ウルフスピードの先進的なSiC技術を搭載した最初のモデルとして「レンジローバー」を2024年に、翌年にはBEVの新しいジャガーモデルを投入する予定
ジャガー・ランドローバーと米国のWolfspeed, Inc.(以下ウルフスピード)はこのほど、次世代電気自動車向けにSiC(シリコンカーバイド)半導体を供給し、パワートレイン効率の向上と航続距離伸長を実現するための戦略的パートナーシップを締結したことを発表した。
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ジャガー・ランドローバーは「REIMAGINE」戦略に基づき、2039年までに自社のサプライチェーン、製品、サービス、オペレーション全体におけるカーボン・ネット・ゼロ(温室効果ガス排出量ゼロ)を目指し、電動化を最優先とする事業への転換を進めている。
ウルフスピードの先進的なSiC技術は、とくに車両のインバーターに使用され、バッテリーから電動モーターへの電力伝送を管理。この先進技術を搭載した最初のモデルとして、「レンジローバー」を2024年に、翌年には、フルバッテリー電気自動車(BEV)の新しいジャガーモデルを投入する予定だ。
今回の戦略的パートナーシップは、ABB FIAフォーミュラE世界選手権に参戦し、これまで何度も優勝してきたジャガーTCSレーシングチームとウルフスピードの既存の協力関係に基づいている。ウルフスピードの先進的なSiC技術は、レースコース上での効率とパフォーマンスを向上させるために既にマシンに採用されている。
今年2月、ジャガー・ランドローバーはNVIDIA(エヌビディア)と業務提携し、2025年から開始する次世代車両向けのソフトウェア・デファインドによる、先進の自動運転システムに注力することを発表した。今回の契約はそれに次ぐもので、将来のモダンラグジュアリーなモデルを実現するために、業界のリーダーと戦略的パートナーシップを構築するプログラムをさらに推進させたことになる。
ジャガー・ランドローバーのティエリー・ボロレCEOは次のように述べている。
「ウルフスピードは過去5シーズンにわたり、ジャガーTCS レーシングチームとの協力関係を構築してきており、その関係は今に始まったことではありません。これを『REIMAGINE』戦略の一環として、パートナーシップへと発展させ、ウルフスピードの先進的なSiC技術を次世代の電気自動車に組み込むことで、航続距離とパフォーマンスの拡張が可能になります」
一方、ウルフスピードのグレッグ・ロー社長兼CEOはこのように述べている。
「ウルフスピードは、ジャガー・ランドローバーと強固なパートナーシップを結び、優れた性能、効率性、航続距離を誇るSiCを活用して、このアイコニックなブランドを電動化するという大胆な取り組みをサポートすることができ、とても誇りに思います。電動化の未来に移行していく世界において、そして、自社によるカーボン・ネット・ゼロ目標を追求するジャガー・ランドローバーにとっても、SiCのエネルギー効率は必要不可欠なものになるでしょう」
今回の提携により、ジャガー・ランドローバーはウルフスピードの「Assurance of Supply Program(供給保証プログラム)」に参加することになり、将来の電気自動車の生産に必要な技術の供給を確保することができる。これにより、ジャガー・ランドローバーの将来のサプライチェーン全体の透明性と管理能力が向上。また、インダストリアルオペレーションズ担当エグゼクティブ・ディレクターのバーバラ・バーグマイヤー氏が統括する、オペレーションとサプライチェーンの新たなバリューチェーン・アプローチにとって重要な役割を果たすことになる。
ウルフスピードの世界をリードする技術は、400Vから800Vまですべての電圧範囲において、電動推進システムの電力を供給する。このSiCパワーデバイスソリューションは、世界最大の200mm SiC製造工場として、今年4月にニューヨーク州マーシーに開設したウルフスピードのモホークバレー工場で製造される予定だ。この製造工場は完全に自動化されており、ウルフスピードのSiC技術の生産能力を大幅に向上させ、EV生産をはじめとする先進技術分野で高まる世界的な需要に応える。
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