最近、若い世代の利用が増えているというレンタカー。クルマの使用頻度がさほど多くないなら、カーシェアより得なことも多い。
とくに現在のコロナ禍にあって、車内はコロナ飛び交う外界から隔離された空間。公共交通機関使うより、はるかに安全に移動できるというメリットもあり。
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で、このレンタカー。使うこと自体は全然難しくないのだが、ちょっと知っておくだけで得をしたり、便利なことがけっこうある。そんなレンタカーの賢い使い方を、主に若い層向けに伝授! ナビゲーターは自動車評論家 永田恵一氏だ。
【画像ギャラリー】知ってるだけでずいぶん違う! レンタカーのあれこれ、主要ポイントをギャラリーでクイックチェック!!!
※本稿は2020年5月のものです
文:永田 恵一/写真:Adobestock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年6月26日号
■知らないと損? 割引プランなど安く利用するコツ
●特別な乗り捨てプラン、同料金でいいクルマ…etc
かつてレンタカー屋でバイトした経験のある私が、レンタカーの使い方をレクチャーしたい。まずは知っておくべき、おトクな使い方からだ。
●平日ならけっこう安く利用できる!
ニッポンレンタカーは平日限定の割引料金をいくつか設定している。挙げていくと、
・平日39キャンペーン(東京、神奈川、埼玉限定)/軽自動車からコンパクトカーにかぎって、それぞれ12時間まで3900円、24時間まで5500円(消費税別)。
・平日限定ワゴンキャンペーン(7月17日返却ぶんまで)/3列シートミニバンが最大50%引きとなる。ステップワゴンなどだと24時間まで9000円(消費税別)なので、平日に「大きなものを買いに行く」といった時などにも利用価値はある。
コンパクトカーがオトクに借りられるニッポンレンタカーの「平日39キャンペーン」は7月17日返却ぶんまで(外部サイトに移動します)
●コロナ対策? 通勤サポートプラン
ニッポンレンタカーは16時から翌日10時までの最大18時間利用で、乗用車とミニバンが2970円(消費税込)。
強烈なパンチがあるのがトヨタレンタカーで、15時から翌日10時までの最大19時間利用で基本料金だけなら、車種はお任せで1100円!
レンタカー業界もコロナ禍の影響で「安くてもいいから稼働率を高めたい」ということなのだろう。
●乗り捨て
出発、返却を異なる営業所とし、レンタカーを片道に使う「乗り捨て」はレンタカーの便利な使い方の代表例だ。
出発と返却の営業所の距離などによっては安くない乗り捨て料金がかかることもあるが(近ければ無料の場合も多い)、例えば成田空港から都内の乗り捨て料金は3000円程度なので、それこそコロナ禍対策で「電車やバスは避けたい」と考えるなら、利用クラス次第では総額で見ても納得できるであろう価格に収まる。
最近は「長距離で移動区間が合致すれば超リーズナブルな乗り捨てレンタカー」というのもある。
例えば「名古屋から東京都内にかぎる」など。行先が合致すれば車種は限定されるが、トヨタレンタカーだと消費税込み24時間2200円、48時間4400円!
これは言ってしまえば「お客さんにレンタカーを元の位置に戻してもらえるなら、安くする」というコンセプトなのだが、絶対的に安いので、覚えておいて損はない。
「なるべく安くイイクルマに!」は誰しもが願うところ
●同じ料金クラスでもいいクルマに乗りたい
特にベストカーを読んでくれるようなクルマ好きの方なら、そう考えるのは当然だ。例としてふたつ挙げると、ニッポンレンタカーでは予約の際に1日550円の「新車チョイス」を選択すると、登録から6カ月以内のレンタカーにしてもらえる。
またトヨタレンタカーで「同じ料金クラスならプリウスがいい」などというなら、1日1100円で希望のクルマを指定できる。
●料金最優先でレンタカーを借りるなら?
ガソリンスタンドなどでやっている格安レンタカーは大手より3割程度安い印象で、「現行車以外(要は型落ち)に乗れることもある」というのをクルマ好き視点でプラスに考えるなら大アリだ。大手ではタイムズカーレンタルの料金が安い傾向。
このほかにもレンタカー会社ごとにお得な利用プランを多く設定しているので、Webなどで探してみてほしい。
■主なレンタカー会社
〈メーカー系〉トヨタレンタカー、日産レンタカー
〈独立系〉ニッポンレンタカー、オリックスレンタカー、タイムズカーレンタル
〈安い系〉ニコニコレンタカー
■高いほどイイは間違い 適切なクラス、車種で乗員も財布も幸せに
●ズバリ、N-BOXと1.3L級コンパクト狙い!?
