スバル「新型SUV」はトヨタ「ハリアー」がライバル!? 狙いは「アウトドア」にあらず？ “都市型”SUV「レイバック」の優位点とは

■これまでカバーできなかった領域に挑戦する新型SUV「レイバック」

　スバルは2023年9月7日、新型SUV「レヴォーグ レイバック」（以下、新型レイバック）の先行予約を開始しました。
　
　都会的なイメージを重視し、スバル車がこれまでカバーできなかった新たな市場への参入を目論むといいます。都市型SUVの先輩格であるトヨタ「ハリアー」と比較しながら、そのキャラクターを検証します。

　新型レイバックは、ステーションワゴン「レヴォーグ」をベースにしたSUVモデルです。

　レヴォーグは、海外市場での需要にも応えるべく年々ボディサイズを拡大する傾向にあった「レガシィツーリングワゴン」の実質的な後継車として、2014年に初登場しています。

　開発に際し、道の狭い日本での取り回しの良さは特に重視したといいます。

　2代目は2020年に登場。新開発プラットフォームや新世代デザインの採用、先進運転支援機能「アイサイトX」の搭載など、全てを一新しています。

　パワートレインは、1.8リッター水平対向ターボに加え、2021年11月には高性能版2.4リッターターボ仕様も追加されています。駆動方式は全モデルがAWD（四輪駆動）です。

　そんな2代目レヴォーグをベースに、新たなSUVモデルである新型レイバックが誕生しました。

　スバルでは国内向けとしてすでに「アウトバック」や「フォレスター」、そして「クロストレック」のSUV3モデルをラインナップしています。

　いずれの内外装もワイルドでタフなイメージを強調し、アウトドア志向が強いキャラクターとなっているのが特徴です。

　これらに対し新型レイバックが目指すのは、これまでスバル車でラインナップされていなかった「都市型SUV」市場への参入だといいます。

　外装はSUVテイストを高める大型の専用グリルや樹脂パーツの加飾などが施されていますが、デザインにあたり上質感を損なわないよう注力。

　内装もブラックを基調にアッシュカラーのコントラストを与え、明るく華やかな雰囲気としました。

　レイバックの車名についてスバルでは、「LAID BACK（くつろいだ、ゆったりした）」を語源に、都市型SUVでイメージされる「ゆとりある豊かな時間や空間を大切にする」気持ちが込められたネーミングだと説明します。

　ボディサイズは、全長4770mm×全幅1820mm×全高1570mm、ホイールベース2670mm。

　最低地上高は200mmを確保し、悪路での走破性を向上しています。

　ベース車のレヴォーグに対し全長＋15mm、全幅＋25mm、全高＋70mm（ホイールベースは共通）がそれぞれ拡大し、地上高は＋55mmアップしています。

　しかしその変化幅はいずれも大きくなく、日本市場を重視したレヴォーグの美点である取り回しの良さが、新型レイバックでも維持されています。

　パワートレインは1.8リッターターボのみの設定で、駆動方式もレヴォーグ同様にAWDです。

■都市型SUVの先輩格「ハリアー」と新型「レイバック」の違いとは

　都市型SUVといって思い出されるのが、トヨタのクロスオーバーSUV「ハリアー」です。

　1997年、世界に先駆けてSUVと高級乗用車のクロスオーバーモデルという独自キャラクターを確立し、以来一貫して都市型SUVの市場を開拓してきました。現行モデルは、2020年登場の4代目です。

　ハリアーのボディサイズは、全長4740mm×全幅1855mm×全高1660mm、ホイールベース2690mm。最低地上高195mm（4WD）です。

　全高が90mm高い以外、新型レイバックとはかなり近い寸法であることがわかります。

　4代目ハリアーは、歴代モデルのイメージを継承しながら、よりスタイリッシュなクーペフォルムとしたほか、室内も細部までこだわった上質な雰囲気が与えられています。

　新開発プラットフォームが採用され、従来型に比べ静粛性や乗り心地も向上させています。

　そしてパワートレインの設定が1タイプしかない新型レイバックとは異なり、ハリアーには2リッターガソリン、2.5リッターHEV（ハイブリッド車）、2.5リッターPHEV（プラグインハイブリッド）と、3つもパワートレインのラインナップを用意しているのが大きな特徴となっています。

　駆動方式も、4WD（HEVとPHEVはE-Four）に加え、ガソリン車とHEVにはFF（前輪駆動）仕様も設定され、多くの選択肢を揃えています。

　そのため販売価格（消費税込み）も312万8000円（ガソリン・FF）から620万円（PHEV）までと幅広いもので、予算や好みに応じた選択が可能です。

　一方新型レイバックの正式発表は2023年秋のため、販売価格はまだ明らかにされていませんが、スバルによるとレヴォーグとアウトバックの中間を狙うといい、300万円台後半の価格帯と予想されます。

　新型レイバックと競合する4WDモデルで比べると、ハリアーのガソリン（4WD）モデルの価格帯は322万8000円から453万8000円、HEV（E-Four）モデルは393万8000円から514万8000円で、比較的近い価格帯が設定されていることがわかります。

　そうした都市型SUVの先輩格であるハリアーと比較すると、新型レイバックのウリはほど良いサイズ感と、レヴォーグ譲りの走行性能の高さにあるといえます。

　さらにスポーティさを強調するレヴォーグのキャラクターに対し、新型レイバック独自の個性として、乗り心地性能も高め、ロングドライブの快適性も向上させています。

　おおよそのサイズ感は近い新型レイバックとハリアーですが、購入を検討するなら室内の雰囲気や広さ、実際の乗り味などをそれぞれ試乗車でチェックし、その違いを確かめてみるのが良いでしょう。

Comments

えっ
フォレスターがすでに都市型SUVじゃないの？

それでもハリアーを選択する人が多い。