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マツダ、新型ロータリーエンジン搭載のMX-30 e-SKYACTIV R EVを日本初公開|オートモビルカウンシル2023|

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マツダ、新型ロータリーエンジン搭載のMX-30 e-SKYACTIV R EVを日本初公開|オートモビルカウンシル2023|

マツダは「オートモビルカウンシル2023」(2023年4月14~16日、千葉県・幕張メッセ)で、ロータリーエンジンを搭載したプラグインハイブリッド車「MX-30 R EV」を日本で初披露した。
 

オートモビルカウンシルは「日本に自動車文化の創生を図ること」を目的に、往年の名車と最新モデルを一堂に展示されるイベント。
 
マツダブースでは、「ロータリーエンジンの可能性の追求と新しい価値への挑戦」をテーマに、「コスモAP」や「RX-8ハイドロジェンRE」、そしてロータリーエンジンを発電機として使用するプラグインハイブリッドモデル「MX-30 e-SKYACTIV R EV(欧州仕様車)」を展示した。
 
マツダ存在意義をロータリーに託した過去
 
1967年にマツダが初めて量産化に成功したロータリーエンジンは、自動車メーカーとしての存在意義をかけた同社を象徴する技術。そして“飽くなき挑戦”の精神によって半世紀以上にわたりロータリーエンジンの可能性の追求と新しい価値への挑戦を続けてきた岐路となる技術について紹介するために用意したのがブースに並べられた3台なのだという。
 
ロータリーエンジン開発のきっかけとなったのは、1960年代の輸入自由化を求める海外からの圧力の高まりを受けた政府が対抗処置として中堅自動車メーカーを大企業に吸収させるという業界再編成の構想。何もしなければみずからの存在価値を示せず消えてしまうことになる。そこで目を付けたのがロータリーエンジンだった。
 
幾重にも重なる苦難を乗り越えて6年間におよぶ開発で実用化に成功し、ロータリーエンジンを搭載するコスモスポーツを世に送り出したマツダ。
 
その後、1970年代には公害対策や環境など、自動車に対する社会的要求が高まるなかで、他社に先駆けて排ガス規制をクリアしたのが1975年に登場した「マツダ コスモAP(Anti Pollution)」だった。公害対策のなか、各社が動力性能を落として対応する中で、従来の性能を維持したまま燃費を40%改善したロータリーエンジンを搭載していた。
 
そして、世界で初めて実用化に成功した水素ロータリーエンジンを搭載したのが「マツダ RX-8 ハイドロジェンRE」。内燃機関ならではのトルク感や加速感、排気音などを損なわずにCO2排出量がゼロ、NOxもほとんど発生しない優れた環境性能を実現。
 
また、水素でもガソリンでも走行できるデュアルフューエルシステムによりインフラが未整備な地域でも不安なく走行できるマルチフューエルに対応可能なロータリーエンジンの特性を生かし、環境への貢献に挑戦したクルマだった。
 
 
ロータリーの可能性を電動車とミックス
 
2012年を最後にラインアップから外れていたロータリーエンジン搭載車がいよいよ復活する。それが今回、日本で初披露となった「MX-30 e-SKYACTIV R EV」(以下MX-30 R EV)だ。
 
展示されたのは2023年初にブリュッセルモーターショーで初公開した欧州仕様車のそれである。
 
MX-30 R EVは発電用ロータリーエンジンを発電機として採用したマルチ電動化技術を搭載。搭載するロータリーエンジンは、発電用に最適化した新開発の8C型。これは新世代ロータリーエンジンとして開発を進めてきた16Xと名付けられた2ローターエンジンを1ローター化したもの。寸法などは基本的に同じものだという。
 
この8C型ロータリーエンジンを、高出力モーターとジェネレーターと同軸上に配置することでコンパクトなパワーユニットを実現している。ちなみにロータリーエンジンはジェネレーターとつながるが、モーターとは直結せず駆動力としては利用しない。あくまでも発電に徹するシリーズ式ハイブリッドシステムとなっている。
 
