現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 生産終了でホンダ「S660」の人気沸騰!? 最後の軽ミッドシップスポーツカーの魅力とは

ここから本文です

生産終了でホンダ「S660」の人気沸騰!? 最後の軽ミッドシップスポーツカーの魅力とは

掲載 更新 28
生産終了でホンダ「S660」の人気沸騰!? 最後の軽ミッドシップスポーツカーの魅力とは

■激レア! 軽ミッドシップオープンスポーツカー「S660」

 軽自動車でありながら、2シーター・ミッドシップレイアウト・タルガトップを採用したリアルスポーツカーとして2015年に誕生したホンダ「S660」。

「スープラ」が4300万円越え! 高騰する国産スポーツカーを象徴する1台

 2022年3月をもって生産終了することになりましたが、このニュースが発表されるとわずか3週間足らずで残りの生産分が完売するなど、一気に人気が沸騰したのです。

 S660の魅力はどのようなところにあったのでしょうか。

 S660はクルマ好きによるクルマ好きのための1台として、2015年3月に誕生。非常にレアなモデルで、2シーターでターボエンジンをミッドシップに配置し、タルガトップを採用したリアルスポーツカーを軽自動車で実現しました。

 魅力として挙げられるひとつめのポイントは、軽自動車という点です。税金をはじめとした維持費が安く、それでいてリアルスポーツカーに乗れるというのが人気の理由のひとつになっていました。

 さらにふたつめのポイントは、ホンダらしいチャレンジングな1台だったことです。

 現在は、「Nシリーズ」や「フィット」「フリード」といった実用的なモデルがホンダの主力になっていますが、1980年代から1990年代前半のいわゆる「第2期ホンダF1参戦」時代を知る人にとっては、「ホンダ=スポーツ(エンジン)メーカー」という認識があります。

 そのスポーティなイメージを体現したスーパースポーツカーの「NSX」は2000万円超と手が出しづらいですが、同じレイアウトのS660は総額250万円ほどで購入することができることも、根強いファンに愛された理由といえそうです。

 3つめのポイントは、エンジンを前後タイヤの間、正確には座席後方に配置したミッドシップレイアウトによる走行性能の高さです。

 最高出力は軽自動車の自主規制である64馬力しかありませんが、エンジンを後方に積むことでノーズが軽くなり、高い旋回性能を実現。

 また、CVTだけでなく、軽自動車初(デビュー当時)となる6速MTを搭載しており、クルマ好きなら1度はステアリングを握りたくなる走行性能を誇ります。

 4つめのポイントは、同様のコンセプトで一世を風靡した「ビート」(1991-1996)の魂を受け継いでルーフが脱着可能なタルガトップを採用したことでしょう。

 ルーフを外して気軽にオープンエアを楽しむことができるところもS660の特徴です。

 それでいて、安全装備としてエアバッグやABS、トラクションコントロール、VSA(横滑り抑制装置)を搭載。現代のクルマに求められる要件を満たしていました。

 ちなみにボディサイズ、全長3395mm×全幅1475mm×全高1180mmと、全長・全幅はほかの軽自動車と変わりませんが、全高は非常に低く設定。N-BOXの全高1790mm(FF)と比べると600mmも低く、ゴーカートのような低い目線での走行が楽しめます。

 またタイヤサイズは、フロントが165/55R15、リア195/45R16と前後異径になっているなど、通常の軽とは大きく違うところです。

 昨今はクルマに関するさまざまな規制が強化されており、今後は軽自動車のミッドシップスポーツカーが登場することは難しくなるでしょう。もしかしたらS660は最後の軽のミッドシップスポーツになるのかもしれません。

■中古価格が500万円!? プレミアムが付いたS660

 新車としてS660が購入できなくなった現在、中古車価格が高騰しています。

 もともと生産台数が月産800台という少数生産ということもあり、中古車価格は高値安定傾向ではありましたが、「新車で買えない」ことが引き金となって一気にプレミアが付いたようです。

 S600のグレード体系は、スポーツファブリックシートのベーシックな「β(ベータ)」と、本革巻ステアリングやクルーズコントロールなど装備が充実した「α(アルファ)」を基本とし、これにグリル一体型専用フロントバンパーやリアアクティブスポイラー、専用サスペンションなどでさらにグレードアップした「モデューロX」があります。

 現在の相場では、2015年式の「β」や「α」で走行距離が10万キロを超えたような車両でも160万円前後。

 また街乗りには快適なCVTより6速MTのほうが市場価値も高く、5万km以下の低走行距離車は180万円から200万円となっています。

 ちなみに、最後の特別仕様車「モデューロX バージョンZ」ともなれば、500万円という値が付けられている車両もあるなど、軽自動車としては異常なプレミアがついている状態です。

