三菱と日産では新型軽EVの位置づけが異なっている
5月に正式発表された三菱自動車の軽EV「eKクロスEV(イーケークロスイーブイ)」に公道試乗することができました。軽EVのメインステージとなる市街地でじっくり乗った評価と、開発者など三菱自動車の“中の人”に聞いた話を元に試乗レポートをお送りします。
まず気になるのは、姉妹車といえる日産「SAKURA(サクラ)」との関係でしょう。NMKVという両社のジョイントベンチャーによって企画され、三菱の水島工場(岡山県)で生産されるのは、どちらも変わりません。
話題の新世代“軽EV”兄弟「eKクロスEV」は残クレで買うのがおトクな理由&試乗インプレもお届け
しかし、商品企画は両社で大きく異なります。基本的には「日産 デイズ」、「三菱 eKクロス」という現行軽モデルのボディを使った電気自動車ですが、日産はフロントマスクのイメージを電気自動車専用としたうえで、サクラという新たなネーミングを与えて新モデルに位置付けています。
一方、三菱はeKシリーズの一員という扱い。ガソリンエンジンの「eKクロス」、スーパーハイトワゴンの「eKクロススペース」に、「eKクロスEV」という電気自動車バージョンが加わったというプロモーションからも明らかです。つまりeKクロス・シリーズの最上級グレードとしてEVが登場したと捉えることができるでしょう。
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モーターの鋭い加速よりも、上質な走りの演出を目指している
では、eKクロスEVは三菱の軽ラインアップのフラッグシップにふさわしいクルマに仕上がっているしょうか?
eKクロスEVもサクラも、日産リーフ譲りの20kWhのリチウムイオンバッテリーと三菱アウトランダーPHEVにルーツを持つ定格30kW・最高出力47kWのモーターを主要デバイスとして構成されています。
よく言われるようにモーターはエンジンより発進時の力が強く、スムースに速度を上げていく特徴があります。eKクロスEVにおいてもそうしたメリットは感じられますが、より印象的なのは緻密な制御です。
逆にいうと電気自動車らしい爆発的な加速はあえて抑制されています。アクセルを深く踏み込むと期待通りの加速をしますが、しかしタイヤがキュッと鳴いたりすることはありません。タイヤやシャシーのグリップ性能をほどよく引き出すよう駆動力が制御されていることが実感できる発進性となっているのです。
三菱にとって軽EVは初めてではなく、かつてアイミーブという世界初の量産電気自動車を販売していた過去があります。いまさら電気自動車は鋭い加速力が魅力とばかりにパフォーマンスを誇示する必要はないというわけでしょう。むしろモーター駆動によって、どれだけ上質な走りを実現できるかに注力しているというのがeKクロスEVに乗った第一印象です。
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普通充電の電費はリッター50kmのエンジン車並み
ドライブモードはエコ/ノーマル/スポーツの3種類。エコモードは発進加速がマイルドになり、スポーツモードは鋭くなります。過去に初代リーフを所有し、電気自動車の走らせ方を身につけていると自負する筆者個人の好みでいえば、ノーマルモードがもっとも航続距離を伸ばしやすいと感じました。スパッと加速して、そこから緩めの回生ブレーキで、惰性的に進むという走らせ方にもっとも向いているのがノーマルモードだったと言い換えることもできます。
ほとんど初めての試乗ですが、ノーマルモードメインで市街地走行した際の電費表示はエアコンオフで13.4km/kWh、エアコンオンで10.2km/kWhとなりました。単純計算するとエアコンオンでも180kmのカタログ値は走れそうです。
普通充電だと10.2km/kWhというのは、およそ30円の電気代で10km走れます。いまやレギュラーガソリンも170円/Lとなっていますから、エンジン車なら50km/Lを超える燃費でなければ、電気自動車のランニングコストには及ばないとも言えるでしょう。
カーボンニュートラルという世界的な環境対応だけでなく、身近な財布の負担という点においても、コンパクトな電気自動車を選ぶというのは賢い判断といえそうです。
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国の補助金を加味しても安くはない!?
eKクロスEVの価格は239万8000円~293万2600円。国の補助金55万円を加味しても、軽自動車としては高価なモデルとなり、前述したランニングコストの安さはトレードオフで消えてしまうかもしれません。また急速充電の利用が多くなると電費のコストメリットを享受しづらくなるのも事実です。eKクロスEVを所有するのであれば、自宅や職場に普通充電できる設備を用意するのはマストでしょう。
充電設備の設置について三菱の販売会社は非常に慣れている印象があります。なにしろアイミーブにはじまりアウトランダーPHEV、エクリプスクロスPHEVとプラグイン車を、10年以上にわたって販売していますから、そのあたりのノウハウは豊富で、クルマを売るだけでなく、様々な相談ができると思われます。
くわえてeKクロスEVの販売に際して、V2H(ビークル・トゥ・ホーム)と呼ばれる電気自動車を家庭の補助電源として使えるようにするシステムの研修も全国の販売店で行なったということです。大規模停電や災害時に役立つV2Hについて、メーカーとして販売会社のスタッフに研修したのは三菱が初ということですが、これまでの経験から販売店スタッフの理解も十分で、V2Hメーカーの担当者も驚いたというエピソードも聞こえてきます。
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おススメはリセールバリューの高さでeKクロスEV!
eKクロスEVの購入については残価設定ローンでの購入をまずは検討してほしいと思います。
その理由は、eKクロスEVのリセールバリューにあります。残価設定ローンで、5年後残価が35%と電気自動車としては非常に高いレベルに設定されています。かつてアイミーブでは5年後残価が10%だったことを知っている人には隔世の感でしょう。
なぜ、これほど高い残価になっているかといえば、eKクロスEVがeKシリーズの一員として位置付けられていることにあります。同じシリーズですからガソリンエンジン車と残価が大きく異なるようなことはあり得ません。eKクロスのガソリンターボ車の5年後残価(38%)と同等になっているのです。バッテリーの劣化によるリセールバリューの悪化というのは電気自動車を購入検討する際のネックになりますが、少なくともeKクロスEVにおいては、そうした心配はありません。
ハードウェア的にいっても、eKクロスEVのバッテリーは温度管理機能が備わっているため、過去の電気自動車よりは劣化しづらい設計となっている点も見逃せません。
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文/写真:山本晋也
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みんなのコメント
その意味では残価設定で乗り捨てるほうがお得かもしれない。