かの本田宗一郎が浜松でホンダ技術研究所を開設したのが1946年のこと。
スタートは自転車に装着するエンジンの製造で、東京に本社を移転した後も2輪車の製造が軸、の軽トラック「T360」からという、4輪車メーカーとしては比較的歴史は浅いのだ(単純に考えて、今年100周年を迎えたマツダやスズキに比してその歴史は約半分の期間、ということになる)。
次期型はツインモーター400psで4WD!? マジか!??? シビックタイプRはどこへ行く
しかし、ベストカー独自の“殿堂入り”にふさわしいクルマたちとして今回ここに挙げてもらった20台を見てもわかるように、ホンダのクルマは実に個性的で意欲的な“チャレンジャー”がたくさんある。
まずは総合ランキングの1位~10位を、ついで、総合ランキングの元となった、松田秀士・片岡英明・国沢光宏・岡本幸一郎4人の評論家による総評と個別ランキングとを見ていこう。総合11位~20位については、その車名を含め画像ギャラリーを御覧いただきたい。
どのクルマを見ても独創的で、新ジャンルを切り開いたクルマたちばかり。「俺たちのホンダ」の原点がここにある。
【画像ギャラリー】永遠の挑戦者たれ!! ホンダ殿堂入り20車をギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年7月のものです。4氏の選んだ10車をF1ポイント方式(1位25点、2位18点、3位15点、4位12点、5位10点、6位8点、7位6点、8位4点、9位2点、10位1点)で採点。同点、同順位車が出た場合は、編集部がそのなかでの順位を決定した。
選出・文:松田秀士、片岡英明、国沢光宏、岡本幸一郎、ベストカー編集部/写真:HONDA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年8月26日号
■第1位 初代シビック(1972年)
●ホンダのクルマ作りの思いが結実した名車
第1位 初代シビック(1972年)
4輪車参入からまだ10年経っていない1972年に登場した初代シビックは、小さな車体に最大限に広い室内を実現した、いかにもホンダらしい意欲作で、ヒット車となった。2ドアのほかに4ドアもある。厳しい排ガス規制に適合させたCVCCエンジンが初代シビックの代名詞のようになっているが、非CVCCエンジンモデルも設定されていた。
■第2位 初代NSX(1990年)
第2位 初代NSX(1990年)
10位にタイプRが殿堂入りしているが、やはり標準タイプのNSXが2位となったのは納得。1990年に登場した時のインパクトはあまりに強烈だった。
■第3位 S2000(1999年)
第3位 S2000(1999年)
ホンダの意地のようなクルマ。何しろ2L直4は9000rpmまで回るのだから、もう強烈! 2.2L化される前の初期モデルがやはりS2000らしさ全開だ。
■第4位 初代インテグラタイプR(1995年)
第4位 初代インテグラタイプR(1995年)
1.8L VTECエンジンは8000rpmで200psを発揮。エンジンも凄いが、舵角に忠実にアクセルオンでもグイグイ曲がるシャシーチューンにもシビレまくり!
■第5位 初代インサイト(1999年)
第5位 初代インサイト(1999年)
徹底的に低燃費を狙ったパワートレーン、ボディワークなど、ホンダの技術展示車のような存在。Cd値0.25で、10.15モード35km/Lは当時のトップ値。
■第6位 Sシリーズ(1964年)
第6位 Sシリーズ(1964年)
1963年に登場したS500は1964年にS600となり、1966年以降はS800となる。FRの後輪駆動のオープンスポーツ。ホンダ初期のイメージリーダーだ。
■第7位 初代オデッセイ(1994年)
第7位 初代オデッセイ(1994年)
全高1645mmでワゴン車の背を高くしたようなフォルムで、後席ドアはヒンジ式。3列シートの7人乗りというパッケージは、当時としては画期的だった。
■第8位 初代フィット(2001年)
第8位 初代フィット(2001年)
ガソリンタンクをフロアセンターに配置し後席下までフラットで低い床を実現。後席座面をプルアップさせることで、広く高い荷室スペースが出現。
■第9位 N360(1967年)
第9位 N360(1967年)
1967年3月デビュー。空冷2気筒SOHCエンジンは354ccで31ps/3.0kgmを発揮。軽自動車の小さな車体に広い室内を実現し、ヒット車となった。
■第10位 初代NSXタイプR(1992年)
第10位 初代NSXタイプR(1992年)
エンジンは手作業のメカチューンで切れ味バツグン! ガチっと固めたシャシーでサーキットで無敵の速さを発揮した。
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* * *
■S2000だけは作り続けてほしかった(松田秀士が選んだ10台)
1位S2000。このモデルだけは作り続けてほしかった。9000rpmまで引っ張りサーキットを走る快感は永遠。2位のNSX-Rはボンネットから上方排気のエアアウトレット。もうグループCカーのような空力コンセプトの塊で鷹栖(北海道)試乗会では路面に吸い付くフィーリングが印象的だった。
