この記事をまとめると
■車名別新車販売台数で首位のホンダN-BOXが2024年11月単月では2位となった
やっと普通に新車が買える状況になってきた! 2024年11月の新車販売状況を分析
■トップ10で7台を占めるトヨタ勢は「再販価値の高さ」が人気となっている
■2024年新車販売台数トップはN-BOXでほぼ決まりだが支払った代償は例年よりも大きい
年間トップほぼ確実のN-BOXにかつてほどの圧倒的勢いはなし
ここのところ単月締めでの車名(通称名)別新車販売台数ランキングで「異変」が起きている。「日本で一番売れているクルマ」とされるホンダN-BOXが2024年10月に続き、2024年11月単月締めでも新車販売ランキング2位となったのである。
自販連(日本自動車販売協会連合会)から登録車、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)から軽自動車の、それぞれ発表された2024年11月単月締め車名(通称名)別新車販売ランキングを合算すると、販売トップとなったのはわずか800台弱差でトヨタ・ヤリスとなったのである。登録車のヤリスがN-BOXを抜き去ってトップとなるのはいままでもたびたびあったことなのだが、2024年11月はトヨタ・ヤリス、同ヤリス・クロスともに新規受注停止が続いていた。しかもヤリス・クロスは2024年9月の出荷再開以降新規受注停止が続いている。
いまどきは11月に受注したぶんが11月の販売実績(新規登録が月内に間に合う)ということはないのだが、N-BOXはヤリスシリーズとは異なり、インターネットの広告でも、ある地域では「500台在庫あり」などということを宣伝するほど需給体制には余裕があり、大体の仕様は納車までそれほど時間を要しない状況となっている。
そんなN-BOXが発注したくてもできないヤリスシリーズに販売台数で負けるだけではなく、800台弱という僅差でヤリスシリーズが勝っていることを見ると、トヨタが「N-BOX対策」を徹底しているのではないかといううがった見方もしてしまいがちとなる。
「ハッチバックのヤリスは法規対応の改良を控えていると聞いています。そのため、新規受注停止は行っているものの、レンタカーなどフリート販売向けの出荷も盛んに行われているとも聞いています。新規発注できないにしても、出荷再開したばかりで大量のバックオーダーを抱えるヤリス・クロスのバックオーダー消化も進んでおり、これが10月に続きN-BOXをおさえてヤリスシリーズがトップになっているのではないでしょうか」(事情通)。
N-BOXの月販目標台数は派生シリーズの「N-BOX JOY」も加えて1万8000台、つまり2024年11月の1万8028台は月販目標台数をギリギリ達成していることになる。
「月販目標台数は我われ一般消費者に告知される『表の月販目標台数』以外に、それより台数の多い販売現場向けの『裏の月販目標台数』があるとのことです。この話を仮にあてはめれば、11月は裏の月販目標台数をクリアできていないように見えます。N-BOX JOYを追加しても波に乗り切れていないように私には見えます」(事情通)。
納期遅延でも再販価値が高いというメリットで好調のトヨタ
先ほど「日本カー・オブ・ザ・イヤー2024-2025」を獲得したホンダ・フリードの宿敵といえばトヨタ・シエンタ。お互いの需給体制の違いもあるので一概にはいえないものの、11月単月をみると、シエンタが販売台数で上まわっている。
2024年1月から11月までの累計販売台数でも、フリードは途中でフルモデルチェンジを実施しているので条件が同じとはいえないが、シエンタは10万台超えをしているが、フリードは6万台強となっている。「対シエンタ」という面では、今回のカー・オブ・ザ・イヤー獲得を追い風のひとつにしていくのかもしれない。
毎度毎度のことになるが、登録車のみのランキングでは、トップ10のうち7台、トップ20のうち13台がトヨタ車となっている。そのなかで比較的需給体制が良好なのは、カローラ(除くカローラクロス)、プリウス、アクア、ライズ、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツぐらいになっている。「時間がかかっても納車を待つ」とか、「受注再開まで待つ」という、結果的に「納期がかかる」というネガティブな面に対し、「再販価値がいい」などというメリットがトヨタ車では上まわっていることを表しているように見える。
スズキ・フロンクスは初めてフルカウント月となったが、1713台で登録車のみで35位に入っている。月販目標台数1000台なので好調な船出となっていることがうかがえる。
軽自動車のみのランキングではN-BOXのトップが続いているが、興味深いのは2024年1月から11月までの累計販売台数での2位スズキ・スペーシアとの差である。2023年1月から11月の累計販売台数ではトップN-BOX、2位ダイハツ・タント、そして3位がスペーシアだったのだが、N-BOXとスペーシアの差は約10万台となっていた。しかし、2024年11月ではトップN-BOX、2位スペーシアとなり、その差は4万台弱まで大幅に縮小している。
これはタントが一連の問題の影響もあり前年比57%と販売台数を大きく落とすなか、そのタントを購入候補としていたお客をスペーシアが独り占めした結果ともいえるのだが、同時にN-BOXはタント購入希望客の囲い込みが不十分であり、しかも販売全体の勢いもいまひとつということを露呈しているといってもいいだろう。
政治の世界では「2位ではだめなんですか」という名言があるが、軽自動車販売の世界では、N-BOXは販売台数稼ぎのための「自社届け出(ディーラー名義などでナンバープレートだけつけること)」が目立っており、N-BOXを深追いするよりは2位に甘んじていたほうがいいようにも見える。
累計販売台数ベースでスペーシアもヤリスシリーズもどちらもほぼ4万台N-BOXに差を付けられているので、2024暦年締め新車販売台数ナンバー1はほぼN-BOXできまりともいえるが、そのための代償は例年よりも大きかったように見える。
登録車ではトヨタ同士とはなるものの、現状ではヤリスがトップとなっているが、カローラとの差はわずかなので、12月の動き次第というのが現状となっている。
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みんなのコメント
ヤリス、ヤリスクロス、GRヤリスはカタログ、WEBサイト共に個別に作成されている。一方、N-BOXは、N-BOX、custom、JOY全てがカタログ、WEBサイトともに共通だ。
ここで騒いでも仕方がないないのだが、現状のカウント方法はユーザーには優しくない。実態が見えにくい現状は改善してほしい。