 いまではプレミアムモデルとなったS660ですが、手に入れたら長く乗り続けたいと思う人も多いでしょう。

 S660のメンテナンスや補修などを手掛けてきたH整備士に、維持していくうえでのポイントを聞いてみました。

「基本設計も新しいクルマだけに、現段階では神経質になる必要はないと思います。ただし個体差もありますが、タルガトップの幌パーツとの接続部分にはサビ対策をしておいたほうがいいでしょう」

 通常のオープンモデルでもありがちなメンテナンスポイントといえますが、S660の場合、ボディの奥に気をつけたい重大なポイントがあるのだそうです。

「実は、パネルの内側に組み付けられた別のパネルとの接続部分にサビが発生しやすいんです。しかも整備レベルでは手が届かないので、対処がなかなか難しい箇所があります」

 たとえば、フロントピラーのアウターパネルとサイドシル(アウター)、リアフェンダーなどの接合部分など、金属と金属が接合される部分は塗装で保護することもできず、そういった部分はどうしても酸化しやすいといいます。

「ビートも幌の接続部分やパネル接合部のサビが発生しやすかったですが、現在のクルマは見えない内側部分などの塗装は省く傾向にありますので、S660に限らず内側に湿気や雨が入りやすいオープンモデルは、できれば防錆処理をしたほうが長く状態をキープできると思います」(H整備士)

※ ※ ※

 今後のS660の中古車価格を推測するのは難しいのですが、実際に生産が終了する2022年から数年は高値が続く可能性があります。

 あえてCVTを狙って少しでも安く入手し、しっかりメンテナンスにお金をかけるというのも、S660を長く乗り続ける方法のひとつかと思います。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
いまさら聞けない「水素自動車」って何? メリット/デメリット、課題とは 普及は実現可能か
AUTOCAR JAPAN
10年の休眠を経てシングルナンバーで路上復帰! 激レアいすゞ「ベレットGT」のファストバックに34年…2年がかりでリフレッシュ!!
10年の休眠を経てシングルナンバーで路上復帰! 激レアいすゞ「ベレットGT」のファストバックに34年…2年がかりでリフレッシュ!!
Auto Messe Web
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
メルセデスベンツ、新型EVバス『eIntouro』発表…欧州初の無線更新可能なバスに
レスポンス
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
ホンダ新型「N-BOX」登場! 史上初「映える」凄い“オシャ内装”採用! めちゃ便利な「画期的な機能」も搭載! リラックスできて“テラス気分”な「軽バン」とは?
くるまのニュース
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
ダイハツ、タフトを一部改良 法規対応で安全装備を追加 価格は6%値上げ
日刊自動車新聞
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
「中古車を買いに来たら『支払総額表示』で売ってくれませんでした、詐欺ですよね?」 「別途費用が必要」と言われることも…! 苦情絶えないトラブル、どんな内容?
くるまのニュース
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
どんな違いがあるのか!? 通常モデルとは違う仕様が用意されている中型バイク3選
バイクのニュース
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
日本発の「ペダル踏み間違い防止装置」、世界標準へ…国連が基準化
レスポンス
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
写真で見るニューモデル 光岡「M55ゼロエディション」
日刊自動車新聞
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
旧ビッグモーター、車両の修理不正もビッグに8万件、補償総額数十億円も[新聞ウォッチ]
レスポンス
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
フェルスタッペンとのタイトル争いは“敗北濃厚”も……今季の戦いで自信深めたノリス「優勝争いに必要なものを持っていると言えるようになった」
motorsport.com 日本版
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
フェラーリ『ローマ』後継の新型スーパーカー、車名は『アマルフィ』が最有力!
レスポンス
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
注目が集まる角田裕毅の2025年シート「僕はレッドブルの一員なのでここにいます。ホンダとは話をしていません」
motorsport.com 日本版
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
次の「黄バイ」はBMW? 首都高専用パトロールバイク「F900XR」がカッコ良すぎる!
くるくら
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
まさかの「RAV4“軽トラ”」登場!? ド迫力の“真っ黒顔”がスゴすぎる! オフロード感強調の「SPIEGELカスタム」どんなモデル?
くるまのニュース
これはクセスゴ!!  オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
これはクセスゴ!! オーナー自作多数のホンダ「CT125・ハンターカブ」カスタム発見!!
バイクのニュース
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
[15秒でわかる]アキュラ『ADX』新型…内外装はスポーティかつ高級な印象に
レスポンス
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
アルピーヌは東京オートサロン2025で3台のA110を披露
カー・アンド・ドライバー

みんなのコメント

28件
  • 最近オープンカーに乗りたくて仕方ない欲が高まってます。所有してみたいなぁ…
  • 同じようなハイト軽ばかりでなく、こういう個性的なのが継続販売できるぐらい売れる世の中であればよかったんですけどねぇ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

203.2315.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

102.8630.0万円

中古車を検索
S660の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

203.2315.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

102.8630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村