3位インテタイプRの初代は前後Wウィッシュボーン式サス。開発陣が何のためにこのモデルを作ったかはスペック見りゃすぐわかる。5位シビックRSは今でいう和製ホットハッチのルーツ。ストラットの4輪独立懸架のサスでコーナーもバツグンだった。
7位アコードは超高張力鋼板を使用せず衝突安全性がトップレベル。10位プレリュードの4WSには感動した。リアステアが具現するハンドリングに感動したものだ。
1位…S2000
2位…NSX-R
3位…初代インテR
4位…初代インサイト
5位…初代シビックRS
6位…現行型シビックタイプR
7位…現行型アコード
8位…S800
9位…クラリティFCV
10位…3代目プレリュード
■初代シビックはホンダをメジャーに押し上げた傑作(片岡英明が選んだ10台)
初代シビックはFF2BOXの先駆けで、ホンダをメジャーに押し上げた傑作だ。難関といわれた排ガス規制を副燃焼室付きのCVCCエンジンでクリアし、技術力の高さを見せつけた。センタータンクレイアウトのフィットはパッケージングの革命児だ。コンパクトカーとは思えない広いキャビンを生み出した。ミニバンブームの火付け役となった初代オデッセイも語り継がれるホンダの名作だ。
スポーツモデルでは量産初のオールアルミボディを採用し、スーパースポーツの世界を変えた初代NSX。ハイブリッド車の初代インサイトもエンジニアの志の高さを感じさせる名作である。これは燃料電池車のクラリティにも言えることだ。また、DOHC-VTEC搭載のFFスポーツクーペ、CR-Xも傑作。
1位…初代シビック
2位…初代フィット
3位…初代NSX
4位…初代インサイト
5位…初代オデッセイ
6位…クラリティFCV
7位…2代目CR-X
8位…Sシリーズ
9位…初代N-BOX
10位…ビート
■ホンダの未来を切り拓いた初代シビックとN360(国沢光宏が選んだ10台)
初代シビックとN360の2車種は誰だって外せない。シビックなければアメリカ市場の成功などありえなかったし、N360も日本の軽四輪市場を切り開いた! なんたって売れまくりましたから。
この2車種に比べたらそのほかのモデルは同じくらいの存在感です。人によっても異なるかもしれない。例えば私の好みでバモスなんか入れてみたい。仮にホンダの殿堂など本当に作ったとしたら、素晴らしい「箸休め」になると思う。「ホンダってこんなクルマ作っていたのね!」ですよ。Sシリーズは希少性や歴史から360や500というチョイスもあるだろうが、私は最も売れた800をプッシュしたい。性能的にも高く評価できる。ホンキで場外狙ったNSXは当時のホンダにとっちゃ凄いチャレンジでした。
1位…初代シビック
2位…N360
3位…NSX
4位…初代インテR
5位…初代オデッセイ
6位…ステップバン
7位…シティターボII
8位…バモス
9位…S800
10位…初代ステップワゴン
■30年もの昔に初代NSXをだせたホンダに脱帽(岡本幸一郎が選んだ10台)
ホンダはスポーティモデルばかりになった。ただし、順位をどうするかはかなり悩んだわけだけど、1位はなんといっても初代NSXでしょう。よくぞあんなクルマを30年も前に世に送り出せたものだ。
以下、S2000もビートもホンダらしさ全開のピュアスポーツ。S600は筆者が生まれる前のクルマだが、当時のホンダがこうしたクルマを作ろうと考えたこと自体がいかに画期的でメカニズム的にも凝っていたかは想像に難くない。
タイプR系は、今のゲキハヤ系ももちろんスゴイけど、DC2があったからこそ未来が開けたという意味で上位。
6~8位は往年のホンダらしさ満点の印象的だった身近なクルマたちを。ミニバンブームを開拓した立役者であるオデッセイも最後にぜひ入れておきたいと思った次第。
1位…初代NSX
2位…S2000
3位…ビート
4位…S600
5位…初代インテR
6位…3代目プレリュード
7位…初代シティ
8位…初代シビック
9位…FK2型シビックR
10位…初代オデッセイ
* * *
■まとめ
冒頭でも触れたように、2輪車メーカーとしてスタートしたホンダが4輪車に参入したのは1963年のことで、他メーカーと比べてその歴史は浅い。しかし、最初の市販4輪車がDOHCエンジン搭載の軽トラT360だったり、続いてオープンスポーツのS500を投入するなど、ホンダのクルマ作りはいつでも独創的で、エンジニアの意欲があふれ出んばかりの個性的だけど新たなジャンルを開拓するようなモデルがたくさんある。その中でも初代シビックがトップで殿堂入りしたのは誰もが納得する結果だろう。シビックの提案したMM思想はのちのフィットにも生かされている。それにしても、殿堂入り各車を見ると、スポーツモデルが多いなあ!
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みんなのコメント
あれ程車好きだけではなく色々な人の間で話題になった車はないと思う。
快適さも考えて内装の細かいところまで丁寧に作ってるが、決して過剰なデザインは用いてない。
その絶妙なバランスは奇跡的。そしてその割に安い価格。