ここ数年、日産のラインアップが減り続けている。キューブにジューク、マーチなど名車ぞろいだが、どれも終売に……。そこで今回は電動化して復活切望の往年の日産車を5台セレクト。この復活プランなら大ヒット間違いなしか!?
文/吉川賢一、写真/NISSAN
パオとキューブをEVに!! ステージアをe-POWERで復活切望!! 今こそ再販希望の日産車5選
■日産ラインナップはここ10年の間で半減していた!! 日産の名車は復活できるのか?
2022年夏に生産終了となった日産のフラッグシップセダン シーマ
昨年2022年は、フラグシップであった「シーマ」、そして往年の名車「セドリック/グロリア」の跡を継いだセダン「フーガ」、そして40年もの間、日産のコンパクトカーとして愛されてきた「マーチ」という3つビッグネームが日産ラインナップから姿を消した。
日産ラインナップはこのほか、2020年にはシルフィが、2019年にはキューブ、ジューク、ティアナが生産終了となっており、さらにさかのぼれば、ムラーノ(2015年終了)やデュアリス(2013年終了)など、ここ10年くらいの間で、ラインナップは半減している。
これら生産終了となったモデルたちのなかには、いま復活させれば売れるのでは!?? と思うモデルがいくつかあり、日産ファンとしてはぜひぜひ、これらを復活させて日産が盛り上がってほしいと思うところ。筆者が考える復活してほしい日産車を、復活させるポイントとともに、いくつかご紹介しよう。
■「パオ」をe-POWER、もしくはバッテリーEVで!!
インテリアも素晴らしかったパオ。ドアインナーやインパネ、ダッシュボードなどは、ボディカラーと同一色。シフトノブやステアリングホイール、メーター、スイッチノブなどは、アイボリーのクラシカルな雰囲気に統一されていた
初代マーチをベースとした、日産のパイクカーシリーズの第2弾として、1989年に登場した「パオ」。くりっとした丸目ヘッドライト、開閉する三角窓、外付けのドアヒンジ、上下2分割するリアクオーターウインドウなど、レトロ感たっぷりのデザインは、いま見てもオシャレだ。
このデザインのままe-POWER、もしくはバッテリーEV化させて再販できれば、ヒット確実ではないだろうか。小さなボディで現代の衝突安全性を確保したり、走行性能を向上させるのは簡単ではないだろうが、現代の技術でよみがえった「電動パオ」は、パオ販売当時のように大いに売れると思う。
ちなみに当時パオは、3カ月間の受注期間をもうけ、その間に予約された台数分を販売する戦略で販売され、なんと5万台以上の受注を獲得している。「限定販売」という言葉に弱い日本人の心をくすぐったこの販売戦略は、いまでも参考になると思うし、通常のラインナップに入るのは無理でも、限定販売であれば多少ハードルは下がるはず。ぜひとも再販させてほしいモデルだ。
■「2代目キューブ」も、e-POWER車、もしくはバッテリーEVで!!
2代目キューブ。2003年から2004年にかけて年間で約14万台も売れていた。当時は、街中を走るとしょっちゅうすれ違った
また、同じくe-POWER車もしくはバッテリーEVで復活させれば必ず売れる!! と思っているのが「キューブ」だ。3世代あるキューブの中でも、筆者がもっとも秀逸と感じるのは、2代目キューブ(2002~2008年)。
四角をイメージしてつくられたスタイルだけでなく、格子状フロントグリルやホイールのデザインもよく似合っており、ソファーのような座り心地のフロントシートと広いリア空間の使いやすさなど、いい意味で「クルマらしくない」リビング感、といった雰囲気が素晴らしかった。これぞ「和風コンパクト」の日本代表だと思う。
復活にあたっては、アリアやセレナのような、近年の日産車のエクステリアを取り入れず、2代目キューブのあのエクステリアデザインのバランスを守って欲しいところ。
「キューブ」の世界観を保ったまま、インテリアは、最新の2枚構成のデジタルディスプレイやイルミネーションなどでモダンに整え、e-POWER車もしくはバッテリーEVで登場すれば、ライバルとなるシエンタやフリードに負けないはずだ。
■「ジューク」もバッテリーEV化を期待!!
2019年から欧州地域のみで販売され始めた2代目ジューク。ボディサイドのキャラクターデザインや大きなVモーショングリル、シャープなテールランプなど、ずいぶんと洗練された印象となったが、初代譲りの丸形ライトなど、初代ジュークのチャームポイントはしっかりと残されている
そして「ジューク」も復活を期待したいモデルだ。2019年末に初代モデル限りで国内市場からは撤退したジュークだが、欧州ではいま2代目が活躍しており(ガソリン仕様とハイブリッド仕様)、日産が発表したところによると、次期型でジュークはバッテリーEV専用モデルになるという。
2010年の初代登場当時、「キモカワ」「ブサカワ」と揶揄されながらも大いに売れたジューク。バッテリーEVでの日本市場復活を期待したい。
■VCターボe-POWERを搭載した「ステージア」
1996年に登場した日産ステージア。2世代、11年でモデル消滅となった(写真は2代目)
また、個人的に欲しいと思うのが、新型エクストレイルのVCターボe-POWER を搭載した「ステージア」だ。ステージアは、ステーションワゴンという実用性と、ローレル/スカイライン譲りの優れた走行性能が魅力的なモデルで、初代ステージアには、GT-R用エンジンを搭載した260RSなんていう超速モデルもあり、いかにも日産らしさが漂っていたモデルだった。
V37スカイラインのシャシー性能とVCターボe-POWER、これに最新トレンドを取り入れた内外装デザインで、オシャレなステーションワゴンに仕立ててくれたら、筆者は迷うことなく購入する。
■珠玉の名機を水素エンジンに!! 「日産 R32型スカイラインGT-R」
「名機」RB26DETTを、 5速マニュアルトランスミッションも残しながら、水素燃焼エンジンへとコンバートできないだろうか
平成に登場した数あるスポーツカーの中でも、ひときわ人気の高い「R32スカイライン GT-R」。R32をはじめ、第2世代GT-Rの人気を不動のものにした、2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジンの「RB26DETT」は、稀代の名ユニットとしていまも人気が高いが、既に30年以上も経過しており、古さは否めない。
ただ、トヨタがオートサロン2023でみせてくれた、水素燃焼エンジンへとコンバートする手法で復活させることができれば、ファンにとってはかなり熱いモデルとなるはず。もちろん5速マニュアルトランスミッションも残しながらだ。
現在のスポーツカーのような空力重視のスタイリングとは違い、すっきりとしたエクステリアデザイン、ささやかなリアスポイラー、そして16インチサイズのホイールなど、R32GT-Rのノスタルジーな雰囲気に憧れる方は多いはず。これが実現できれば、いくら払っても「ほしい」と思うファンは多いと思うが、どうだろうか。
(編注:2023年3月28日に日産は、R32スカイラインGT-RのEVコンバージョンコンセプトモデル製作を発表した。今後の動きに大注目だ)
日産には、「名車」と呼ばれるモデルがたくさんある。もちろん、過去ばかり振り返っているわけにはいかないだろうが、メーカーとしてファンに気持ちに応えたり、過去のモデルのイメージを活用して販売していくことは、そんなに悪いことではないと思う。ぜひこれまでの「資産」を使いつつ、国内ラインナップを再び華やかにしてほしい。
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作ったら作ったでやれ高いだの何だのと文句垂れるだけだ。