4人乗車までで実用目的にレンタカーを使うなら、下表の料金表クラス、基本料金が24時間1万円までというのが多くの人の目安だろう。
ニッポンレンタカーの料金を例に、この範囲で料金とクルマのベストなバランスを考える。ちなみに料金はオリックスレンタカーでも、ほぼ同じだ。
「とにかく安く」という考えなら軽ハイトワゴンでもいい。
しかし軽自動車を借りるなら腰が抜けるほどの完成度を持ち、3人までなら荷物も充分積めて先行車追従型のアダプティブクルコン含むホンダセンシングが着くN-BOXのNAが僅かな差額で借りられる。
こちらのほうが賢い選択なのではないだろうか。
逆にターボでもないタントカスタムが、見た目だけで24時間で660円高いというのには、あまり魅力を感じない。
コンパクトカーはどうだろう? まずブーンやヴィッツの1Lが該当するリッターカーはN-BOXと同じ料金なら、広くて豪華なN-BOXのほうが満足度は高いと思う。
クラスを超えた乗り味と登場時に絶賛された2代目N-BOX。これに乗ると「クルマはもうコレで充分だ」と思わされる。販売台数上位常連も納得の完成度だ
これがフィット、デミオ、スイフトといった1.3Lのコンパクトカーになると、パワーの余裕などを理由に軽自動車との差額も納得できる。
その上の1.5L級のセダンはそう広いわけでもないのを考えると、乗りたい車種でもないかぎり選ぶ意味は薄い。
といったようなことを総合すると、普通にレンタカーを使うならN-BOXのような軽自動車か1.3Lクラスのコンパクトカーを選ぶのが費用と満足度のバランスが高いという結論になる。これは結局200万円程度の予算で実用車を買う際に、どれがいいかというのと同じような話だ。
またレンタカー会社によっては同じ料金クラスでの車種指定をリクエスト(確約ではない)という形で受け付けてくれることもあり、「フィットがいい」などの希望があれば予約の際にお願いしてみる価値はある。
■レンタカーの主なクラス別料金(ニッポンレンタカー、通常期の基本料金/24時間あたり)
・ワゴンRなど(6820円)
・N-BOX(7150円)
・タントカスタム(8250円)
・ヴィッツなど1Lクラス(7150円)
・スイフトなど、~1.5Lクラス(8250円)
・インプレッサなど1.6Lクラス(9900円)
・フィールダーなど1.6Lクラスのワゴン(1万1000円)
・ブーンシルク(女性限定・7150円)
・クロスビー(女性限定・8250円)
・アウディA1(1万1000円)
・VW ポロ(1万1000円)
■「保険の上乗せ」ってナニ?借りる際、返す際にやりたいアレやコレ
●無駄な出費は抑えたい。が、必要な出費もある
前項で借りるべき車種やクラスがわかったと思うが、お次は実際に借りてみよう。その段階の注意点を解説。
●予約するのが基本!
現在のような超閑散期ならいきなり営業所に行っても「空車がなかった」ということは、まずないだろう。
しかし営業所の規模などによっては「希望の料金クラスのクルマがなかった」ということは多々あり、それが夏休み期間のような繁忙期、ミニバンやトラック&バンといった商用車の類になると「どうにもならない」というケースも珍しくない。
予約しておけば店に行った後の流れもスムーズ。気持ち的にも安心
やはり予約して借りるのを基本に考えたい。早期の予約であれば、飛行機のような早割料金が適用されることもある。
逆に「借りられなかったらクルマでの移動を諦めればいい」という程度なら、余っているレンタカーを安い料金プランで借りられる可能性もゼロではないので、ギャンブル的にフラリと営業所に行ってみる価値はある。
●借り方、返し方
まず会員カードはインターネットでの予約の際か来店時かという違いはあるにせよ、レンタルするものが100万円単位のクルマなだけに、必要になると思ってほしい。
会員カードを作るには数百円程度のお金がかかるが、料金が会員料金になるためそれだけで元は取れ、2回目以降の手続きが簡単になるなどのメリットもある。なお支払いはクレジットカードが基本だ。
トラックを借りる際に注意したいのが自分の免許証だ。40歳以上の人ならマイクロバス以外のレンタカーを運転できないということはほとんどないと思う。しかし最新となる2017年3月12日以降に取得した普通運転免許だと運転できるのは10人乗り以下、最大積載量2トン未満、車両総重量3.5トン未満となる。
免許取得時で変わる、運転できるトラックの車両総重量
そのため最新の普通免許を持つ若年層だと、10人乗りのハイエースグランドキャビンは大丈夫でも、俗に2トントラックと呼ばれるいすゞエルフのようなトラックは運転できないのだ。
運転免許は出発の際に確認されるが、双方が「ついウッカリ」ということもないとは言えないので、一度確認しておきたい。
初の免許取得が2007年より前ならば、免許更新時に「中型車は中型車(8t)に限る」と免許証に印字されたはず
燃料は満タン貸しの満タン返しが基本だ。
給油する時間がない場合などには普通に満タンにするより割高な「1kmあたり〇円」の距離清算となるので、極力満タン給油して返却したい。
