現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダ新型スポーツツアラー「NT1100」 大柄ボディと快適装備に軽快な走りまでパッケージした1台

ここから本文です

ホンダ新型スポーツツアラー「NT1100」 大柄ボディと快適装備に軽快な走りまでパッケージした1台

掲載 4
ホンダ新型スポーツツアラー「NT1100」 大柄ボディと快適装備に軽快な走りまでパッケージした1台

 ホンダの新型「NT1100」は、2022年春、3月17日に新発売となったスポーツアラーです。航続距離を伸ばす20リッター容量の燃料タンク、ウインドプロテクション性能を考慮しつつ所有感や個性も満たす外観デザイン。そこには積載性を高めるトップケースやパニアケースの装着も考慮したリアキャリアも装備。パッセンジャーが快適にライディングを楽しめるよう造られたシートなどがパッケージされています。

 2022年、バイクにもようやく国内で浸透し始めたデイタイム・ランニング・ライト(DRL)を備えた切れ長の目を含むライトユニットと、ボリューミーなフロントまわりからスポーツツアラーというよりゴージャスさや、プレミアムクラスのツアラーという印象を受けます。

【画像】ホンダ「NT1100」(2022年型)の詳細を見る(17枚)

 サスペンションは前後とも150mmのストロークを確保し、タイヤもメッツラーの「ロードテック01」を履くなど、快適かつスポーティ、同時に雨でも高い安心感をもたらす装備も魅力的。パワーユニットは排気量1082ccの直列2気筒エンジンとデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)を組み合わせたもの。クラッチ操作の要らないマニュアルトランスミッション(MT)でもあり、発進とシフトチェンジの滑らかさは特筆モノ。スポーツツアラーを謳うだけに、その走りにも期待が高まります。

 跨がってみると、フロントまわりの大きさから受ける印象は、やはりビッグバイク感が漂います。それでいてシート前端は細身で着座パートも細く造られ、足つき性は上々。やや広めのハンドルバーに手を伸ばし、ステップに足を載せてみると、どこか「アフリカツイン」のような、おおらかなフィット感も持ち味の様子。軽いバイクではありませんが、エンジンを始動し、右手のシフトスイッチで「D(ドライブ)」を選択、アクセルをゆったりと開けた瞬間、スムーズに走り出す「NT1100」は、最初のハードルをグッと下げてくれたのです。

 270度の不等間隔爆発によってパルス感のある鼓動と排気音が特徴的な2気筒エンジンは、低い回転数から余裕でこの車体を動かします。地下駐車場から右周りのらせん状のランプを上り、地上に出る場面でも手強さがありません。バイクのほうから短時間に手の内に入ってきたのです。市街地に出てもその印象は同様。大きいバイクながら、その大きさを意識させることがありません。

 オーナーであれば使いこなすであろう多種スイッチ類も、事前学習しておいたので基本的な操作はこなせます。タッチスクリーンタイプのメーターパネルにあえて指の痕をつけなくても、左右スイッチから操作できるので操作性は上々と評価しておきます。

 市街地を悠々と流す「NT1100」は、前後のサスペンションが路面状況を伝えつつ、適度な吸収性を持ち快適な走行感をもたらします。ネイキッドモデルから乗り換えたと想定したら、路面が見えないことが少し不安になるかも知れませんが、車体全体からのインフォメーションで視覚的違和感は補正されるでしょう。

 ハンドリングに重さが少ないのもグッドポイント。リアサスペンションはタンデムや積載を意識したスプリングを使っているのでしょう。ペースや路面によってはフロントよりもゴツゴツ感を伝えてきますが、充分に許容範囲です。

 市街地でのハンドリングはサイズ感を思わせないものでした。右左折時、クラッチ操作を必要としない分、曲がること、ブレーキを掛けることなどに注意力を振り分けられるDCTの恩恵です。自動的に変速をするシフトマップも適切。必要であればDモードで走行中でも左手にあるシフトパドルを操作すれば、シフトアップ(+)/ダウン(-)が可能なので、その点でも「ドライブ」感は常にライダー中心に組み立てられるのです。

 高速道路では抜群の快適性を見せてくれました。165mmの幅で高さを5段階に調整できるフロントスクリーンを、基本位置である最下段にしていても、スクリーン下側、ライダーの足元にあるロアディフレクターの相乗効果もあり、快適なウインドプロテクションを発揮します。

 足元に関しては、むしろアクアラインのトンネル区間や首都高の山手トンネルのような数キロにも及ぶトンネルでは、少々暑く感じるほど。その分、秋冬には最良の足元温か空間を約束してくれそうです。

 ツーリング先のワインディングでも「スポーツツアラー」と謳うだけに、身のこなしは軽快です。車重250kg近いバイクなので、もちろん「CBR」シリーズが持つような鋭さはありません。しかし1人乗りの場合、全く不満のない走りを楽しませてくれました。

 トルクフルなエンジンを活かしてカーブの立ち上がりから加速、作動性の良いフロントサスペンションがブレーキング時にはタイヤのグリップ感を分かりやすく伝えてくれます。そのグリップと旋回に入る時の動きなど、車体とのマッチングも上質です。

 帰路、夕立に遭いました。ウエット路面でも、しっかりとしたグリップ感をもって安心して走れます。その点も含めツアラーとして高く評価できます。気温、天候、道路のバリエーションなど様々な場面を想定して走るツアラーですから。

 改善を求めるとすれば、スクリーンの高さ調整が走行中に出来ないこと。風のプロテクションは良いのですが、夕立の雨粒は最下段では避けられません。高速道路上ゆえ、路側帯に止まって調整ということもできず、ウエアは濡れ、雨が上がると走行風で体温を奪います。ライダーの体力を奪うことを考えたら、走行中に起こりうる想定範囲を拡げ、スクリーンの調整を走行中に出来るよう要望したいところ。でも、今回見つかった欠点はソコだけ。ホンダが新型として投入した「NT1100」は、完成度を感じられるスポーツツアラーでした。

