「北米で開催されている接触上等のオーバルレース」というイメージが強いNASCAR。アメリカでは他のメジャースポーツに負けない人気を誇るカテゴリーだが、そのヨーロッパ版である『NASCAR WHELEN EURO SERIES』をご存じだろうか。2018年シーズンに引き続き、2019年のシーズンエントリーを発表したレーシングドライバー三浦健光選手に、その魅力を聞いた。
三浦健光選手は、アジアンF3やアジアン フォーミュラ ルノー 、フォーミュラ アジア2.0やランボルギーニ スーパートロフェオアジアシリーズといった海外のレースシーンで活躍。
同時にトヨタ自動車の車両開発評価や社内外の車両研修インストラクター等も担当。さらには新車のインプレッション記事にも多く登場するなど、幅広いフィールドで活躍している。
ラリー・スウェーデンでジャンプ飛距離王者に輝いたのはトヨタGAZOO Racingのクリス・ミーク選手!
そんな三浦健光選手が2019年シーズンは、ヨーロッパで開催されているヨーロッパ版NASCAR『NASCAR WHELEN EURO SERIES』へのフルシーズン2年目の参戦を発表した。
チームは元F1ドライバーのアレックス・カフィ率いる「アレックス カフィ モータースポーツ」だ。
2018年シーズン、三浦選手はFIAドライバーズカテゴリーのシルバーとブロンズドライバーの中から最上位選手に与えられる『チャレンジャートロフィー』を獲得している。
「元F1ドライバーのアレックス・カフィ、そしてユーロナスカーのオーガナイザー等、多くの方々からの支援を受け、このヨーロッパのナスカーの世界に認めて頂き、今年でフル参戦二年目、スポット参戦だった2017年シーズンから数えて三シーズン目を迎えます。ユーロNASCARは、NASCARのインターナショナルシリーズです。サーキットはオーバルだけでなくホッケンハイムやゾルダー、ブランズハッチなどヨーロッパ有数のサーキットを転戦します。参加台数も30台を超え、ヨーロッパでも人気のレースになっています」と、三浦選手はその魅力を語る。
NASCARという名を持つだけあって、実際そのレースは純粋なコンペティション性はもちろんだが、レースをエンターテインメントとして盛り上げようという意識が強く、多少の接触など許されるバトルの多さが特徴だ。
レース後は1/3くらいの台数の車両はカウルが壊れフレームむき出しになるほどで、「バトルの激しさは他にカテゴリーには無い魅力ですね」と三浦選手。
また、近年でのレースシーンでは当たり前となりつつある電子デバイスは使用禁止。これにより、ドライバーパフォーマンスが重視されることも魅力の一つだと三浦選手は言う。
「チーム力やマシンの差はあるものの、ドライバーの腕で攻めきれる点が近年のレーシングカーとの違いです。 タイヤのサイドウォールの分厚さもドライビングの難しさをより顕著なものにしているので、マシンを操っている感が高い」という。
ハイテクに頼らずある程度の接触も容認されるレースが実現できるのは、やはり参戦するレーシングドライバーのレベルの高さゆえと言えるだろう。
参加ドライバーは、アメリカ開催のNASCARスプリントカップチャンピオンや、ル・マン24時間レース、ヨーロッパのフォーミュラカーレースやGTシリーズなどを戦った実力派選手がエントリー。2019年はなんと元F1ドライバーのジャック・ビルヌーヴが参戦するそうだ。
「アジア人初のチャレンジは、23ヶ国のドライバーが参加する中で孤軍奮闘感はあります。でも、ヨーロッパのレースで日本人が活躍するということは、マーケティング活動においても大きなビジネスチャンスを生むことができると思います」と三浦選手。
NASCARという世界最大にプラットフォームを持つレースで活躍し、世界中に情報発信が出来るということも、このカテゴリーに参戦する意義なのだ。
参戦する車両はトヨタ・カムリ。北米のNASCARでは2019年開幕戦のデイトナ500で1-2-3フィニッシュを飾っているが、三浦選手の活躍により、ヨーロッパでの激戦を戦い、カムリのNASCARマシンがヴィクトリーロードを走ることを期待したい。
<2019年のユーロナスカースケジュール>
開幕戦 第1&2戦 4/13-14 スペイン/バレンシア
Rd.2 第3&4戦 5/11-12イタリア/フランチアコルタ
Rd.3 第5&6戦 6/1-2 イギリス/ブランズハッチ
※オールスタータイムアタック 6/22-23 フランス/トゥール
Rd.4 第7&8戦 6/29-30 チェコ/モスト
Rd.5 第9-10戦 7/13-14 オランダ/ベンレイ
セミファイナル 第11&12戦 9/21-22 ドイツ/ホッケンハイム
ファイナル 第13&14戦 10/5-6 ベルギー/ゾルダー
(※三浦選手は「オールスタータイムアタック」がポイント対象外のイベントのため欠場。チャンピオンシップ戦の全ラウンド/14レースに参戦する)
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