返却は燃料を満タンにしてから。さもなくば無駄な出費を強いられるぞ
●保険の上乗せ
レンタカーを借りる際に悩む人がいると思うのが、保険の上乗せである。どういうことかというとレンタカーは利用料金に基本的な保険は含まれている。
しかし事故で保険を使う際には自分のクルマの保険と同様に対物と車両の免責(それぞれ最大5万円という場合がほとんど)が必要になる。
加えてレンタカーはお金を稼ぐクルマなので、事故の際には営業補償として自走できる損傷なら2万円、自走できないほどの損傷だと5万円がかかる。
またレンタカー会社によっては対物保険の上限が3000万円あたりまでに限られることもある。
事故を起こす可能性は誰にでもある。仲間同士で借りるなど割り勘にできるなら保険の上乗せはアリ
対物の損害が3000万円以上ということは滅多にないが、事故の相手が不運にも競走馬の馬運車など、とんでもなく高価なものを運んでいた場合には、レンタカーの保険で賄い切れなかったぶんは自分持ちとなり、お先真っ暗となることもある。
といった金銭負担的不安をなくすために大手レンタカーを中心に、それぞれ1日単位で免責の免除(1000円程度)、営業補償の免除(400から500円)といった保険の上乗せが用意されている。
またニッポンレンタカーには対物保険無制限+車両トラブルの際のロードサービスなどが付く「安心コース」というのもある(600円)。
保険の上乗せは、やるとレンタカー代金全体のけっこうな比率となるだけに迷うだろうが、それでも上乗せ料金はは1日最大2000円程度。
なので、まず「レンタカー代を3人、4人で割り勘する」場合、もしくは「そのくらいは気にしない」というお金持ちは、フル装備するに越したことはない。
対物保険の上乗せもレンタカーの対物保険で賄い切れない事故に遭う可能性はゼロではないので、あるなら入っておくべきだ。
免責と営業補償の免除は考え方がわかれるところだ。免責と営業補償は最悪で合計15万円。
この15万円が痛くない、自分のクルマの保険の免責もこのくらいにしているという人なら「自分のクルマで事故しても同じだ」という考えで入らないという考えも成り立つ。
このあたりは個人の運転頻度やレンタカーを借りる頻度にも左右されるだろうから、よく考えてほしい。
保険の上乗せまで行えば、もはや怖いものなし(?)。レンタカーライフを満喫してほしい(写真はイメージです)
■レンタカーを楽しみつくすユニークレンタカーで特別なひと時を
●スポーツカーからキャンピングカーまで!
最後は普通のレンタカーに飽きた人のために、ちょっと変わったレンタカーをご紹介。機会があれば、ぜひご利用を。
スポーツ系のレンタカーで最近ニュースとなったのが、札幌駅と千歳空港のニッポンレンタカーに配備された涙目と鷹目のGDB型インプレッサWRX STIだ。
この2台は今年復活するラリージャパンを記念したもので、スバル車を得意とするプローバによるレストア&リフレッシュ済み。クルマ好きならぜひ乗ってみたい。
スポーツ系のレンタカーといえば歴代スープラ、GT-R、NSXなどが揃う神奈川県箱根町の「Fun2Drive」と、現在10店舗がありマニアック車種選択で有名な、おもしろレンタカーも外せない。
箱根の「Fun2Drive」で借りたR33型GT-R。そのほかスポーツモデルが盛りだくさん
現行輸入車も在庫車がレンタカーになっているのか、大手レンタカーでは珍しくない存在となっている。
車種もポロなどのコンパクトカーからポルシェまで、メジャーなものなら探せばだいたい見つかる。料金もミドルクラスまでなら日本車とあまり変わらないこともよくあるので、イベントなどの際に予算に応じて使うのも面白い。
「これこそレンタカーで経験してみたい」と感じるのがキャンピングカーだ。借りられるのは大手レンタカーのごく一部の営業所かキャンピングカー専門のレンタカー会社と限られるが、キャンピングカーの購入を検討している人などにはありがたいサービスだ。
ニッポンレンタカーにもキャピングカーの貸し出しを行う店アリ(写真はイメージです)
■変わりダネ レンタカーの例
・GDB型インプレッサWRX STI(リフレッシュ車両)→ ニッポンレンタカー
・キャンピングカー → ニッポンレンタカー一部店舗
・ポルシェ ケイマン → オリックスレンタカー
・MINI ONE → タイムズカーレンタル
・ジャガーランドローバー系 → タイムズカーレンタル
・ランボルギーニ ガヤルド → Fun 2 Drive
・ミツオカ ロックスター → おもしろレンタカー
* * *
以上、永田恵一氏のナビゲートのもと、若い人向けにレンタカーの「いろは」をお伝えした。ベテランドライバーにも有効な情報があったのではなかろうか。ともあれ、若い層の方がクルマに目を向けるようになったのは嬉しい。これを機にクルマ買っちゃってほしい。
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