※ ※ ※

 ホンダ「NT1100」の価格(消費税10%込み)は168万3000円です。ETC2.0車載器を標準装備し、カラーバリエーションは取材車両の「パールグレアホワイト」と「マットイリジウムグレーメタリック」の2色展開となっています。

こんな記事も読まれています

レッドブルF1が今年のグッドウッドに登場。フェルスタッペンはタイトル獲得マシン『RB16B』でデモランを実施へ
レッドブルF1が今年のグッドウッドに登場。フェルスタッペンはタイトル獲得マシン『RB16B』でデモランを実施へ
AUTOSPORT web
ようやく新車の[ランクル300]納車! オーナーとして大喜びなのかと思いきや意外な心境だった!?
ようやく新車の[ランクル300]納車! オーナーとして大喜びなのかと思いきや意外な心境だった!?
ベストカーWeb
【DEGNER】の「レザープルオンブーツ/HS-B16」は、ライダー向けのシンプル仕様!  
【DEGNER】の「レザープルオンブーツ/HS-B16」は、ライダー向けのシンプル仕様!  
モーサイ
250馬力超をミッドシップに搭載したホンダ NS-X登場[driver 1989年3-20号より]
250馬力超をミッドシップに搭載したホンダ NS-X登場[driver 1989年3-20号より]
driver@web
日産「シルビア」復活する!? “アツい走り”実現する「新型シルビア」待望論! クルマ好きが待ち望む「理由」とは
日産「シルビア」復活する!? “アツい走り”実現する「新型シルビア」待望論! クルマ好きが待ち望む「理由」とは
くるまのニュース
スプリント予選で4番手&6番手のメルセデス、こんなはずではなかった? ハミルトン「フリー走行は良かったけど、悲惨な結果になった」
スプリント予選で4番手&6番手のメルセデス、こんなはずではなかった? ハミルトン「フリー走行は良かったけど、悲惨な結果になった」
motorsport.com 日本版
マセラティ レース復帰20周年記念モデル 「MC20 Icona」と「MC20 Leggenda」
マセラティ レース復帰20周年記念モデル 「MC20 Icona」と「MC20 Leggenda」
Auto Prove
千葉県に存在する「ミステリーサークル道路」の秘密に反響多数!?「理由初めて知った」地図でも異様な「巨大な円形」はなぜ生まれたのか
千葉県に存在する「ミステリーサークル道路」の秘密に反響多数!?「理由初めて知った」地図でも異様な「巨大な円形」はなぜ生まれたのか
くるまのニュース
チェーンのメンテナンスは“専用ケミカル”で!
チェーンのメンテナンスは“専用ケミカル”で!
バイクのニュース
[15秒でわかる]BYD『シール』…日本市場参入第3弾はEVセダン
[15秒でわかる]BYD『シール』…日本市場参入第3弾はEVセダン
レスポンス
クルマを売るだけじゃ終わらない!? WILLプロジェクトってどんなだったの?
クルマを売るだけじゃ終わらない!? WILLプロジェクトってどんなだったの?
ベストカーWeb
機械屋の納品用トヨタ「ハイエース」に見るシンプルな荷室の作り方とは? 車中泊仕様に早変わりしそうなシックな車内を紹介します
機械屋の納品用トヨタ「ハイエース」に見るシンプルな荷室の作り方とは? 車中泊仕様に早変わりしそうなシックな車内を紹介します
Auto Messe Web
F1ドライバーもやっている「靴裏を拭いてから運転」は市販車でも重要! 梅雨の季節は危険も減らせる行為だった
F1ドライバーもやっている「靴裏を拭いてから運転」は市販車でも重要! 梅雨の季節は危険も減らせる行為だった
WEB CARTOP
【スタッフ通信】アウトランダーPHEVを賢く使おうVol.2長距離省燃費編 目指せリッター100km!
【スタッフ通信】アウトランダーPHEVを賢く使おうVol.2長距離省燃費編 目指せリッター100km!
Auto Prove
【F1第10戦無線レビュー】際どいチームメイトバトルで接触のフェラーリ勢「カルロスが閉めた」「僕の方が前だったのに」
【F1第10戦無線レビュー】際どいチームメイトバトルで接触のフェラーリ勢「カルロスが閉めた」「僕の方が前だったのに」
AUTOSPORT web
「OPEN COUNTRY A/T III」が新型レクサス『GX』・トヨタ『ランドクルーザー250』の新車装着タイヤに採用
「OPEN COUNTRY A/T III」が新型レクサス『GX』・トヨタ『ランドクルーザー250』の新車装着タイヤに採用
レスポンス
ルクレール、SQ3コースイン直前に悪夢のようなエンジン停止。アタックラップ間に合わず痛恨10番手「チームにはガレージで話すと言われている」
ルクレール、SQ3コースイン直前に悪夢のようなエンジン停止。アタックラップ間に合わず痛恨10番手「チームにはガレージで話すと言われている」
motorsport.com 日本版
ホンダ新型「コンパクトミニバン」登場に反響多数!?「すごく良い」「優しいデザイン」8年ぶり全面刷新で燃費向上モデルも出た「フリード」発売
ホンダ新型「コンパクトミニバン」登場に反響多数!?「すごく良い」「優しいデザイン」8年ぶり全面刷新で燃費向上モデルも出た「フリード」発売
くるまのニュース

みんなのコメント

4件
  • これならシャフトドライブの方がいいと思うけれどコスト高になるからやらなかったのかな?
  • フルパニア前提のデザインかな…
    フロントがもりもり過ぎる
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村