本格的な4シーター・コンバーチブル
ハイエンドな4シーター・コンバーチブルとして、稀有な存在といえるマセラティ・グランカブリオ。情緒的なロードトリップ・ムービーで、シズル感を誘うようなモデルだ。
【画像】望めば不満なく速い550ps! マセラティ・グランカブリオ 競合の2+2 カブリオレたち 全130枚
だが実際に乗ってみると、理想と現実は違うと実感する場合も少なくない。往々にして、このパッケージングではリアシートが狭い。走行中は風が盛大に吹き込み、穏やかに会話することが難しい。だとしても、憧れる存在ではある。
この事実を理解するベントレーやポルシェ、メルセデスAMGなどは、2+2と割り切って提供している。リアシートは、あくまでも補助席といっていい。
対して、2024年に生産が始まったマセラティ・グランカブリオは、本格的な4シーター。実用性も追求された、唯一無二のイタリアン・カブリオレといえる。風を避けて会話を楽しみたいなら、電動ソフトトップを閉めれば良い。
ライバルは、そのコンチネンタルGTCや911 ターボ・カブリオレ、SL 63など。最新のアストン マーティンDB12 ヴォランテとも比較されるだろう。
英国に導入されるのは、ガソリンエンジンのグランカブリオ・トロフェオと、トリプルモーターのグランカブリオ・フォルゴーレの2種類。今回試乗したのは前者になる。
最高出力550psの3.0L V6ツインターボ
写真のとおり、グランカブリオはグラントゥーリズモのコンバーチブル版。プラットフォームは、当初から電動パワートレインが想定され、クーペとカブリオレに対応する設計が施されている。
ボディサイズはライバルより大きめで、全長は4966mm、全幅が1957mm、全高が1365mm。オープンボディではシャシーの補強が欠かせず、車重はグラントゥーリズモより100kg程重い。1895kgある。
フォルゴーレでは、駆動用バッテリーが剛性を担保するため、補強が不要だという。そもそも、こちらの車重は軽くないが。
エンジンは、オーバースクエアでバンク角90度の、ネットゥーノ・ユニット。3.0L V型6気筒ツインターボで、最高出力は550psがうたわれる。四輪駆動で、アダプティブダンパーが標準で装備される。ちなみに、フォルゴーレの最高出力は760psだ。
スタイリングは、低く伸びやかなボンネットから、後方へ優雅にカーブが続く印象的なもの。ボンネットは、コファンゴとイタリア語で表現される、クラムシェルスタイル。フロントグリルを、落ち着いたクロームメッキが飾る。
ソフトトップは、ブラックかブルー、グレーの他、グラナータ・レッドから選べる。ボディカラーとのコーディネートを楽しみたい。
後席は大人2名でも快適 15秒でフルオープン
内装は、マセラティに相応しい上質な素材が中心。しかし、ドイツのプレミアム・ブランドを凌駕する水準、とはいえないだろう。
観察すると、プラスティック製のボタン類など、若干質感が届いていない部品も。製造品質は10年ほど前より上昇しているが、もう少し驚ける特徴が欲しい。
前席側の空間は、広々としていて快適。ステアリングコラムには、金属製のシフトパドルが備わる。シートは見た目が美しいものの、高い期待ほど快適ではないかもしれない。タッチモニターのグラフィックは、やや煩雑に思えた。
グランカブリオの強みの1つが、平均的な身長の大人2名が、後席へ快適に座れること。オープン状態なら、乗り降りもしやすい。クローズ状態では、身体を押し込む感じになるけれど。
ソフトトップは完全な電動。51km/hまでなら、走行中でも15秒で開閉できる。定員分の旅行カバンを運ぶ場合は、閉じることになる。格納されたソフトトップが荷室を侵食し、高さ方向が大きく削られるから。
望めば不満なく速い ボディの寸法や質量を実感
それでは、英国の公道へ出発。全長5m、車重1.9tのグランカブリオは、ドライバーが望めば不満なく速い。66.1kg-mの最大トルクで、積極的に速度を乗せる。
常用域でのエンジン音は、若干ディーゼルに似ている。しかし右足へ力を込めれば、突き抜けるような咆哮を鑑賞できる。吹け上がりは軽快で、シームレスに6500rpmを超え、8000rpmまでためらいなく回る。
8速ATの変速は、基本的に滑らか。電光石火ではないが、シフトパドルで任意のギアも選択できる。四輪駆動システムと電子制御リアデフが備わるが、制御は比較的シンプル。前後のトルク分配は、ドライブモードによって変化する。
コンフォートとGTモードでは、操縦系が軽くなり、スポーツとコルサ・モードでは重くなる。他方、乗り心地や操縦性が明確に変化するわけではない。後輪操舵システムは備わらず、カーブではボディの寸法や質量を実感する場面も多い。
スポーツ・モードでも、敏捷性や一体感が増すわけではない。入力への反応には、人工的な感覚も伴う。だが、ステアリングは正確。望み通りのスピードで、爽快に駆け回れる。
乗り心地は、ドライブモードでの変化が大きい。だがボディ剛性もあって、ソフト側でも若干のぎこちなさがあり、ハード側では荒れた路面による影響を抑えきれない。
大きな段差では、バックミラー越しにシャシーが僅かにしなる様子も観察できる。ルーフの上端からリアのヘッドレストへ、揺れが伝播していく。
燃費は、丁寧に運転して約10.5km/L。市街地など、日常的な条件では8.5km/L前後だ。
リラックスしたツーリングなら快適
ラグジュアリーな4シーター・コンバーチブルの、グランカブリオ。魅惑的なスタイリングに上質なインテリアで、長時間をともに過ごしたいと思える。リラックスしたツーリングなら、実際に大人4名でも快適だ。
とはいえ、最新の電子技術とプラットフォームを持ってしても、動的能力と快適性との両立は簡単ではないようだ。実力を本当に発揮できるのは、滑らかな路面に限られる。スポーティな走りを、存分に謳歌できるわけではない。
マセラティらしいデザインや強力なV6エンジン、クラシックなオープン・グランドツアラーという特徴は、高く評価できる。だが英国価格を考えると、一層の能力を求めたくなるのは、筆者が庶民的だからだろうか。
◯:実際に4シーター マセラティらしい魅力的なデザイン 豪快に回るV6ツインターボエンジン
△:少し不満の残るシャシー剛性 トップレベルというわけではないインテリア 操縦性や快適性はもっと高められる
マセラティ・グランカブリオ・トロフェオ(英国仕様)のスペック
英国価格:18万7435ポンド(約3655万円)
全長:4966mm
全幅:1957mm
全高:1365mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.6秒
燃費:9.5-9.6km/L
CO2排出量:236-238g/km
車両重量:1895kg
パワートレイン:V型6気筒2992cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:550ps/6500rpm
最大トルク:66.1kg-m/3000rpm
ギアボックス:9速オートマティック(四輪駆動)
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