードと合皮のコンビシート表皮となるが、オプションで上質なナッパレザーシートも選択可能となっている。

2枚配置されるモニターはそれぞれ12.3インチ。センターディスプレイからメーターへのスワイプ操作で情報の表示を移動可能。

静電容量スイッチを採用した空調関連。フラットなパネル面でとてもスマートだ。振動フィードバックで操作感にも優れる。

節度感のあるシフトレバーで操作性も良好。ドライブモードの切り替えはパネルに埋め込まれたスイッチを押して行う。

前後に150mm移動可能な電動センターコンソール。内部にはスマートフォン用のワイヤレス充電器も備えている。

セットオプションとなる広い開口部が魅力のパノラミックガラスルーフ。電動チルト&スライド機能やリモート機能も備える。

プロパイロットリモートパーキングを使えば、専用キーを操作するだけで車外から車両を前後移動可能。狭い駐車場などで有効だ。

後席は6:4分割可倒タイプ。格納すれば、フルフラットになる広大なラゲッジが現れる。床下格納スペースもたっぷりとしている。

AWDの「e-4ORCE」に期待が高まる!
 力をしなやかに使う、そんな表現がアリアのドライブフィールには似合い。それは車格やレベルは異なるが現行ノートにも当てはまる。ならばノートの2WDと4WDの違いを鑑みればアリアe-4ORCEの走りも自ずと見えてくる。加減速時でも車体挙動はさらに安定し、腰の据わった乗り心地。操安と運動性能の高次元での両立。電子制御ブレーキの回生効率の向上……などの性能の上乗せが大いに期待できる。


群雄割拠のSUVタイプBEV、アリアの強みは…!?
 ノートの存在がアリアの評価では大きく影響すると思われる。BEVは様々なドライブフィールを作り込めるのが特徴のひとつ。メーカーや車種毎の味付けが評価要点となる可能性が高い。当面のライバルはbZ4Xになりそうだが、プロト試乗では癖がなく手堅い味付け。アリアは電動感の強い特性だが、ノートの市場評価をベースに車格感等と個性をバランスよく訴求できているのが長所といえる。

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