このコンパクトなユニットに17.8kWhのリチウムイオンバッテリーと50Lの燃料タンクを組み合わせることで電欠の心配をすることなく走行できるのがMX-30 R EVの強み。
 
既販のバッテリーEVモデル、MX-30 EVのおよそ半分となるバッテリー容量で約85km(欧州仕様参考値)のEV走行が可能。これに50Lの燃料タンクを用いてロータリーエンジンが発電することで総走行距離は最大680km(欧州仕様参考値)となるという。
 
マツダが追求する意のままの走りは、より緻密なクルマの反応や制御を可能とするモーター駆動との相性がいいのはMX-30 EVで証明済み。とはいえ、EVモデルでは、バッテリー重量やコストと走行性能のバランスから導き出した35.5kWhのバッテリー容量で、走行距離が256km(WLTCモード)というのには、正直なところ長距離移動時の不安や充電の手間が懸念される。
 
胸のすくような気持ちよさを体感できるモーター駆動に、ロータリーエンジンによる発電で長距離走行が可能になるなら、MX-30 R EVはより多くの人に受け入れられるのではないか。
 
地球温暖化の抑制やカーボンニュートラルといった環境負荷低減策への対応がマストなこの時代に、あえてロータリーエンジンを活用するマツダのチャレンジ。内燃機関の存在意義を愚直に探求する姿勢は、独自のSPCCI(火花点火制御圧縮着火)技術により熱効率を大幅に高めたSKYACTIV-Xの開発にも表れているし、マツダの歴史の一翼を担うロータリーエンジンがどのように進化しているのか、非常に気になるところである。
 
早く最新ロータリーサウンドが聞いてみたい! と、気が急いてしまうのだが、基本的にバッテリー残量が低下して初めて発電のためにローターに火が入る仕組み(発電を優先するモードもあり)なのが、今回のパワーユニット。むしろ通常のEV走行と発電時のロータリーサウンドや振動などが加わったときの乗り味や操縦感覚の変化しろや、それらをマツダがどのように造り込んでくるのかが、最大の見せ場となるのかもしれない。
 
今回のブース出展にあたり、マツダの取締役専務執行役員、青山裕大さんは、 
「私たちマツダはロータリーを諦めたくない。やっぱり作り続けたい。という思いがあります。ロータリーエンジンは私たちマツダの飽くなき挑戦の精神の象徴であり、マツダのアイデンティティとして未来へ受け継いでいかなければならない。ロータリーにはまだまだ可能性があります。私たちマツダは全員が思いと情熱を込めております。どのような形でも、たくさんじゃなくても作り続けることが大事であると考えています。
 
ロータリーエンジンの歴史をともに作ってくださったのは、マツダを愛し、応援してくださる世界中のお客様やファンのみなさまの思いです。お客様とこのような特別な絆を育んでいただいたことを誇りに、マツダはこれからもお客様の心を捉えて離さない、魅力的なクルマを造り続けていくこと、そして時代を超えてクルマを愛して止まないみなさまといっしょに、クルマのある人生の楽しさを追求していくことをお約束いたします。」
と語った。
 
現段階で国内導入の時期についてのアナウンスはまだないが、ロータリーエンジン搭載車のファンの期待も背負ったMX-30 e-SKYACTIV R EVから目が離せない!?
 
「MX」の祖、「MX-81」も展示した!
 
今回のロータリーエンジン搭載車3台とともに19881年の東京モーターショーに出展したコンセプトカー「MX-81」も展示した。
 
「MX」はマツダのコンセプトカーに冠したモデル名で、「81」は制作年を表している。この車両は2019年までマツダの工場内にひっそりと保管されていたものを、マツダ100周年のイベントに合わせてイタリアでフルレストアし、当時の状態に復元。発表当時に撮影が行われたミラノのドゥオーモ広場にて、最新型「MX」のMX-30と並んで撮影が行われた。そして、国内でもMXの新旧“2台絡み”で展示されたのだった。
 
 
〈文と写真=ドライバーWeb編集部・兒嶋〉

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